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「ほとりの朔子」の一場面 (C)sakuko film partners
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「ほとりの朔子」の一場面 (C)sakuko film partners

注目映画紹介:「ほとりの朔子」 二階堂ふみ主演 多感な時期の女の子のきらめきと心の揺れを描く

 「ヒミズ」で第68回ベネチア国際映画祭マルチェロ・マストロヤンニ賞(新人賞)を受賞した二階堂ふみさん主演最新作「ほとりの朔子」が18日に公開された。「歓待」(2010年)などの深田晃司監督が手がけ、ナント三大陸映画祭2013金の気球賞(グランプリ)と若い審査員賞のダブル受賞で話題を呼んだ。多感な時期を生きる女の子のきらめきと心の揺れを、まぶしい夏の終わりとともに描き出している。

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 朔子(二階堂さん)は大学受験に失敗し、おばの海希江(鶴田真由さん)の誘いで、留守をしているおばの水帆(渡辺真起子さん)の家で夏の終わりの2週間を過ごすことになった。海外の地域研究を仕事にする知的で美しい海希江に、朔子は憧れを抱いている。昔なじみでホテルの雇われオーナーの兎吉(古舘寛治さん)と娘・辰子(杉野希妃さん)との交流や原発事故で避難中という兎吉のおい・孝史(太賀さん)と急接近。さらに辰子の大学に教えに来た西田(大竹直さん)が登場する。ある日、海希江の誕生会に、朔子、兎吉、辰子、西田が集まった。西田はどうやら海希江と関係があるようだ。その場にいない孝史に話題が及び、デートに行ったという話を耳にする朔子。ちょっぴり心が揺れるのだった……という展開。

 朔子の数日間の出来事が、自然な雰囲気と会話を軸に描かれていく。気持ちよさそうな海辺、陽光、数々のリゾートファッション、可愛い水着も見どころで、エリック・ロメール監督の映画を思い起こさせる。18歳という大人と子どもの“ほとり”にたたずむ朔子の、周囲の人々を観察する視線が印象深い。繊細な心の動きを、二階堂さんが微妙なさじ加減で演じている。大人の会話に静かに耳を傾け、その心の内では大きく揺れている。受け身の経験ばかりだった朔子がいよいよ行動を起こす場面が、サラリと描かれていて心地よい。その後のシーンでの、朔子の微妙な変化に注目だ。朔子はひざ上丈のワンピースで現れた冒頭とは明らかに違って、大人っぽさをまとっている。エキセントリックで濃いキャラクターの役柄が続いていた二階堂さんだが、こんな普通っぽい演技もできるのかと新鮮だ。間違いなく、今後も楽しみな女優だ。18日からシアター・イメージフォーラム(東京都渋谷区)ほか全国で順次公開。(キョーコ/フリーライター)

 <プロフィル>

 キョーコ=出版社・新聞社勤務後、闘病をきっかけに、単館映画館通いの20代を思い出して、映画を見まくろうと決心。映画紹介や人物インタビューを中心にライターとして活動中。趣味は散歩と街猫をなでること。

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