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映画「わたしに会うまでの1600キロ」のワンシーン (C)2014 Twentieth Century Fox
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映画「わたしに会うまでの1600キロ」のワンシーン (C)2014 Twentieth Century Fox

注目映画紹介:「わたしに会うまでの1600キロ」過酷な自然道歩いた女性の自叙伝を映画化

 「キューティ・ブロンド」(2001年)や「ウォーク・ザ・ライン/君につづく道」(05年)などの作品で知られる米女優リース・ウィザースプーンさんが製作と主演を務めた映画「わたしに会うまでの1600キロ」(ジャン・マルク・バレ監督)が28日から公開される。ニューヨーク・タイムズのベストセラーリストで1位を記録したシェリル・ストレイドさんによる自叙伝が原作。過去のある出来事から道を踏み外したヒロインが、1600キロに及ぶ自然道を3カ月かけて歩く中で、人生を再生させていく姿を描いた感動作だ。

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 シェリル(ウィザースプーンさん)は、自分をのろわずにはいられなかった。険しい岩山の上から、靴の片方を谷底に落としてしまったのだ。米西海岸をメキシコ国境からカナダ国境まで南北に縦走する自然道「パシフィック・クレスト・トレイル」に挑んで30日あまりがたっていた。険しい岩山や砂漠が待ち受けるその道を歩きながら、彼女の脳裏に過去の様々な出来事が去来する……というストーリー。

 今作を見ながら力が湧いてきた。シェリルとともにトレイルを歩きながら、人々の優しさに触れ、やっと手に入れた燃料で温かいおかゆを食べられる喜びを味わった。トレイルを始めるに当たって、シェリルにまつわる説明は特にない。谷底に靴を落とし、そこから時間が巻き戻り、宿泊先の受付での会話から、彼女のプロフィルがおぼろげに見えるだけだ。そして、トレイルはあっけないほど簡単に始まる。そこからシェリルの回想シーンとともに過去の断片がつなぎ合わされ、彼女がどのような体験をし、なぜトレイルに挑むことにしたのかが明らかになっていく。

 この一種の謎解きのような構成が生きている。シェリルの素性を知りたい、彼女の旅を最後まで見届けたいという思いが、心をつかんで離さない。「17歳の肖像」(09年)の脚本家としても知られる作家ニック・ホーンビィさんが脚本を担当した。監督は「ダラス・バイヤーズクラブ」(13年)でマシュー・マコノヒーさん、ジャレッド・レトーさんに、それぞれアカデミー賞主演男優賞、助演男優賞をもたらしたジャン・マルク・バレさん。今作でも、ウィザースプーンさんと母親役のローラ・ダーンさんが、アカデミー賞主演女優賞、助演女優賞にノミネートされた。28日からTOHOシネマズシャンテ(東京都千代田区)ほか全国で公開。 (りんたいこ/フリーライター)

 <プロフィル>

 りん・たいこ=教育雑誌、編集プロダクションを経てフリーのライターに。映画にまつわる仕事を中心に活動中。大好きな映画はいまだに「ビッグ・ウェンズデー」(78年)と「恋におちて」(84年)。

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