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注目映画紹介:「この世界の片隅に」 のんの声は癒やし系? 日常と地続きにある戦争の悲劇を描いた名作

劇場版アニメ「この世界の片隅に」のすず(左)と義姉の娘・晴美  (C)こうの史代・双葉社/「この世界の片隅に」製作委員会

劇場版アニメ「この世界の片隅に」のすず(左)と義姉の娘・晴美  (C)こうの史代・双葉社/「この世界の片隅に」製作委員会

 女優ののん(能年玲奈を改名)さんが劇場版アニメに声優として初主演した「この世界の片隅に」(片渕須直監督)が12日に公開される。戦時中、広島・呉に嫁いだ18歳のすずの生活が、戦争の激化によってあっという間にもろく崩れていく様子が、日常と地続きで淡々と描かれる。すずが義姉の娘をつれて入院中の義父を見舞いに行った帰りに空襲に遭い、2人に悲劇が襲う。その衝撃の際の描写が可愛らしくももの悲しく、心に迫る。

 昭和19(1944)年、広島から世界最大の軍港といわれた呉に嫁いできたすず(のんさん)は、夫の家族とささやかな生活を送っていたが、呉は大規模な空襲に襲われ、すずの大切なものが失われていく。そして広島に原爆が投下された昭和20年の夏を迎える……というストーリー。

 「この世界の片隅に」は、こうの史代さんが「漫画アクション」(双葉社)で連載し、2009年の「文化庁メディア芸術祭」のマンガ部門優秀賞を受賞したマンガが原作。劇場版アニメ「マイマイ新子と千年の魔法」(2009年)の片渕監督が素朴で味わい深い原作のイメージをそのままに、堅実にアニメ化した。戦争が激化する中でもけなげに生きるすずとその家族の日常が力強く描かれている。のんさんは、「まんが日本昔ばなし」の市原悦子さんの声を彷彿(ほうふつ)とさせる癒やし成分が含まれているような話し声で、すずを自然体で演じている。戦争の悲劇は日常の中で起こったのだと改めて実感。コトリンゴさんが歌う昭和歌謡も胸にしみる。

 何年たっても色あせない、100年後にもきっと残っているであろう名作がここに誕生した。12日からテアトル新宿(東京都新宿区)ほかで公開。(細田尚子/MANTAN)


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