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女優の浜辺美波さんと「DISH//」のメンバーで俳優の北村匠海さんが、ダブル主演した映画「君の膵臓(すいぞう)をたべたい」(月川翔監督)が全国で公開中だ。クラスで目立たない存在の「僕」(北村さん)は、膵臓の病を患うクラスメートの桜良が書いていた文庫型の闘病日記「共病文庫」を病院の待合室で偶然見つけたことから、次第に桜良と一緒に過ごすようになるが、懸命に生きる桜良の日々は……というストーリー。浜辺さんと北村さんに、目指す俳優像や楽しいと感じる時間などについて聞いた。
原作は、2016年の本屋大賞で2位にランクインした住野よるさんのベストセラー小説。物語は、母校の教師となった「僕」が桜良(浜辺さん)と過ごした学生時代を回想する形で、現在と過去の二つの時間軸が交差しながら進行する。現在の「僕」を小栗旬さんが演じ、桜良の親友で結婚を控える恭子役を北川景子さんが演じている。
◇博多のラーメンがおいしかった
――気持ちの流れが割と大切な作品ですけれど、撮影の順番は?
北村さん バラバラでしたけれど、そこまで複雑にバラバラだったわけじゃなかったんです。初日は学校のシーンから始まって、後半のシーンがいきなり撮影の前半にドンと入ってくるという感じで。
――そのへんは2人とも難しかった?
北村さん 順撮りではなかったので、多少時間軸のずれは意識しながら。でも2人の関係は徐々に進んでいくので、2人の距離が縮まる大きな出来事としては福岡デートや雨の日のシーンがあると思うんですけれど、その後、急速に接近するということはなかったので、じっくりと自分の中で、ここはこれくらいとか2人の距離を意識しながらやっていました。
――福岡の話が出ましたが、お二人がそれぞれ撮影で一番印象に残っていること、場所は?
浜辺さん 私は博多のラーメンがすごくおいしかったのが一番です。撮影期間中、役柄的に太ることができず、地方に行っても好きなものを食べることはできなかったので、九州で食べたラーメンは、地方のおいしいご飯というか、すごくリアルに感動して、とてもおいしく感じたので覚えています。
北村さん 僕はその横で替え玉して2玉食べていました。撮影が終わったあとでもう一玉食べました。
――北村さんの思い出は?
北村さん 今思えば、スイーツパラダイスはいづらかった。音楽のライブではあるんですけれど、あそこまで女性に囲まれた空間というのは、自分としてはちょっと……。(演じる)「僕」の気持ちがあそこも分かりやすかったんですよ。肩が前に出る感じというか。なかなか気まずさがありながらの撮影だったので、そこは印象深かったです。
◇膵臓ポーズを考案中!?
――タイトルの「膵臓」が印象的ですが、どこにあって、どういう臓器かというのはご存じでしたか?
北村さん 僕は実は、「君の膵臓をたべたい」の前にドラマ「仰げば尊し」で寺尾聰さんを膵臓がんで亡くしているので知っていました。2作連続で近しい人を膵臓の病気で亡くすという。寺尾さんが芝居で腰の上のあたりを押さえていたのが印象的で、膵臓ってここにあるんだって分かりました。あまり体に変化が出ない病気で、突然分かって、しかもなかなか治療法が進んでいないようで。そういうこともこの撮影に入る前に知っていたので、感情移入もしやすかった。自分が泣くシーンもそうでしたし、(膵臓に)すごく感じる部分がありましたね。
浜辺さん 私は、だいたい場所は知っていたんですけれど、撮影が終わって(高校時代の恭子役の)大友加恋ちゃんと会っているときに“膵臓ポーズ”とかできたらうれしいねと言っていたんですけれど、膵臓は後ろ(背中側)にあるから変なポーズになっちゃうねって言っていたのを覚えています(笑い)。前にあったらよかったんですけれど、後ろにあるからなんか(ポーズは)だめだねって言って、今、考え中です(笑い)。
◇思い合うことの強さ、尊さを感じて
――今作の見どころとメッセージをお願いします。
北村さん このタイトルに泣けるというのが見ていただいたら分かると思います。ショッキングなタイトルではあるんですけれど、このタイトルに込められた美しさだったり、生きていることって改めて本当に素晴らしいことなんだっていうのが改めて感じられる作品になっていると思います。12年後の小栗旬さんたちのシーンがあるからこそ、本当に幅広い方に届く作品になったので。ぜひ劇場に来ていただいて、このタイトルに泣いていただいたらすごくうれしいです。
浜辺さん 私自身が感じた思い合うことの強さだったり、尊さだったりを感じられる作品だと思います。人は一人だとそんなに強くないですし、弱いものだと思うんですけれど、大切な人がいて、その人のことを思うことで強く、行動できたりとか、その人のことを考えたり、思いやったりすることができる、そういうことを改めて感じていただけると思います。
◇将来の理想像は?
――今回の映画で北村さん演じる「僕」の将来の姿を小栗さんが演じていますけれど、お二人は将来、こういう俳優、女優になりたいという理想像はありますか。
北村さん 僕は昔から小栗旬さんが尊敬している方で。小学5年生のときに(09年の「TAJOMARU」で)同じ役を演じさせていただいて、そのあとに小栗さんが監督した映画(10年の「シュアリー・サムデイ」)に出させてもらったり、そういう俳優という一面だけでない、何かを作るクリエーターとしての尊敬の念がずっとあって。自分の主演作で同じ役をやれるというのがすごくうれしかったです。
浜辺さん 私は、高島政宏さん、政伸さんを尊敬していて、私は政伸さんとは、事務所のワークショップで初めてお会いしたときに、段ボールの中から政伸さんが出てくるという、素晴らしいサプライズが出会いでした。そういうことに努力を惜しまない方というのは尊敬できるなと心から思いました。
――同性の方では?
浜辺さん 原節子さん。「わが青春に悔いなし」(1946年)を見させていただいて。モノクロの映画だったんですけれど、その中での原節子さんのヒロイン像や目の輝きが見終わったあともすごく印象に残っていて。こんなに輝いたヒロインを演じられる方がいたんだ、と。すごく憧れましたね。
◇同世代の活躍ちょうどいいくらい意識したい
――同じ10代の同世代の俳優の活躍をどう思いますか。
北村さん 俺は(村上)虹郎や(新田)真剣佑ら「仰げば尊し」のメンツが(思い浮かぶ)。虹郎とは何回も共演しているし、同世代の刺激は自分の中でもすごく大きなものがあって。一番仲がいい俳優というと健太郎というヤツなんですけれども。そいつが主演したり、虹郎が舞台に出ていたり、真剣佑のドラマも次に僕が主題歌を歌ったりしていて、そういった同世代が今、しっかり芸能界で活躍しているという現状が、自分の中でうれしさもありながら、同じステージに自分も立てている気がするというのが、自信になったり。この先、またあいつらと共演したいというのが、自分の中でも大きな目標でもあり、自分が今、芝居が楽しいと思えて、頑張ろうと思える一つの要素ではありますね。
浜辺さん 私は同世代の女優さんにお会いする機会がなかなかないんですけれど、作品が発表されたりすると気にするようにはしていますし、気になるなと最近思います。でも、だからといって意識し過ぎることもないなと思っていて、あくまで同世代だから、ライバル意識があるわけでなくて、あまり意識しすぎると似ちゃったりとかまねしちゃうと嫌だなと思いますので、ちょうどいいくらい意識して、これからも同世代としてお仕事していけたらいいなと思います。
◇オフの日は趣味に没頭
――今、一番何をしているときが楽しいですか。
北村さん 僕はオフ日は趣味に没頭しています。フィルムで写真を撮るのとか、古着を買いに行ったり、自転車で旅したりとか。自転車では川沿いを走っています。遠くにも行きますよ。自分の家からお台場まで1時間半くらいなんですけれど、友達とお台場へ1時間半かけて行って、写真を撮って、自転車でまた帰ってくるという。
――どういう写真を撮るんですか。
北村さん 僕は人の写真しか撮らないです。スタジオに入ったりとかもするんですけれど。そういうところで自分を発散している。休みの日は人と会っていることが多いです。
浜辺さん 私は食べているときが一番楽しくて。食べる日と食べない日があるんですけれど、食べる日は朝3時くらいからずっと食べてるんです。その日は楽しくて。なんでこんなに私は食べたい気持ちがいっぱいあるのに胃の量的にこれ以上入らないのかが悩みなくらい、食べることが大好きです。もっと胃袋を大きくしてもっと食べたいし、食べるものも残っているんですけれど、もう食べられない。胃が「ちょっとダメだ」と言っているというくらい、食べることが大好きです。大好物は鳥のから揚げです。1パックとかお惣菜屋さんに自分で買いに行ったりもしますよ(笑い)。
<浜辺美波さんのプロフィル>
はまべ・みなみ 2000年8月29日生まれ。石川県出身。11年、第7回「東宝シンデレラ」オーディションでニュージェネレーション賞受賞。同年、「浜辺美波~アリと恋文~」で映画主演デビューを飾る。15年に人気アニメを実写化したドラマ「あの日見た花の名前を僕たちはまだ知らない。」(フジテレビ系)に本間芽衣子(めんま)役で出演。同年、NHK連続テレビ小説「まれ」への出演が話題となる。その後も16年に劇場版アニメ「映画 妖怪ウォッチ 空飛ぶクジラとダブル世界の大冒険だニャン」、17年に映画「咲-Saki-」に出演。9月公開予定の映画「亜人」にも出演している。
<北村匠海さんのプロフィル>
きたむら・たくみ 1997年11月3日生まれ。東京都出身。2008年の「DIVE!!」で映画初出演。13年にはダンスロックバンド「DISH//」のメンバー(ボーカル&ギター)としてメジャーデビューし、音楽と映像作品、それぞれで活躍。13年に映画「陽だまりの彼女」、14年にドラマ「信長協奏曲」(フジテレビ系)、16年は映画「ディストラクション・ベイビーズ」、ドラマ「ゆとりですがなにか」(日本テレビ系)、「仰げば尊し」(TBS系)と話題作の出演が続いている。