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注目映画紹介:「フェリシーと夢のトウシューズ」オペラ座バレエ団芸術監督が振り付けを担当した躍動感あふれるアニメ

 孤児院育ちの少女が、バレリーナになるという夢に向かってまい進する劇場版アニメ「フェリシーと夢のトウシューズ」(エリック・サマー、エリック・ワリン監督)が12日から新宿ピカデリー(東京都新宿区)ほかで公開される。アニメだからこそのダイナミックな演出が随所に見られ、主人公フェリシー(声:エル・ファニングさん)と、ライバル、カミーユ(声:マディ・ジーグラーさん)のダンスバトルシーンの、躍動感あふれる映像に目を見張った。

 19世紀末のフランス。ブルターニュ地方の養護施設で暮らすフェリシーは、バレリーナを夢見る少女。あるとき孤児院を脱走した彼女は、たどり着いたパリのオペラ座で、掃除係のオデット(声:カーリー・レイ・ジェプセンさん)と出会う。この出会いが、フェリシーの夢の扉を開いていく……というストーリー。日本語吹き替え版でフェリシーの声を担当したのは、女優の土屋太鳳さん。土屋さんは、自ら歌詞を書き下ろした日本語版の主題歌も歌っている。また、オデットの声を黒木瞳さんが担当したほか、夏木マリさん、バレエダンサーの熊川哲也さんも出演している。

 孤児院を俯瞰(ふかん)でとらえたオープニングから、色遣いの美しさに引き込まれた。フランスとカナダの合作による今作は、パリ・オペラ座バレエ団芸術監督のオレリー・デュポンさんと、オペラ座でエトワールとして活躍したジェレミー・ベランガールさんが振り付けを担当しており、それだけに、手足の細かい動きのリアリティーは折り紙付き。一方で、アニメらしい表現にあふれており、皿洗いの罰を受けたフェリシーが、足で皿を器用に飛ばしながら、あるいは、ほうきと一緒に踊る、曲芸師ばりの身のこなしは、見ていてワクワクした。ハイライトシーンのカミーユと繰り広げる白熱のダンスバトルでは、オペラ座の舞台や客席、階段をフルに活用し、文字通りの“神業”を披露。現実には不可能と分かっていても、伸びやかな舞に興奮させられた。フェリシーは、おてんばで型破りで、ときに首をかしげる行動に出ることはあるけれど、元気と根性で道を切り開いていく。そんな彼女に、声援を送らずにいられなくなるはずだ。(りんたいこ/フリーライター)

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