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玉山鉄二:子どもが生まれてから感じた大きな変化とは?

 俳優の玉山鉄二さんが主演するドラマ「連続ドラマW トップリーグ」が、WOWOWで10月5日からスタートする。永田町の闇を暴く大手新聞社の記者役を務めた玉山さんに、俳優の仕事の面白さや日ごろの健康法、食へのこだわり、10年後について聞いた。

 ◇役者の仕事を通じて「だんだんまともな大人に」

 NHK連続テレビ小説「マッサン」(2014年)の演技も鮮烈で、いまや俳優としての地位を確立している玉山さんだが、キャリアのスタートは人気雑誌のモデルの仕事だったという。

 「19歳で京都から出てきたので、今年でちょうど20年になりますね。モデルの仕事を始めた当時は、とにかく世に出たいとか、有名になりたいとか、そんな薄っぺらい思いしかなかった」と振り返る。

 その後、ドラマの出演を機に俳優へと軸足を変えながら、「役を通じていろんな人の人生を疑似体験するうちに、人の心の痛みや、複雑な立場に置かれた人たちの思いを知って、だんだんとまともな大人になってきた」という。「役者をやってなかったら、僕は結構ヤバいやつになっていたかもしれない」と笑いつつ、「役者の仕事が天職かどうかは分からないけど、すごく感謝はしてるんです」と話す。

 作品選びについては「シンプルで明確な」基準があるといい、「自分が『見たい!』と思わない作品に出て、自分が輝けるのかって、僕は思うんですよ。興味がないものに対して情熱を注げるのかなあ、と。そこが僕自身の役選びの大きなポイントになっているのかもしれない」と自己分析する。

 ◇自分が主演ということは意識していない

 ドラマの中では、時に自分の信条を曲げてでも家族を守ろうとする役柄を演じるが、玉山さん自身も結婚して子どもができたことで、それまでの生活や考え方に変化があったという。

 「僕らが子どものころはとにかく『正義がすべて』で、『困っている人がいたら助けましょう』とか『殴られている人がいたら止めましょう』といった道徳教育を受けてきたわけですけど、果たして今の時代、それがそのまま当てはまるかっていうと、正直僕は当てはまらないような気もしているんです」と語る。

 さらに「僕は自分の子どもに『殴られているやつがいたら助けてあげろ』って言えるのか。『巻き込まれて殺されたりしたらどうしよう』という思いが、ふと頭をよぎってしまったりもするんですよね」と、父親としての率直な思いも吐露しつつ、「そんなことをつい考えさせられてしまうという意味でも、『トップリーグ』は、これまでエンターテインメントがあえて触れなかったタブーに踏み込んでしまっているドラマなんじゃないか」と話す。

 今作においては、小林薫さんや陣内孝則さんらベテラン勢と、丁々発止のやりとりも見られるが、「僕はひたすら作品が良くなるために考えて、アイデアを出すことに比重を置いているので、自分が主演ということは全然意識していないです。ただ、スタッフの声の大きさと僕たちの声の大きさって明らかに違うから、スタッフたちの要望や現場に対する意見みたいなものを拾うという意味では、僕がフィルターにならなきゃいけないのかなあとは思ってます」と持論を展開する。

 ◇健康の秘訣は日々のサプリと食へのこだわり

 とはいえ、現場は主演が居ないと回らない。タイトなスケジュールに穴を開けないために心掛けている健康法があるかと尋ねると......。

 「僕ね、何もやってなさそうでしょう? でもこう見えて結構いろいろやってるんですよ。まず、朝起きてサプリメントを飲むっていうところから一日がスタートするんです。僕はアレルギー持ちなので、鼻炎の薬も必ず飲みますし。疲れてきたら早めにサプリを飲む、とかね(笑い)」

 また、現場に入るとどうしても食生活が偏りがちになるが、玉山さんの中には「せめてご飯だけは温かくあってほしい」という、こだわりがある。

 「これは僕の弱点でもあるんですけど、冷たいご飯を食べると『うわあー』って、自分が崩壊しそうになるんです。『俺、こんなに必死でせりふを覚えて、現場でもむちゃくちゃ頑張ってるのに、なんでこのご飯冷たいんだろう……』って(笑い)。忙しすぎると自分の心がひもじくなっちゃうから、たとえ短い休憩時間でもできる限り温かいものを食べるようにはしてますね」と明かす。

 ◇「子どもが寝る前に家に帰りたい」 俳優をやりたいと言ったら…

 そんな玉山さんが、今一番大事にしているのは、家族と一緒に過ごす時間だという。

 「なるべく子どもが寝る前に家に帰りたいとは思いますね。最近は子どもと一緒によくサウナに行ってます」と目を細める。

 将来、子どもが成長したら俳優の仕事を勧めるかと尋ねると、「いや、それは絶対やってほしくない!」ときっぱり。「親としては、やっぱりもっと自分の頑張りが分かりやすく評価できる仕事についてほしいですよね」と父の顔をのぞかせた。

 ドラマは10月5日からWOWOWプライムで毎週土曜午後10時に放送。全6話で、第1話は無料放送。

 <プロフィル>

たまやま・てつじ 1980年4月7日生まれ、京都府出身。1999年、TVドラマ「ナオミ」で俳優デビュー。主な出演作にドラマ「百獣戦隊ガオレンジャー」(2001年)、映画「手紙」(2006年)、「ハゲタカ」(2009年)、「星守る犬」(2011年)、「ルパン三世」(2014年)、「亜人」(2017年)など。NHK連続テレビ小説「マッサン」(2014~15年)で、主人公の亀山政春を演じた。

(取材・文・撮影:渡邊玲子)

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