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彼女がキレイな理由:井上真央さん 高飛車な社長令嬢役「意外だった」 “モガ”の役作りは…

 女優の井上真央さんが、12月13日から公開される映画「カツベン!」(周防正行監督)で映画館の社長令嬢・橘琴江を演じている。同作は「映画(活動写真)」がサイレントでモノクロだった時代を舞台に、楽士の奏でる音楽とともに独自の“しゃべり”で物語を作り上げ観客たちを熱狂させた「活動弁士」(活弁=カツベン)の姿を描いた作品。琴江は最先端のファッションに身を包む“モダンガール”で、プライドが高い、癖の強い役どころだ。井上さんに今作での役作りや印象的な撮影エピソードなどを聞いた。

 ◇琴江なりの“チャーミング”さを追求

 「カツベン!」は映画「Shall we ダンス?」(1996年)や「舞妓はレディ」(2014年)などで知られる周防監督の約5年ぶりの新作。もともと「舞妓はレディ」が好きだったという井上さんは、「周防組に参加させてもらえることがとても楽しみでした」と思いを語る。

 演じるのは、プライドが高く高飛車な性格の社長令嬢。黒島結菜さん演じるヒロイン栗原梅子に対して強気な態度を見せる癖のある役どころだ。そんな琴江役について、井上さんは「琴江のような役は今まであまりなかったので、最初お話をいただいたときは意外でした」と当時の心境を明かす。

 琴江は、主人公・染谷俊太郎が働く映画館「青木館」の商売敵「タチバナ館」のお嬢さまとして、俊太郎に接近する。主人公とヒロインの関係に割って入る憎まれ役の面もあるが、井上さんは「意地悪な部分よりも、カツベンに魅了された1人の女性として、琴江なりの真剣さやチャーミングさが出せたらと思っていました」と役への思いを話す。

 ◇「モガを楽しんでほしい」と言われ…

 周防監督からは「モガを楽しんください」と言われた井上さん。撮影に臨むにあたっては、モダンガールに関するさまざまな資料や当時活躍していた女優の写真などを見て役作りの参考にしたという。ただ、史実に忠実に、というよりも琴江の人柄そのものに思いをはせた。「『どういう作品を見て琴江はカツベンに夢中になっていったんだろう』とか『どんなアメリカの女優さんに憧れていたのかな』とか……」と語る。

 劇中では梅子を含め、ほとんどの女性は和服姿だが、“モガ”である琴江は帽子にネックレス、ワンピース……と西洋風のファッションを披露しているのも見どころだ。井上さんは「『自分が似合うものを着てほしい』と周防監督がおっしゃったので、シーンごとに監督や衣装担当の方と、私の意見も取り入れていただきながら、琴江のスタイルを作っていきました」と舞台裏を明かす。    ◇黒島結菜と大河以来の共演「うれしかった」

 主人公・俊太郎を演じる成田凌さんとは今回が初共演。井上さんは、撮影前は「クールでシャイな方」というイメージを持っていたという。だが、撮影する中で、「すごく素朴な方なんだな」と印象に変化が出てきた。「顔もきれいだし、背も高いし、スタイルも良くて、クールで二枚目というイメージだったんですが、ちょっと天然っぽいところもあって、行動が読めないというか……(笑い)。面白い方だなと思いましたね」と楽しそうに話す。

 そんな成田さんに、活動弁士としてすぐれた腕を持ちつつもどこかとぼけた“三枚目”の俊太郎と重なる部分も感じたという。井上さんは「俊太郎って、どこか抜けているじゃないですか。ああいう三枚目の面白い部分というのは、成田さんがもともと持っている素朴さでもあるのかな、と思いました」と表現する。

 ヒロインの梅子を演じる黒島さんとは、井上さんが主人公・文(ふみ)役を演じた2015年のNHK大河ドラマ「花燃ゆ」で共演経験があった。今作でスター気取りの活動弁士・茂木貴之役を演じる高良健吾さんも「花燃ゆ」で高杉晋作を演じており、黒島さんはその妻・雅役だったという縁だ。黒島さんとはその時以来の再会で、井上さんは「『いつかまた一緒にできたらいいね』と言っていて。結菜ちゃんがヒロインで、私がこういう形で出させてもらった、ということがすごくうれしかったです」と喜び、「より大人っぽくなっていましたね。でも凜(りん)として、堂々とされている部分は初めて会ったときから変わらないなと思いました」と印象を語る。

 ひさびさの再会時には、みんなでご飯を食べにいったと明かす井上さん。そんな和気あいあいとした現場の雰囲気は、井上さんが女優としてお芝居をする上でも、大事にしていることだという。井上さんは「もちろんどの撮影現場でも緊張感を持って臨みたいと思っていますが、みんなで作るものなので、スタッフや共演者の方とのコミュニケーションも大事にしたいと思います」と語る。

 「カツベン!」は周防監督の5年ぶりの最新作。約100年前に「映画(活動写真)」がまだサイレントでモノクロだった時代、楽士の奏でる音楽とともに独自の“しゃべり”で物語を作り上げ、観客たちを熱狂させた「活動弁士」(活弁=カツベン)の姿を描く。

 子供のころに活動写真小屋で見た活動弁士に憧れていた俊太郎(成田さん)は、ニセ弁士として泥棒一味の片棒を担いでいたが、嫌気がさして逃亡し、小さな町の映画館に流れ着く。そこで働くことになった俊太郎は、本物の活動弁士になれると期待に胸を膨らませるが、個性的な曲者(くせもの)たちとのトラブルが勃発。隣町のライバル映画館、再会を果たした初恋相手、ニセ活動弁士を追う警察らを巻き込み、事態は大騒動へと発展する……という内容。

 次回は、井上さんの休日の過ごし方や女性が輝き続ける秘訣(ひけつ)などについて聞く。

 <プロフィル>

 いのうえ・まお 1987年1月9日生まれ、神奈川県出身。テレビドラマ「花より男子」シリーズ(TBS系)、NHK連続テレビ小説「おひさま」(NHK)、大河ドラマ「花燃ゆ」(同)、「明日の約束」(カンテレ) 、土曜ドラマ「少年寅次郎」(NHK)などで主演。映画は「八日目の蝉」(2011年)、「白ゆき姫殺人事件」(2014年)、「焼肉ドラゴン」(2018年)など多数。

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