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彼女がキレイな理由:檀れいさん 「涙がこぼれ落ちる寸前で『れいさん、抑えて』と監督の声が飛んだ」 “やりすぎず、やらなさすぎず”で臨んだ初主演映画が公開

 女優の檀れいさんの初主演映画「太陽とボレロ」が6月3日に公開された。俳優の水谷豊さんの監督作品第3弾で、クラシック音楽のオーケストラを題材に脚本も水谷さんが手がけた。「水谷監督の作品に出演することがとにかくうれしかった」と振り返る檀さんに、映画初主演への思い、監督としての水谷さんの魅力、撮影中の思い出を聞いた。(全3回の1回目、取材・文/服部広子)

 2005年に宝塚歌劇団を退団後、翌年公開の映画「武士の一分」でスクリーンデビューした檀さん。アマチュア交響楽団の主宰者を演じた「太陽とボレロ」で映画初主演を飾ったことについて、「あまり意識しないようにしていた」と語った。

 「普段も主演だから、脇役だから、というスタンスで仕事をしていませんし、今回は、水谷監督の作品に出演できるという喜びのほうが大きかったですね。ただ、クランクインが近づくにつれて不安になることもあって。監督に『本当に私で大丈夫ですか?』とおうかがいしたら、『れいさん、逃げられませんよ』って笑いながら答えてくださいました」

 撮影に入る前に水谷監督と作品について話をしたとき、「やりすぎず、やらなさすぎず」という言葉が印象に残ったという。

 「役者というのは、喜びや悲しみなどを表現する上で、ドラマチックに作ったり、求められている以上のものを出したりということは多々あります。でも、ちょうどいいところで止めるというのは、実はとても難しいことなんです。

 実際、撮影中に私の感情がグワッと上がっていったとき、涙がこぼれ落ちる寸前で『れいさん、抑えて』という監督の声が飛んだことがあって。『あ! これが“やりすぎず、やらなさすぎず”なんだ』と演じながら感じました」

 時代劇シリーズなどで共演経験もある水谷さんは、「身近に感じる役者さんの一人」と言う檀さん。監督として魅力を聞くと……。

 「やはり、監督ご自身が役者のモチベーションや役を作り上げる苦労をわかっているということでしょうか。そういう意味では、安心して自分を預けることができました。

 撮影現場は、水谷監督のもと、よりいいものを作ろうと高みを目指すスタッフ、キャストそれぞれのいい緊張感といい笑顔があって。その中で、水谷監督が私たちの想像以上の演出をしてくださるんです。

 キャラクター作りや見せ方で驚かされたシーンもたくさんありますし、役者のいいところをどんどん引き出して膨らませてくださる。そのおかげで、私自身、自分の役をいきいきと演じることができました」

 自分の撮影がない日でも現場にいたのはこの作品が初めてだという。

 「私自身、交響楽団の主宰者としてなのか、それとも、一役者の檀れいとしてなのかはわからないのですが、物語の舞台となった弥生交響楽団に、どんどん愛着がわいてきたんです。楽団員役の方々が演奏するシーンは、その場で見守っていたいという気持ちが強くて。いっぱい差し入れを持って現場に顔を出していました」

 *……「太陽とボレロ」/ある地方都市で18年間活動を続けてきたアマチュア交響楽団の解散が決まった。主宰者・花村理子(檀さん)は、音楽を愛する個性豊かな楽団メンバーに翻弄(ほんろう)されながらも最後のコンサートを計画する。

 ◇プロフィル

 だん・れい 1992年、宝塚歌劇団に入団。1999年から月組トップ娘役、2003年から星組トップ娘役を務める。2005年に退団。2006年、山田洋次監督の映画「武士の一分」で映画デビュー。第30回日本アカデミー賞優秀主演女優賞、および新人俳優賞、第44回ゴールデンアロー賞新人賞などを受賞した。

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