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取材に応じた松本若菜さん
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取材に応じた松本若菜さん

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松本若菜:20代、30代は「声がコンプレックスだった」 「一つの個性として出来上がってきた」と感じた出来事は

 俳優の松本若菜さんが朗読を担当した、芥川賞作家・村上龍さんの代表作「ラブ&ポップ:トパーズ2」が9月にAmazonオーディブル(以下、Audible)で配信開始された。「ラブ&ポップ」(1996年、幻冬舎文庫)は、1990年代の東京を舞台に、“援助交際”を女子高生の視点で描いた作品。自身もAudibleを楽しんでいるという松本さんに、収録の際に気を付けたことや“読書の秋”の楽しみ方などについて聞いた。

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 ◇耳で聴く小説は「頭に入ってきやすい」

 松本さんは、今回の話を受けて「私自身、Audibleを聴いていたので、その世界観に入れるというのはうれしかったです」と話す。

 出演するドラマや映画の原作、一度読んだことのある本などを「文字を読むのと耳で聴くのとは、全然違う感じ方だったりするので」これまでもAudibleで聴くことも多かったという。

 「頭に入ってきやすいですね。最初はどんな感じなんだろうと思っていたんですけど。ナレーターさんや声優の方などが落ち着いたトーンでずっと話されているんです。そうすると、出てくるキャラクターを聞き手にイメージさせてくれる、“隙間”を開けてくれるんですよね。素晴らしいなと思いましたし、勉強にもなりました」

 聴きやすい声は「話している人が、どういう顔しているんだろうとか、どういう服装でしゃべっているんだろうってイメージさせない人」だと感じている。

 「Audibleを初めて聴いた時は、あえて、誰が声をやっているかというのは知らずに聴いていました。役者の方も担当されているので、どなたが話されていたのか知った後には、この人だったんだ!みたいな驚きもあって。その人らしい個性があるなと感じたんですが、知らないなら知らないで、純粋に物語を楽しむという、また別の楽しみ方があるなと思います」

 ◇収録は「声を作らず、普段に近いトーンで」

 自身の声は「特徴がない声で、好きでも嫌いでもなかったです。20代、30代ではそれがコンプレックスでもありました」と分析する。

 「子どもの頃には、ラジカセに自分の声を入れて、自分の声ってこんな感じなんだと聞いて遊んだりもしました。今は家にいてテレビをつけると、自分の声がたまに聞こえてくることがあって。それまではあまり気にならなかったんですが、最近は普段の生活の中でも自分の声が聞こえてくるので、ちゃんと一つの個性として出来上がってきたのかな、と」と自身の声にも存在感が出てきたと感じている。

 普段から台本を最初に読むときはト書きも含めて音読していたという。

 「普段から最初に台本を読むときはト書きの部分も声に出して読むタイプなんです。ですから朗読のとき、会話の部分だけでなく、その背景も全て話す読み方はこれまでもやってきたことなので、違和感はなかったですね」

 そのため今回収録する際は、「声を作らず、普段に近いようなトーンで話しました」という。

 「監督が最初におっしゃっていたんですが、(せりふが)女性だからとか男性だからといって声色をそんなに変えなくていいです、と。どちらかというと、テンションをそんなに上げず、淡々と話してもらった方が、耳障りも良いと。私もAudibleを聴いている時にそう感じていたので、こうやって作られていくんだなと実感しました」

 ◇「ラブ&ポップ」は1990年代のエネルギーが感じられる作品

 今回読んだ「ラブ&ポップ」については、「今回初めてこの作品に触れました」と明かす。

 「私の世代よりちょっと上のお姉さんたちの話で、こんな時代もあったねという物語です。私たちも生きてはいたけれど、今考えたら信じられないなという世界観で。SHIBUYA109とかギャルとか援助交際とか、日常的に聞こえてきていたし、悪いことをしてる人たちという印象もあったけれど、私のように田舎育ちの人にとってはカリスマ的な、一見危ないことをしている女子高生たちが登場して。読んでいて、悪さをしているところをのぞき見したようなドキドキ感もありました。でも、この物語は特別なことじゃなくて、1990年代って毎日こういうことがどこかで起きていたかもしれないという時代だったんだよなと思いました」

 この作品に触れる人には、「その時代を知っている人には、そうそうって共感してもらえる作品になっていると思いますし、知らない人たちには、『うそでしょ、こんなことあったの?』って新しいカルチャーを知ってもらうきっかけになったらと思います。本当に刺激的で、あの時のエネルギー、パワーが感じられる作品です。ギャルってすごく強かったなって、あんなパワフルな人たちは、後にも先にもあの時代の彼女たちにしかなかったなって思いました。ずっと楽しくて、それが終わらないと思っていた。ある意味すごくいい時代だったのかもしれないですね」と語る。

 ◇“読書の秋”自身の読書体験は

 “読書の秋”を迎えて、松本さん自身の読書体験を聞いた。

 「湊かなえさんの『告白』を最初に手にした時、一気に読んじゃいました。もっとじっくり時間をかけて読んでも良かったのに、次がめくりたくなって一瞬で読みたくなってしまった。そう思わせてくれるのは、自分でイメージしながら活字を追っていくという小説の楽しみ方でもあります。Audibleのように耳で聴くのも全然違う小説の楽しみ方なんですよね。耳で聴くとダイレクトにキャラクターが頭に浮かんでくるんです。私はそちらの方が、物語に入り込めるというか、イメージが浮かびやすい。目で追うのも、耳で聴くのも、どちらも素晴らしい時間を与えてくれるものだと思うのですが、Audibleは最初、耳で聴く小説って?と思ったけれど、実際に自分が触れてみたら、なんて素晴らしいんだろうと自分に合っていると思いましたね」

 実際には、「Audibleは散歩しながら聴いたりしています。耳で聴いてしっかりと脳の中で物語が展開しているのに、目では公園で遊んでいる人を追っていたり、汗だくで走っている人を見ながらというのが本当に不思議な感覚で。本を読むのとは全然違う没頭の仕方ができるんです」と松本さんなりの楽しみ方を明かした。

 (取材・文・撮影:細田尚子/毎日キレイ編集部)

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