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ar:石原さとみ、長澤まさみらのフェロモン表紙が話題 編集長に聞く好調の秘密

 今年で20周年を迎える女性ファッション誌「ar(アール)」(主婦と生活社)が、石原さとみさん、長澤まさみさん、ローラさん、上戸彩さん、水原希子さんら、女優やモデルのフェロモンを引き出した表紙で話題を集めている。さらに「雌(めす)ガール」など独特のワードで“攻め”のモテ路線を打ち出していることでも注目され、発行部数は約3年前のリニューアルから約1.5倍になった。同誌の笹沼彩子編集長に、表紙撮影の裏側や、雑誌作りについて聞いた。

 ◇女優もモデルも「すでに雌」 清純派の“脱皮”としても注目

 同誌の表紙は、女優やモデルが、湯上りのような色っぽい表情を見せているのが特徴。雑誌の表紙に最も多く登場したタレントなどを表彰する「カバーガール大賞」では、石原さんが表紙を飾った2014年発売の雑誌のうち36誌の中で、同誌の14年7月号が一般投票による「最も人気な表紙」に選ばれた。またローラさんが表紙の24誌の中での「最も人気な表紙」も同誌の14年5月号が選ばれるなど人気を集めている。

 笹沼編集長は「可愛い子の可愛いところが見たいという“オヤジ目線”」をポイントにしており、表紙の撮影について「(女優もモデルも)すでに“雌”。フェロモンを持っているので、(フェロモンを)出せそうな空気を作れば勝手に可愛さは出てくる」といい、「奇跡が生まれやすい場を作るだけ」に徹している。「自由に動いてもらうだけでオーダーはあまりしない。楽しい空気を作ることだけを考えている」という。

 表紙には、井上真央さん、能年玲奈さん、有村架純さんら、ドラマや映画でセクシーさをあまり見せない女優も登場している。最近は芸能事務所から提案を受けることも多いといい「清純派の人に『もっと大人の階段を上らせたいので何かできないですか?』という相談はあります」と明かした。

 ◇“全方位モテ”より“1人モテ” 電子書籍は男性が4割

 「ar」は1995年9月に創刊され、2012年11月に誌面を大幅リニューアルした。笹沼編集長は入社以来、同誌の編集に携わり、リニューアルと同時に編集長に就任。リニューアルで「キャラ立ちすることを目指した」といい、健康さと色っぽさを兼ね備えた「雌ガール」や、フェロモンが出ている状態を「おちゃめに表現した」という「おフェロ」などのワードも生み出した。

 基本方針は不特定多数の人からモテる“全方位モテ”ではなく、自分の好きな人からモテることを目指す“1人モテ”。「関係ない人にモテてもしょうがない。ターゲットを絞った上で、好きな人からモテて継続するのが一番」といい、その上で、恋愛に積極的ではない「草食系男子」の“食欲”を刺激するような「雌ガール」を提案している。

 また表紙では「物欲に負けそ~」「じゅんじゅわな冬」「プリプリプリチー」など独特なコピーを採用。「『何を言っているの?』っていうくらい変わったコピーが欲しかった。『何だろう?』と思って中身を見てもらいたい」と理由を話す。

 電子版も好調で、電子雑誌の定額読み放題サービス「dマガジン」の読者は男性が4割を占める。「本屋では手に取りづらいに違いないけれど、目にしたい感じなんだなと同じ“オヤジ”としてはうれしいです」と顔をほころばせる。

 出版不況と言われ、老舗の雑誌の休刊も目立つ中、独特のコンセプトと言葉感覚で異彩を放つ「ar」。今後は「ウェブサイトも積極的に活用し、今までの読者層とは違った層も取り込みたい」としている。今後、同誌がどのように出版界を生き抜いていくのか注目だ。

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