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三浦理恵子の美容ライフ:第83回 着物を着て出かけたい! 「銀座いせよし」千谷美恵さんと対談

 あっという間に12月です。今年のうちにやっておきたかったことの一つ、今回は和装に挑戦します。

 生前祖母が大事にしていたものや、母が仕立ててくれた着物を受け継いでいきたいと思っていました。

 今回お世話になる着物の先生は、東京・銀座に「銀座いせよし」というお店を構える千谷美恵さんです。着付けに入る前に、まずは着物のことについていろいろ伺っていきたいと思います。

 ◇憧れ…だけど敷居が高い

 三浦さん:先生は以前、外資系の銀行にお勤めだったということで、すごい転身ですね。

 千谷さん:そうなんですが、実はこちらが実家で、私が5代目なんです。だから私にとっては銀行が異例で、実家に戻ってきただけなんですが、今は着物業界が衰退してしまって、若い方などは着物のことが分からない方が多かったので、独立して、店に入りやすいアウトレット風な着物屋を作りまして、最初は10代、20代の方向けにカジュアルなものをお売りしてたんです。ところが60代、70代の方でも、着物がまったく分からないという方がいらして。年齢的にレンタルや中古の店には入りにくいけれど、格式の高い呉服屋は知識がなくて行けないということで、結果、0歳のお宮参りの方から80代の方までいらっしゃるような呉服屋になったんです。

 三浦さん:理想的ですね。まさに私も先生のターゲットです。ずっと着物に憧れがあって、ちょっとした外出やパーティーなど、ここぞと思うときにお着物で出掛けられたらなんて粋(いき)なんだろうって思うんですが、敷居が高い。一から勉強しないと分からないだろうとか、保存の仕方はどうするんだろうとか、本当に初心者なんです。

 千谷さん:着物は勉強ではないんですよ。着物だってファッションだから本で読んで分かるものではないので、その方のライフスタイルをお聞きして、三浦さんなら、お着物でどこへお出掛けになりたいか、それに合ったものを提供させていただくんです。

 三浦さん:その着物を自分で着るためにはどうするんですか?

 千谷さん:着物が出来上がったら着付けをお教えするので、3回いらしてくださいって申し上げるんですね。3回で着られるようになりますからというと、みなさん「えっ?」って驚かれるんです。1回目は結構大変で筋肉痛になる方もいらっしゃいますが、2回目になると体が覚えていて意外とできるので、3回目はもう見えない方もいらっしゃるんですよ。

 三浦さん:もっと通うイメージでした。着るためにはコレが必要で、こういうお作法があって……と、考え過ぎなんですね。

 ◇着物を着ると誘いも増える!?

 三浦さん:これから着物を着ようというとき、最低ここは押さえておけばっていうことはあるんですか?

 千谷さん:まずは、何で着物が着たいかを伺うんです。お茶を習い始めた方とか、成人式とか結婚式とか。理由はないけどただ着たいという方もいらっしゃるので、そういう方には、「ちょっと銀座でお茶を飲みに行くような感じでいいですか?」と申し上げて、そうですといわれたらそれに合わせるんです。

 三浦さん:洋服と同じで、お呼ばれした食事会にジーンズとTシャツで行くのは恥ずかしいと思う感覚と似てますね。

 千谷さん:まったく同じです。

 三浦さん:着物は難しいって頭が凝り固まってました(笑い)。

 千谷さん:着物を着始めると、いろんな場面が増えてくるんですね。次は友だちと出掛けるときに着ようかとか、美術館に行くときに着ようかしらとか、自分の中で機会が増えてくると、誘われる機会も増えるんですよ。「着物を着るなら今度お茶会にいらっしゃらない?」とか。そこからどう発展していくかはその方次第なので、迷われたらまたご相談いただいて。今度は帯だけ替えたりして、最初の1枚から絶対ムダにしないというのが、私のお勧めしてることなんです。みなさん最初の1枚は勉強だからって適当に作る方もいらっしゃいますけど、1円も無駄にしないというか、一生持てるものですからね。

 三浦さん:長く自分が愛していけるものがいいですよね。

 千谷さん:若い年代に作った着物が70歳になって着られなくなっても、コートに変えたり、長襦袢(ながじゅばん)に替えたり、仕立て直しができるし、娘さんやお嫁さんにあげることもできるし。

 三浦さん:洋服と一緒ですね。好きなものはずっと長く着ていく。大事にできるものが基本だということですね。

 千谷さん:自分には何が似合うか分からないとみなさんおっしゃるんですけど、まず好きなものをお聞きして、いくつか合わせて、「どれが一番お好きですか?」って伺うんです。やっぱり好きなものしか着ませんし、あてがわれたものは似合わないんですよ。

 ◇色合わせや着こなしの不思議

 三浦さん:先生はご実家が呉服屋さんで、以前から着物を着る機会は多かったんですか?

 千谷さん:私は子どもの頃から着物が好きだったので、お正月は必ず着せてもらってましたね。家族で食事に行くときや、神社にお参りに行くときも着物を着て。着物って冬は暖かいし、着ているだけで楽しいんですよ。

 三浦さん:お母様とか、おばあちゃまとか、ご家族の方に教えてもらったんですね。

 千谷さん:母に着せてもらうんですが、必ず祖母がそれを直すんです。ここはもうちょっとこうした方がいいわよって。あとは出掛けるシチュエーションに応じて、組み合わせは父や祖母が教えてくれましたね。

 三浦さん:我が家も出掛ける前に家族でチェックし合いました。

 千谷さん:そうですね。私も洋服で育ちましたから、祖母が黄色い着物にピンクの羽織を選んだりすると、「えっ? これとこれ?」と思うんですが、合わせてみるとすてきなのが子どもながらに衝撃で。着物っておもしろいなと思いましたね。

 三浦さん:洋服の合わせ方と違って、華やかで、粋ですものね。

 千谷さん:お友だちの歌舞伎役者さんとお食事に行くきは、これにしなさいとか、家族で出掛けるときは、これにしなさいとか。同じ着物でも羽織や帯を替えるだけで全然違うということを習ったので、それがおもしろかったですね。

 ◇海外旅行にも着物がおすすめ

 三浦さん:先生がこれだけお着物のことが好きなのも、そういうお家に生まれて、もともと持っている心根があるんでしょうね。実は私の母も和裁の職人さんなんです。

 千谷さん:それは素晴らしいですね。今は和裁士さんも減ってきているので、お母様に縫っていただけるなら、着物はかなり身近ですね。

 三浦さん:実家のたんすには母が縫ってくれた私用の着物や、祖母のものがいろいろあるので、それをこれから私が着て、ちゃんとケアして守っていきたいという気持ちがありまして。昨年パリに行ったんですけど、その時に、最先端のファッションブランドが立ち並ぶ石畳の道を、カッコいい洋服を着て歩くのも気持ちいいけれど、ここで着物を着ていたらどんなに誇らしいだろうと思ったんですよ。それで次に来るときは絶対着物を着たいという憧れもあって。

 千谷さん:海外は環境的にも着物の方がいいですよ。日本と違って室内と外の温度差が激しかったりするけれど、着物がそれを調節してくれるんです。通気性がいいから、熱いときは熱がこもらないし、基本的におなかの部分は温められているから、寒いということもそんなにないんです。畳むと薄くなるのも荷物にならないし、ぞうりは無難なものを持っていけばたいてい大丈夫だけれど、洋服だとこの服にはこの靴とかあるじゃないですか。

 三浦さん:その通りですね!

 ◇コンビニも遊園地も着物で!?

 千谷さん:私は、3回に1回は着物を着てくださいって申しあげるんです。今度こういう機会があったら着ようと考えると、機会はないんですよ。だから3回目に出かけるときは必ず着物。コンビニだろうが、遊園地だろうと、必ず着物。そうやっているうちに、着物で行こうっていう気持ちになっていくので。

 三浦さん:洋服でもありますよね。すてきと思って買ったのに、機会を待っているうちに1年も着ないとか。

 千谷さん:最初は帯の締め方に自信がないんですが、そういうときは羽織を着ちゃうんです。羽織はコートと違うので部屋の中に入っても脱がなくていいので、後ろがグチャグチャでも前だけキレイになっていれば大丈夫(笑い)。羽織がなかったら、大きいショールで後ろを隠して出かけて、慣れてきたら300人のパーティーだろうが堂々と着られるようになりますよ。

 ◇型破りな着こなしもカッコいい

 三浦さん:家で眠っている着物を先生に見ていただいて、これにこれを合わせたらシックに着られるとか相談してもいいですか?

 千谷さん:もちろんです。組み合わせも最初はよく分からないと思うので、まずはおうちにある一番好きなものを持ってきてくださいって皆さんにもいうんですね。それをどう生かすかを考えて、自分で着るようになると場面によって何が必要かが分かってきますよ。

 三浦さん:すごくありがたいです。最初から自分で選べるほど着物に親しんでいないので。

 千谷さん:反物をいろいろ合わせてみると、意外とこんな色が似合うとか、こんな色が好きという発見があるので、新しい感性を自分の中から掘り起こしていく感じですね。着物でも洋服でも、感性は一つで、自分の中に入っているので、その着物の部分をどう掘り出してくるか。

 三浦さん:すごく分かりやすいお話! ますます興味が湧いてきました!

 千谷さん:基本だけ押さえれば大丈夫です。浴衣に袋帯をしめたらおかしいとか、そういうことはあるんですが、あとは相手に失礼にならないように。今は男性でも女性的な色合いや柄の着物を着ることがあって、その逆もあります。いきなり初心者がそれをやるとカッコよくないですが、着こなした人は所作もできているから、見ていてもカッコいいんです。(歌舞伎役者の十八代目)中村勘三郎さんもおっしゃっていましたけれど、型破りっていうのは、最初に型がないと破れない。だから知識はお教えするので頭に入れていただいて、あとは好きなものを着るのがカッコいいんじゃないかな。三浦さんは素養がおありになるので、絶対そうなれますよ。

 三浦さん:今度フランスに行ったときにはぜひ着物を着られるようにしたいですね。

 *……楽しいお話を伺ったあとは、いよいよ着付けです。自分で着るのは初めてなのですが、その様子は次回たっぷりお伝えします。

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