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中山美穂:悪女役で新境地 躊躇「全くなかった」

 女優の中山美穂さんが主演を務めるWOWOWの連続ドラマ「連続ドラマW 賢者の愛」。主人公の女性が、初恋の人を奪った親友の息子を20年の歳月をかけて“自分好みの男”に調教し、復讐(ふくしゅう)の道具として仕立て上げる……という衝撃的な物語で、連ドラ主演は約2年ぶりとなる中山さんが、美しさと賢さを併せ持つ主人公の“悪女”高中真由子を体当たりで演じている。「こういう役どころが初めてだったのでぜひやりたいと思った」と新境地に意欲を見せる中山さんに話を聞いた。

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 ドラマは、山田詠美さんの「賢者の愛」(中央公論新社)が原作。敏腕編集者の真由子(中山さん)は、親友・朝倉百合(高岡早紀さん)と真由子の初恋の人・澤村諒一(田辺誠一さん)の息子・直巳(竜星涼さん)とひそかに逢瀬を重ねていた。彼が生まれたとき「ナオミ」と名付けたのはほかでもない真由子で、その名に隠された彼女のたくらみは誰も知る由もなかった。20年にも及ぶ真由子の復讐とは……というストーリー。

 --主人公の真由子は刺激的な役。演じるにあたって躊躇(ちゅうちょ)はなかったですか。

 全くなかったですね。むしろ楽しめたというか。もともとそういう役をやってみたかったというのもあって。(これまでは)ヒロインという感じの役が多かったので、やりがいのありそうな役だなって。(オファーがあったときは)即決しましたね。

 --今回はどういうコンセプトで演じましたか。

 脚本通りですね(笑い)。自分の個人的感情や考えとかを入れ込むというのが、私はあまり好きじゃないんですよ。だから、きちんと全体の中の一部として成立する芝居であればいいなと思って演じていました。

 --今回演じて苦労したところは?

 これまでとは違った一面が出せると思っていたけれど、演じているときは「あれ、私、今までとそんなに変わっていないのかな」って少しがっかりした部分もあって、それを埋めるべく、どうやったらいいかを悩んでやっていたところがありました。でも、実際に出来上がったものを見たときは、思っていたよりもちゃんとできていたんだなって思いました(笑い)。

 --長年にわたり復讐する女性という役に共感しますか。

 想像できないし、理解もできないんですよね(笑い)。

 --相手役の竜星さんの印象は。

 とにかくすごくフレッシュ。フレッシュでそのままの感情でぶつかってこようとするから、素直で受け入れて反応していきたいなと思っていました。そういうフレッシュさで芝居をしてくるということが私にはできないし、だからすごくうらやましかったですし、今できることを彼はやっているんだということに感動もしましたね。

 --ラブシーンの撮影では竜星さんとどのような打ち合わせを?

 今回はそんなにしなかったですね。(源孝志)監督の思うことを(やりました)。ただ、(竜星さんは)緊張したでしょうね。私もしましたけど。大変だったと思います。

 --親友だけれども真由子の人生を狂わせる百合についてはどう思いますか。

 多分、高岡さんがすごく合っていると思う。脚本を読んだときに、すごく嫌な、怖い人だなと思ったんですが、早紀ちゃんがやることですごく華やかになったと思います。あと、何のためらいもなく堂々と演じてくれたのがすごくよかったなって。私も今後、百合みたいな役を女優として演じてみたいと思いましたね。

 --愛憎の物語ということですが、中山さんにとって「愛」とは?

 コミュニケーションかな。自分の思いだけではだめというか、成立しないものだと思うんですよね。「無償の愛」とかはありますけど、人を育てていくとか、人を理解するとか、分かり合おうとするとか、そういう努力ができることが愛じゃないかな。無関心にならずに、突き放さずに。「思っている、思っている」「好き、好き」というのは私はそんなに愛だとは思わないですね。

 --読者にメッセージを。

 人間の汚いところや醜いところがふんだんに出ています。ドラマだからできることなんですけれど、そういう人間らしさ、きれいごとではないという部分などを感じてほしいですね。

 *……「連続ドラマW 賢者の愛」は、毎週土曜午後10時にWOWOWプライムで放送中。全4話。また、9月9日深夜0時から、第1~3話を最終話直前に一挙放送する。

 <プロフィル>

なかやま・みほ 1970年3月1日生まれ、東京都出身。1985年に女優デビュー。同年、歌手デビューも果たす。近年出演した作品は、映画が「サヨナライツカ」(2010年)、「新しい靴を買わなくちゃ」(12年)、ドラマは「プラトニック」(14年、NHK BSプレミアム)など。

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