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松坂桃李&菅田将暉:男兄弟ならではの関係性と歌唱シーン…17年の生き方も語る 映画「キセキ-あの日のソビト-」で共演

 4人組ボーカルグループ「GReeeeN」のヒットソング「キセキ」の誕生にまつわるエピソードをモチーフにした映画「キセキ-あの日のソビト-」(兼重淳監督)が全国で公開中だ。GReeeeNのリーダー・HIDEさんと、音楽プロデューサーでHIDEさんの実兄のJINさんをモデルに、兄弟や家族の絆、仲間たちとの日々を描く。父の反対を押し切って音楽の道を志す兄・ジンを演じる松坂桃李さんと、歯医者を目指しながらも仲間との音楽作りを楽しんでいる弟・ヒデ役の菅田将暉さんの2人に話を聞いた。

 ◇久々の共演に肉体的に精神的にも互いに「ドンと来た」

 今作への出演が決まったときのことを、松坂さんは「まず、実話を基にしているんだということに驚きました」と振り返り、「深く話を聞けば聞くほど、映画として成立する面白い要素がたくさんあって、それが実話として存在しているというのは非常にワクワクしたし、演じるのが楽しみでした」と笑顔を見せる。

 自身を“GReeeeN世代”だという菅田さんは「今の時代、顔を隠して音楽をやって曲の力だけで勝負しているというのは、すごいことだな、と。そこに至った理由は、見たいと思いました」と切り出し、「どのジャンルの人もカッコよさや可愛さといったビジュアルがきっかけになることも多い中、その真剣勝負な感じと家族の話を聞いたときは納得してしまいました」と心引かれたという。

 松坂さんと菅田さんの共演は久しぶりとなるが、「以前と比べて楽しさが倍増しました」と松坂さんは笑顔を見せ、「前に共演したときは、そういった楽しさを感じる間もなく終わった気がするんですが、改めてがっつりやってみて、普段の現場では味わえないような楽しさというか、菅田と(の共演)でしか経験できないような楽しさ、ドンと来る感じがありました」と声をはずませる。

 聞いていていた菅田さんも「僕もドンと来ました」とうなずき、「(松坂さんは事務所の)直属の先輩ですし、東映で(「仮面ライダーW」の)オーディションを受けて始まった役者業の中でも、本当に始まるときにお会いした人で、常に僕の目の前には桃李くんの背中がありました」と感慨深げに語る。続けて、「だから今回の共演は特別な時間。特に2人でケンカをするシーンはパワーが強くて、1週間ぐらいアザが残りましたけど、なんかうれしかったです(笑い)」と楽しそうに振り返る。

 2人は兄弟役を演じているが、松坂さんは「僕は実際にいるのは妹なので、撮影ではあるけど弟との距離感というか、多くを話すわけじゃないけどなんとなくお互いを感じ取れる関係性というのは、男同士ならではのような感じがする」とジンとヒデの関係性を分析し、「もし男兄弟がいたら、こういうこともあり得たかもしれないなという感覚が味わえたのはうれしかったです」としみじみと語る。

 一方、菅田さんは「『兄ちゃん』と言いやすかった。多分それってすごく大事で、本来は一番考えなければいけないポイントなんですが、今回一番考えずにすんだというか考えることすら忘れるくらいでした」と自然に兄弟の関係性を演じられたことを明かすと、「考えなかったね」と松坂さんも同意する。そして、「お陰でグリーンボーイズの方に集中できました」と菅田さんは感謝する。

 ◇普段は見られない松坂と菅田の歌唱シーンは…

 今作では2人の歌唱シーンも見どころの一つで、松坂さんはメタルバンドのボーカルとして甘い歌声を披露している。松坂さんは「今まで味わったことのないような感覚、経験ができました」と話す一方で、「それ以上に、1曲歌うだけでもすごく大変だということを実感しました。普段は聴く側として何気なく聴いているわけですが、歌う側に立ったときにいろんな技術を駆使していたんだということを知り、アーティストの人ってすごいな、と」と実感したという。さらに、「この作品をやってから、聴く側に戻った今はちょっと違う感じという、より奥の方まで音楽を楽しめる感覚ができた気がします」と手応えを感じた。

 菅田さんは、横浜流星さん(ナビ役)、成田凌さん(クニ役)、杉野遥亮さん(ソウ役)と組むグループ「グリーンボーイズ」のリードボーカルとして、美しく透きとおるような歌声を聴かせる。「楽器もなく、歌うだけというのは少し恥ずかしかったです」と菅田さんは言い、「映画では(グループとして)デビュー前のシーンが多かったので、恥ずかしいけれど楽しくて、あまりカッコつけずにみんなで自分たちが楽しいままでいられたのがよかったです」とほほ笑む。

 そんな菅田さんはグリーンボーイズとして実際にCDデビューも果たした。「音楽に対してリスペクトがあるからこそ、簡単にミュージシャンの世界に手を出しちゃだめだという気持ちもあった」としながらも、「僕より音楽に詳しい人たちや芸能界をたくさん知っている人たちが(デビューした方がいいと)言ってくれたので、『やってみようかな』と思いました」と心境を明かす。

 その結果、7日にさいたまスーパーアリーナ(さいたま市中央区)で行われたGReeeeNのライブにも出演。そのきっかけを「さいたまスーパーアリーナで1万6000人の前で歌うなんて、普通の役者人生ではまずないことだけど、経験してみたいと思っちゃったんです」とうれしそうに話す。

 ◇役作りではGReeeeNメンバーとの対話がヒントに

 ジンとヒデは音楽に対する熱い思いはともにあるものの、アプローチの仕方や家族との関わり方など対照的な人物として描かれている。ジン役を演じるにあたり松坂さんは、「ストレートに音楽が好きという気持ち」を大事にしたと言い、実際にGReeeeNのプロデューサー・JINさんと対面し、「“言葉の吸引力”というか、言葉を話すことですごく引きつけられるような感覚を覚えましたし、(JINさんは)『風を感じるんだよ、俺は』という感じのような人で、男から見てもカッコいい方」とJINさんの魅力を語る。

 続けて、「JINさんは、裏方に回っていても、自分のやりたいことをあきらめたり、妥協したりということはなく、折り合いを付けてこの場所にいる。そのことを、会って話したり、台本を読んだりして撮影が進むにつれ、だんだんと感じました」と心情について理解を深め、「(JINさんの)ストレートに音楽に携わり続けていきたいという気持ちを大事に、そういう魅力をちゃんと出せればなと思いました」と本人と対面が役作りに生きたことを打ち明ける。

 その結果、JINさんがプロデューサーという役割を選んだことについても、「“もう一つの正解の道”というか、ここだけが正解ではなくて、自分の中でしっかりと判断し決断して前に進んだというのは、自分が選択したからそこ、それも正解ということなのでは」と松坂さんは対話と役作りから得た見解を話す。

 HIDEさんと対面したという菅田さんは「超人というか当たり前のレベルがすごく高い」と驚き、「シンプルに人間的にカッコいいと思いました」と尊敬の念を隠さない。その理由を「歯医者さんをやりながら年間100曲以上も作っているけど、それが特別なことという感覚ではなく、当たり前にやっている感じは、端から見たらすごくストイック」と切り出し、「『二兎(と)を追う者が二兎を得た』というHIDEさんのすごみは何なのだろうと考えると、やっぱり楽しむことなのかなと」と推測する。

 さらに、「GReeeeNの皆さんのレコーディング風景を映像で見せてもらったのですが、ささいなことでもみんなで笑い合っていて楽しそうだなと」とメンバーの笑顔が印象的だったことを明かし、「たぶん一人ではこうはなっていなくて、JINさんとGReeeeNの皆さんとの出会いがあってのことでしょうが、その感覚が出ればいいなと思いました」と語る。

 ◇20代最後の松坂と年男の菅田、17年も全力疾走!

 2016年を振り返って、菅田さんが「楽しかったです」と笑顔で言うと、松坂さんも「非常に楽しかったですし、とにかく走ったなという感じはしました」と感慨深げに話す。17年について、松坂さんは「ある種スタートというか、今まで以上に“勝負の年”というか、本当に意味で自分のやってきた仕事の、もうすぐ20代が終わってしまうので、それの集大成というか、20代のうちにやるべきことをすべてやるような意気込みでやっていきたいです」と抱負を述べる。

 一方、菅田さんは「年男なんです」と切り出し、「去年は本当に感謝の年でした。いろんな人に知ってもらえる機会がたくさんあり、今まで立ったことのないステージにたくさん立ち、いろんな人に出会えて、17年はやっと望んでいたスタートが切れるような、そんな気持ちでいっぱいです」と思いを語る。

 映画では夢への向き合い方や、壁にぶつかったときの心理や乗り越え方といったテーマも盛り込まれている。松坂さんは「本当に壁だらけです」と穏やかな表情で切り出し、「デカい壁があったとしても、自分が変わらないと大きいまま。別に世の中が変わるわけではないので、自分が変わって乗り越えていかないといけない」と持論を語る。

 続けて、「壁にぶち当たったときは、『とにかくやってみる』という感じです。むしろ自分の中では、それぐらいイメージが湧かない方が面白いというか。常に出し惜しみなく自分の全力。今まで経験したこと、考え得ることをすべて出す。毎回そういう感じです」とハードルの乗り越え方を明かす。

 神妙な表情で聞いていた菅田さんは、「何をもって壁とするか」と自分にとっての壁という概念へと切り込み、「それは自分の尺度でしかないので、簡単なことも難しいことも結局は地道な作業の積み重ねでしかない。見方を変えれば面白く見えてきたりもするので、壁だと思っている自分が一番、壁なんです。そこで可能性が減ることだけは避けたいと思っています」と力強く語る。

 映画のタイトルにちなみ、最近あった“キセキ”な出来事を尋ねると、松坂さんは「仕事の移動で乗った新幹線の中で、マネジャーさんと『(明石家)さんまさんに会いたい』という話をしていたら会えました」とほほ笑むと、「それいいな!」と菅田さんはうらやましがるも自分が話す番となり、「このあとか……」と悩む。

 しばらく考えた末、「こっちで出会った友だちが地元の後輩だったんですけど、同じアメフット部で最寄りの駅が同じで隣の高校でした」と菅田さんは切り出し、「それでほかの地元の友だちも交えて一緒にご飯を食べていたら、地元から来た小学校も中学校も一緒だった友だちが、その子の先輩と知り合いで、(世間は)狭いなと思いました」と笑った。映画は全国で公開中。

 <松坂桃李さんのプロフィル>

 1988年10月17日生まれ、神奈川県出身。モデルとして芸能界入りし、2009年に特撮ドラマ「侍戦隊シンケンジャー」(テレビ朝日系)で俳優デビュー。12年公開の映画「ツナグ」で映画単独初主演を果たす。現在はドラマや映画、舞台などで幅広く活躍中。主な出演映画に「王様とボク」(12年)、「万能鑑定士Q‐モナ・リザの瞳‐」(14年)、「マエストロ!」(15年)、「日本のいちばん長い日」(15年)、「真田十勇士」(16年)、「湯を沸かすほどの熱い愛」(16年)などがある。

 <菅田将暉さんのプロフィル>

 1993年2月21日生まれ、大阪府出身。2009年に特撮ドラマ「仮面ライダーW」(テレビ朝日系)でデビュー。13年に主演映画「共喰い」で日本アカデミー賞新人俳優賞、14年には「そこのみにて光輝く」で日本映画批評家大賞助演男優賞などを受賞。主な出演映画に「王様とボク」(12年)、「暗殺教室」シリーズ、「ピンクとグレー」(16年)、「ディストラクション・ベイビーズ」(16年)、「セトウツミ」(16年)、「二重生活」(16年)、「デスノート Light up the NEW world」(16年)など。17年には出演した映画「帝一の國」や「銀魂」の公開を控える。

 (取材・文・撮影:遠藤政樹)

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