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小松菜奈:「私じゃなきゃ意味がない」と思ってもらえる女優に 映画「来る」でピンク髪に

 人気グループ「V6」の岡田准一さん主演のホラー映画「来る」(中島哲也監督、12月7日公開)で、霊媒師の血を引くキャバ嬢という特殊な役柄に挑んだ女優の小松菜奈さん。「お化けとの戦いではなく、自分自身との戦い」という思いで演じていったという小松さんに、役作りについてや初共演の岡田さんとのエピソード、さらに最近の健康法や今後の抱負を聞いた。

 ◇岡田さんは「近所のお兄ちゃん」

 原作は、澤村伊智さんによるホラー小説「ぼぎわんが、来る」(角川ホラー文庫)。ある一家にとりついた「何か」の正体を、岡田さん演じるオカルトライターの野崎和浩が突き止めようとする姿を描く。小松さんが演じるのは、野崎の恋人で、霊媒師の血を引くキャバ嬢・比嘉(ひが)真琴だ。ある一家の主を妻夫木聡さんが演じるほか、その妻を黒木華さん、真琴の姉で日本最強の霊媒師・比嘉琴子を松たか子さんが演じる。

 小松さんは最初に台本読んだとき、真琴は「お化けというより、(人間)みんなが持っている闇とか、抱えているものと戦っている。それは結局、自分自身と戦っていることだ」と捉えた。そのため、「ただ怖いだけではなく、おびえや戸惑いといった感情も出せたらいいな」と思いながら演じていった。撮影中、共演者とは「緊張しながら絡んでいました」と打ち明けるが、「岡田さんをはじめ、皆さんがすごく助けてくださったので、楽しい現場でした」と振り返る。

 その岡田さんとは今回が初共演。当初、岡田さんを「堅い人だと思っていた」そうだが、その印象は、実際の岡田さんが「変に緊張せずにいろんな話ができる」人であったことから、“近所のお兄ちゃん”に変換された。撮影の合間には、役柄についてより、「岡田さんの筋肉はなんでそんなについているんですか(笑い)」といった岡田さんの普段のトレーニング法や健康について話すことが多く、岡田さんからは、体に必要な栄養素や、食事の際には野菜から食べることなどをアドバイスされたという。

 ◇体を動かすことと古着が好き

 小松さん自身、食事に関しては、さほど気を付けていないというが、日頃からトレーニングをしているため、「活力をつけるため」にも、脂身のない赤身の肉をとるようにしているという。そして、「お肉、大好きなので」と屈託ない笑顔を見せる。また、たくさん食べた翌日は野菜を積極的にとるなど、バランスを考えた食生活を心掛けているという。

 もともと体を動かすことが好きだという小松さん。時間があるときには30分程度の「無理のない」範囲でジョギングをしているそうで、「楽しいし、汗もかくので、すごく気持ちがいいんです。気分転換にもなります。このまま続けられたらいいなと思っています」と話す。

 最近、一度だけアクション教室に通った。その話を岡田さんにしたところ、武術や格闘技のインストラクターの資格を持つ岡田さんから、「教えてあげるよ」と言われたそうだが、共に多忙な2人。残念ながらその機会はまだ持てていないという。

 今作で演じる真琴は、髪をピンク色に染め、体のあちこちにタトゥーを入れている。身に着けるファッションもかなり奇抜だ。小松さん自身、普段は、真琴のようにスキニーや黒いブーツは「単体で使ったりはします」としつつ、「ボーイッシュな格好が多い」そうだが、真琴ほど「派手な感じではないですね」と明かす。古着は昔から好きで、よく買いに行ったりするが、「これと決めないで、いろんなものに常に挑戦して、これは何に合わせたら自分らしく着られるかな」と想像を巡らしながらファッションを楽しんでいるそうだ。

 ◇22歳…青春映画もシリアス作品も「こだわらずやっていきたい」

 「坂道のアポロン」(18年)や「恋は雨上がりのように」(18年)など、このところ青春映画への出演が続いた。今作の中島監督からは「お前は青春映画のやり過ぎだと言われました」と苦笑交じりに明かす。小松さん自身は、今作のような「シリアスなものや、“精神的に来る”役のほうが、どちらかというと好き」だそうだが、「でも、青春映画のヒロインは今しかできないから。若い子たちもどんどん出てきていますし、自分でも、制服を着られるのは、もうたぶんそろそろ無理ぐらいの感じだと思います。でも、今、22歳ですし、こだわらずにいろいろとやっていきたいです」と意欲を見せる。

 根っこには、「いろんな役に挑戦したい」というデビュー当時からの変わらぬ思いがある。その気持ちを大切にしつつ、「(観客が)この役とこの役を演じている人は一緒なのにつながらない、みたいなのが面白いと思います。お芝居の上手な方は本当にたくさんいらっしゃいますが、(この役は)私じゃなきゃ意味がないと思ってもらえる人になりたい。下手でも全力で頑張りたいと思います」と力強く語った。

 <プロフィル>

 こまつ・なな 1996年2月16日生まれ、東京都出身。2008年、モデルデビュー。中島哲也監督に見いだされ映画「渇き。」(2014年)で女優デビュー。ほかの出演映画に「バクマン。」(15年)、「溺れるナイフ」(16年)、「ぼくは明日、昨日のきみとデートする」(16年)、「沈黙-サイレンス-」(16年)、「ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない 第一章」(17年)、「坂道のアポロン」(18年)、「恋は雨上がりのように」(18年)などがある。「さよならくちびる」(19年初夏予定)の公開を控える。

 (取材・文・撮影/りんたいこ)

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