映画「魔女の香水」に出演し取材に応じた黒木瞳さん

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私が30歳のころ：黒木瞳さん　「失敗は必ず次に生かされる」　成功体験を大切にして生きやすく

2023年06月16日　08:40

　第一線で活躍する著名人の「30歳のころ」から、生きるヒントを探します。今回は俳優の黒木瞳さん。アラサー時代の思い出や、30代をより輝かせるためのアドバイス、6月16日公開の映画「魔女の香水」（宮武由衣監督）などについて聞きました。（全3回の2回目、編集・取材・文／NAOMI YUMIYAMA）

　結婚、出産、キャリア……。選択肢が多いアラサー時代は、いろいろ悩みが多い時期。黒木さんに、「30代でやっておいて良かったこと」を聞いた。

　「人との出会いを大切にしたのは良かったと思いますね。あの頃は忙しくて仕事しかしていなかったんですけど、その中でいろんな人と出会ったんです。その出会いが後になってすごく実を結んだり、ためになったりしました。だから、今30代のみなさんも、普段からそんな出会いを見逃さない感性を持つといいですよね」

　また、いい人間関係を築くためには、普段のコミュニケーションの中で生まれる成功体験を大切してほしいというアドバイスも。

　「本当にささいなことでいいんです。何かをしてあげたら、ありがとう！と言ってもらったとか。“ああ、こう言ったら笑顔になってくれるんだ”という成功体験って誰でも何かしらあると思います。そんな出来事を見過ごさずに、一つ一つキャッチできるようになると、生きやすくなるんじゃないかなと思いますね」

　◇失敗は学びに変えて、あとはケセラセラ（なるようになる）の精神で

　20代の頃から、映画や舞台、ドラマで常に第一線で活躍してきた黒木さん。長年のキャリアの中では、人間関係で悩んだ時期もあったという。そんなとき、どう乗り越えてきたのだろうか。

　「人間関係って本当に難しいですよね。30代で学んだから40代は大丈夫というわけじゃない。子供から大人まで、ずっと続いていくものですから。だからこそ、皆さんには自分だけが悩んでいるんじゃないと思ってほしいです。私もこれまで死ぬほど落ち込んだり、たくさん失敗したり、泣いたりしてきました。

　そのたびに思ったのは、この失敗は絶対次に生かされるということ。だから失敗してもあまりネガティブにならないで、そこから何かを学んだら、あとは“ケセラセラ（なるようになる）”の精神で。そうやって次に進めばいい気がします」

　＜プロフィル＞

　くろき・ひとみ　10月5日生まれ。福岡県出身。1981年に宝塚歌劇団に入団し、月組トップ娘役として活躍。映画「化身」（1986年）で日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞。「失楽園」（1997年）で、日本アカデミー賞最優秀主演女優賞を受賞。「破線のマリス」「仄暗い水の底から」「東京タワー」「終わった人」など数多くの映画に出演。近年は映画監督として4作品を手がけ、舞台演出も手掛ける。

　＊……映画「魔女の香水」／上司のセクハラに抗議し、職を失ってしまった派遣社員の若林恵麻（桜井日奈子さん）は、「魔女さん」と呼ばれる白石弥生（黒木瞳さん）の香水店を訪れる。店で働くことになった恵麻は、弥生に授けられた言葉と香りによって、天職を探し求めるように香料会社で働き始める……というストーリー。