あなたにおすすめ
東京国際映画祭:綾瀬はるか、井上真央、米倉涼子がドレスアップ 芳根京子は振り袖、水原希子、河合優実、菊地凛子も
20~30代の女性をターゲットにした新ブランド「LiccA(リカ)」を創設し、大人女子向けに新戦略をとることになったリカちゃん。1967年の誕生以来、女児向けの着せ替え人形として親しまれてきたリカちゃんがどうして今、大人向けなのか。リカちゃんは既に1年前から、公式Twitter(ツイッター)でつぶやくなど積極的にメッセージや情報を発信し、フォロワーは4万人を超えている。“今を生きる姿”を発信し始めたリカちゃんの裏側に迫った。
リカちゃんは、67年に誕生した女児用の着せ替え人形。72年に2代目、82年に3代目と時代に合わせてビジュアルが刷新され、現在は87年に登場した4代目が流通している。先日発表された初の大人向けリカちゃんは、顔や身長はそのままだが、細身の服が着られるよう新規に開発した「スタイリッシュボディー」を採用。髪形や服装などはトレンドを取り入れ、大人がインテリア感覚で楽しめるドールとして企画された。
◇ブランド戦略の背景は
リカちゃんが今回、大きな方針転換をした背景には、消費者のライフスタイルの変化がある。タカラトミーは玩具メーカーとしてこれまで、「ブリキからプラスチック玩具へ」、「輸出中心からの転換」と2度の変革を経験してきた。スマートフォンやタブレットが登場し、ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)が普及する現在を3度目の変革の節目とみており、「第4創業」を掲げ、昨年3月、オランダ人のハロルド・ジョージ・メイさんを副社長兼最高執行責任者(COO)に迎え、既存ブランドの強化を図ろうとしている。
リカちゃんは、消費が冷え込む中でも、これまで堅調に推移し、売り上げは約25億円を誇っているが、近年の少子化や玩具店の減少により、露出や存在感が薄れてきており、同社は「鮮度が落ちている」と分析。また、「小さいころから親しんで大人になってもリカちゃんが好きな20代、30代女性の“大人買い”のニーズがあるのにうまく拾えていない」とみており、これまで埋もれていたサブターゲットの大人女子をメインターゲットに据えてブランドを強化しようとしているのだ。
◇リカちゃんでんわが進化
では、リカちゃんをブランド化することで目指しているものは何か? タカラトミー広報部の担当課長・村山麻衣子さんは「大人になった女性にリカちゃんのことを懐かしく感じてもらうというよりは、リカちゃんを今を生きている女の子というイメージで見せていきたい。今を生きている自分たちと同じようにファッションやトレンドを楽しむ存在として発信していきたい」という。
リカちゃんが今を生きている姿は、2014年6月に開設した公式ツイッターからもうかがえる。そもそもリカちゃんには、コミュニケーションツールとして「リカちゃんでんわ」がある。公開されている電話番号にかけるとリカちゃんの音声が流れて語りかけてくれるという女児に人気のコンテンツだ。 リカちゃんを友人のような存在としてほしいという思いから誕生したものだが、公式ツイッターはその進化形ともいえ、フォロワーは4万人に及び、“現代版リカちゃん電話”としてユーザーと交流している。
◇今を生きるいい女
ツイッターでは、銀座や青山などおしゃれな街中を背景に、大人っぽいファッションをしたリカちゃんの写真や、おすすめのスイーツやお店などの情報が積極的に投稿されている。リカちゃんがまとうファッションはリアルクローズ。海外のファッション誌を参考にするなどトレンドを意識して制作されているという。今年2月に開設された写真共有アプリ「Instagram(インスタグラム)」の「香山リカ」アカウントにも、おしゃれな衣装に身を包んだリカちゃんの写真が投稿されている。
ツイッターの話題はファッションやスイーツだけではない。「阿Q正伝」などで知られる中国の小説家・魯迅の言葉など偉人の名言を引用するなど知的で大人びた面を見せることもたびたび。村山さんは「リカちゃんは勉強熱心で好奇心旺盛。感受性も豊かです。名言を学ぶとすぐみんなに教えたくなるようです」と代弁しつつ、「リカちゃんには48年分の歴史がある。初代で遊んだ方は現在60代くらい。いろいろな面があるリカちゃんに触れることで感動したりわくわくやドキドキを感じてほしい」と話す。
ツイッターの反応は上々で、村山さんは「ユーザーからコメントをもらえたり、支持されているという手応えは感じています」と話す。ツイッターの内容は、フォロワーの反響をもとに書籍化され、20日に宝島社から出版される。同書の帯では、リカちゃんのファンを公言しているお笑いコンビ「ウーマンラッシュアワー」の村本大輔さんが「フォローしています。大好きです。♯マジでいい女」などとコメントを寄せている。
◇ファッション誌とのコラボも強化
昨年には、ファッション誌「VERY」(光文社)とコラボしたリカちゃん人形も発売された。母親世代も子供と一緒に楽しい時間を過ごしてほしいという思いから、おしゃれに敏感なお母さんたちが読んでいる同誌と組んだ企画商品は大好評を博し完売したという。さらに、大人っぽくなったリカちゃんは27日発売のファッション誌「装苑」(文化出版局)8月号に登場する予定だ。
今回の大人リカちゃんは「スタイリッシュボディー」が採用されたが、今後、大幅なリニューアルがあるのか、村山さんに聞くと「今のリカちゃんはまさにパーフェクト。お顔も最高、最大限にかわいいので現段階では変わる予定はありません」というが、「SNSなどを通じてユーザーと双方向でコミュニケーションをとりながらリカちゃんを進化させていきたい」と意気込む。今後も雑貨、服飾などのライセンス展開を強化し、ターゲットの拡大を目指すというリカちゃん。日本の女性に寄り添い、ともに歩んできたリカちゃんが今後、どう進化していくのかに注目だ。