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にしおかすみこ:認知症の母、ダウン症の姉、酔っ払いの父との同居生活は“自分ファースト”で 「どうしてもダメなら逃げるのも選択肢」

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 お笑いタレントのにしおかすみこさんの著書「ポンコツ一家2年目」が9月20日に発売された。「FRaUweb」(講談社)で連載中の認知症の母、ダウン症の姉、酔っ払いの父との同居生活を描いた「ポンコツ一家」に加筆修正、書き下ろしを加えた著書で、2作目となる。家族との関わり方や自身のリフレッシュ法などを聞いた。(前後編の前編)

 ◇家族を“見守る”日々 4年たち聞き流せるように

 2020年、母が認知症と診断され、家族と一緒に住むことになった。介護をする生活について尋ねると、「介護というイメージではない」という。

 「母が心配だし、一家の大黒柱だった母が認知症になって、父と姉も立ち行かなくなってるから、『私がいたほうがいいかな』ぐらいの気持ちで帰ってるので、介護しているつもりではないんですよね。

 その中で自分が病まない程度にできることをやるっていうぐらいで。いまのところ母はどこかへ行って迷子になるということもなく、寝たきりでもないです。なので私は家事をしながら何となく、“見守っている”という気持ちです。それくらいの構えであっても、やっぱりしんどいときはあります(笑)」

 同居生活を始めて4年たち、大変だったことを聞くと、「具体的な“これ”というものはない」という。

 「毎日毎日のちっちゃいことの積み重ねで、どんどん疲れていくっていうのを実感しました。最初のうちはなんで疲れているのかも分からないままでしたが、ごくまれに姉の粗相の問題とかがあると、ドッと疲れます。

 同居生活も4年たち、慣れてきたのか、適度に会話を聞き流すようにもなりました。最初の頃は認知症の知識とか情報もほぼ持っていなかったので、母と面と向かってけんかすることがあったんですが、いまは少なくなってきましたね。でもわかっていても、もめちゃうことはあります。あと聞き流したことが母にバレます(笑)」

 ◇いつまでも健康でいられないから「好きなことをしよう」 思いを口にするように

 家族との生活が始まってから、仕事に対する意識の変化もあったのだろうか。

 「『好きなことをしよう』って、すごく思うようになりました。母と一緒に暮らしていると、頭も体も全部が健康っていう状態がずっと続くわけではないことを意識します。まだまだ人生は長い気がしていたけど、私もいつ思うように動けなくなる時が来るかわからないな、元気なうちに好きなことをしようって。

 私は常に劣等感の塊で、『私なんかがそんなこと言って……』というのがあったんですけど、そういうことを言っていたらもう人生が終わっちゃうと思って、やりたいことを口に出すようにしています。実際『本を書きたい』とか『連載がしたい』って言っていたら、いろんな方のおかげで、夢がかないました。

 書籍の中でにしおかさんは「私が病んでしまっては元も子もない」と書いている。しかし、「家族を支えるというプレッシャーは感じないようにしている」という。

 「特別、背負うとも思ってなくて、私は自分の健康とか幸せがいちばん大事なので、心が病んでしまうようなら、その前に逃げるのも選択肢の一つだと思っています。共倒れは誰も幸せじゃない。私は自分ファーストです」

 ◇ちょっと高いランチが息抜きに ベジタブルカービングで美肌になれた?

 精神的にきついと感じたときには、「友人やマネジャーさんに話を聞いてもらっている」という。

 「親しい方々に甘えて、愚痴をたくさん聞いていただいています。そうすると、疲れていたけど、吐き出せたことで、またあすから頑張ろうかなって気にもなれます。すごく病んでしまうと、元に戻すのがなかなか大変だと思うんです。小まめに息抜きすることを心掛けています」

 そんな日々での息抜き方法を聞いた。

 「高いランチを食べに行きます。お刺し身が好きなので、街に出て、ちょっと高めのお刺し身ランチとか、海鮮丼とかを食べます。先日も立ち食いずしで、好きなものだけ楽しみました。お会計をしたら3000円もして、『ウソでしょ!?』って思ったけど、値段のことを考えるとおいしく食べられないし、息抜きにならない。家族の中で私だけおいしいものを食べているとか、貯金がないとか、今月もピンチとか、そういう気持ちを全部締め出します。そんなこと思っても誰も幸せじゃない。『きょうは行くぞ!』とむさぼります。

 あとは、ちょっとマニアックな趣味なんですけど、ベジタブルカービングっていうのをやっています。ナイフで野菜やフルーツをカットしてお花を作ったり、にんじんで龍を彫ったりします。無心になれていいんです。その後、その野菜を食べるので無駄もないし、肌の調子もよくなって何となく始めた趣味ですけど、息抜きにもなるし、体の内側からも元気になれる気がします」

 <プロフィル> 1974年11月18日生まれ。千葉県出身。1994年にデビュー。「女王様キャラ」でブレークし、多数のバラエティー番組に出演。 2009年、芸名「春風こえむ」として落語家デビュー、春風亭小朝独演会で初高座。著書に「ポンコツ一家」「ポンコツ一家2年目」(いずれも講談社)がある。

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