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お笑いタレントのにしおかすみこさんの著書「ポンコツ一家2年目」が9月20日に発売された。「FRaUweb」(講談社)で連載中の認知症の母、ダウン症の姉、酔っ払いの父との同居生活を描いた「ポンコツ一家」に加筆修正、書き下ろしを加えた著書で、2作目となる。50歳を前にした体力作りや家族への思いの変化などを聞いた。(前後編の後編)
◇週に1度は汗をかく 家族のための作り置きで食事もバランス良く
にしおかさんは現在49歳。11月に50歳の誕生日を迎える。家族をサポートする生活では、体力も重要だ。
「体力を維持することは私も考えていて、なるべく週1回は汗をかこうと思っています。ホットヨガの時もあるし、20、30分のウオーキングの時もあるし、なんでもいいからとにかく汗をかく。サウナはちょっと苦手なんですけど、岩盤浴に行くこともあります。汗をかくとスッキリします」
食生活も、家族との生活でバランスが良くなった。
「家族用に食事の作り置きをしていて、保存容器に野菜+肉とか、野菜+魚とか、1食で完結できるように入れています。私も同じものを食べたり、仕事のときは外食、あとはカービングで使った野菜は調理して冷凍保存してあるので、それを出して食べたり、ざっくりでですが栄養バランスはとれているつもりです。
いや、そうでもないかな。私、もともと甘いものが好きなんです。疲れると甘いものが食べたくなるし、その頻度は高いので、結果、プラマイゼロになっているかも……。大福でもケーキでもなんでも食べます。若いときはコーヒーに砂糖も入れちゃってて。最近はブラックが飲みたいと思えるようになりました(笑)」
◇誰しも認知症になる可能性はある 「症状ではなく、母自身を見ないと」
今作では、家族との生活の2年目を描いている。
「前作『ポンコツ一家』に比べて、みんな年を重ねて、母の症状も進んでいるんですけど、家族の個性がよりパワーアップしてるんですよね。 私の経験値も多少は上がっていますし、ふてぶてしさとか図々しさもパワーアップしています。それと文章力が上がっています。まだ誰にも言われてないですけど(笑)」
同居を始めて4年たった今、母の症状は少しずつ進んでいる。
「4年前に比べると、やっぱり忘れる頻度も多くなりましたし、妄想もあります。でも、まだまだできることはたくさんあります。姉の世話はいまも母がしています。難しくなってきたことだけ、さりげなくフォローします。母が、姉と私のことをずっと気にかけてくれるのは日々感じます。
母は感情のコントロールが難しいとき、人の悪口が多めになります。最近、私はそれを聞き流すのがうまくなりました。でもあまりに何度も同じことを繰り返されると、それは症状だから仕方ないとわかっていても、イラっとしてしまいます。この間『なんで同じことばっか言うの!』ってつい言ってしまったんですよ。そうしたら、母が『だってあんたが聞き流すから』って……。バレていました。
全然しっかりしている!って思いました。つい症状のほうに気を取られがちになりますが、母は私をちゃんと見ている。私も母という人をちゃんと見なければと思います。誰しも認知症になる可能性はあります。私がそうなったとき、私の中身を見てくれていないと感じたら、きっと寂しいし悲しいです」
◇個性迷子がSMの女王様に 母は「育て間違いを…」
にしおかさんにとって、家族への思いは変化したのだろうか。
「母は母だし、姉は姉だし、父も相変わらず酔っ払いだし、変わらないです。うちはもともとみんな個性が強くて、年々パワーアップしています。昔から、家族の中で私が一番キャラが薄くて。姉は多彩で絵が上手だったり、水泳に挑戦したり、創作ダンスや、歌、好きなことがたくさんありました。私は何ということはなくぼんやりした子供でした。常に個性迷子だったような気がします。そんな私に母は『好きなことを見つけなさい。好きが元気をくれるから。元気がいちばんだよ』と愛情深く育ててくれました。
時がたち芸人になり、“SMの女王様”キャラをやるようになって、やっと誇れる個性が見つかったと思ったんですけど、母は『どういう育て間違いをしたのか』と思ってしまったそうです(笑い)」
<プロフィル> 1974年11月18日生まれ。千葉県出身。1994年にデビュー。「女王様キャラ」でブレークし、多数のバラエティー番組に出演。 2009年、芸名「春風こえむ」として落語家デビュー、春風亭小朝独演会で初高座。著書に「ポンコツ一家」「ポンコツ一家2年目」(いずれも講談社)がある。