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セブンティーン:創刊50周年でいまや人気女優の登竜門 求められる「清潔感」と受け継がれる「伝統」

 女優の北川景子さんや榮倉奈々さん、波瑠さん、桐谷美玲さん、中条あやみさんらを輩出してきた女性ファッション誌「Seventeen(セブンティーン)」(集英社)。現在も、広瀬すずさんや飯豊まりえさん、永野芽郁さんと映画やドラマの“主役級”が専属モデルとして在籍し、一部では「人気女優の登竜門」と呼ばれている。なぜ同誌の専属モデル(=STモデル)たちは現役・卒業生を問わず、女優として活躍できているのか? 1995年から長年にわたって同誌の編集に携わってきた鈴木桂子編集長に、その理由を聞いた。

 「Seventeen」は、女子中高生に絶大な人気を誇るティーン向け女性ファッション誌。今年(2018年)で創刊50周年を迎え、現在は月に1回発行(毎月1日発売)され、14~19歳のモデル25人が在籍している。また専属モデルオーディション「ミスセブンティーン」の開催や「ミスセブンティーン」のお披露目の場となる夏の恒例イベント「Seventeen夏の学園祭」などでも知られる。

 ◇STモデルらしさ=「清潔感」 学校のような雰囲気の中で磨かれる「表現力」

 過去には木村カエラさんのように歌手になったモデルも在籍しており、「決して女優になりたい子たちを集めているわけではない」と話す鈴木編集長。モデルを選ぶときにまず見るのは「身体的な素質」。続いて「キャラクター(個性)」と「やる気」で、そのほか絶対条件として「女子に好かれる子」を挙げる。

 STモデルにとって「表現力」や「勘の良さ」も非常に大切な要素。「もしSTモデルと女優の共通点があるとすれば、まずは『表現力』。自分を表現することも大事ですが、自分にないものも表現しなくてはいけないときがあるので、この部分はみんな本当に努力しているようです。あとモデルの子たちから総じて『勘の良さ』も感じていて。自分はすごくガーリーなものが好きだとしても、仕事ではカッコいい服が用意されるかもしれない。そうなった場合に“何者”かにならなくてはいけないという意味で、求められているものは女優の仕事とも重なるのかな」と分析する。

 そんな鈴木編集長にあえて「STモデルらしさ」を聞くと、「清潔感」という答えが返ってきた。ここでの「清潔感」とは見た目はもちろん、周囲に与える印象で、「うちは礼儀や常識に厳しくて、ときにはモデルを呼び出して注意するなど、編集部は学校みたいなところがある」ときっぱり。「大勢の人間と一緒に仕事をする中で、ちゃんとあいさつする、人を不快にさせない、相手を気遣うとか、そういう当たり前のことができてほしいので、“校則”というか“秘伝のタレ”というか、専属モデルにならないと分からない“心得”があるんです」と明かす。

 STモデルには「自覚を促すため」必ずやってもらっていることがあるといい、「雑誌に載っている写真は撮影したごく一部。NGカットが何百枚とあるので、それを編集部に見に来てもらって、何がダメだったのかを知ってもらう。それをやると本人たちも、どこがダメだったか分かってくるし、うちのモデルとしては分からないといけない。復習というか補習ですよね。もちろん他の先輩のカットも見られますから、そこで学ぶこともあると思うし、そうやって表現力を磨いてもらうんです」と狙いを語る。

 ◇先輩から後輩へと渡される“バトン” いつか「自分も女優に」という思いも

 また、STモデルには先輩が後輩の「面倒を見る」ことが伝統として根付いているといい、「上下関係っていうほどの厳しさはないんですけど、そういったものが脈々と受け継がれていて。自分が先輩にしてもらったことを後輩にしてあげる。例えば、撮影で一人たたずんでいる子がいたら話しかけてあげるとか。みんな普通にやっていますね」と目を細める。

 「先輩は後輩にとって“憧れの存在”でもあるわけだから、憧れの先輩が女優として輝いていれば、『いつか自分も』という思いがきっと生まれると思いますし。それが“人気女優の登竜門”といわれる理由なのかは分かりませんが、女優を目指す人材が決して枯渇しないのも、そういった伝統に負っている部分はあるのかもしれませんね」としみじみ語る。

 先輩から後輩に“バトンをつなぐ”という意味では、昨年までで21回を数えるリアルイベント「夏の学園祭」も重要で、「モデルたちの結束力はもちろん、卒業式をやる子もいますから、“自分のバトンを下の世代に渡す”という意識や『ミスセブンティーン』のお披露目の場でもあるので“後輩が入ってくる”という意識もそれぞれ強まりますね」と話した。

 ◇現在のトレンドは「身近感」 体現する2人の朝ドラヒロインの存在

 一方で、STモデルに求められるものは時代によって「変化している」という。現在の傾向について「すごく憧れの存在でありながら、“身近感”を持っているというのも大事」といい、「もし同じクラスに広瀬すずちゃんがいたら、なれるのかどうかはともかく『友達になりたい』と思うはず。憧れられるのと身近さのバランスというか。その部分が現在の専属モデルの魅力になっている」と解説する。

 そんな現在のトレンドを体現するのが、広瀬すずさんや永野芽郁さんであり、2人が女優業の大きなステップであるNHK連続テレビ小説(朝ドラ)のヒロインに選ばれたのも、「STモデルらしさ」と決して無関係ではないのだろう。

 表現力は言うに及ばず、周囲に良い印象を与える清潔感、思わず感情移入したくなる親近感や他者を安心させる身近感などが当てはまるが、鈴木編集長も「そういうことなんでしょうね。それらをひっくるめた人としての魅力というか。朝ドラのヒロインというのは日本の朝の顔ですからね。私自身がやっと気付きました(笑い)」と改めて「STモデル」の重要性を実感していた。

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