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著書「もしすべてのことに意味があるなら がんがわたしに教えてくれたこと」について語った元日本テレビ記者・キャスターの鈴木美穂さん
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著書「もしすべてのことに意味があるなら がんがわたしに教えてくれたこと」について語った元日本テレビ記者・キャスターの鈴木美穂さん

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鈴木美穂さん:24歳で乳がん…元日テレ記者が著書に込めた思い すべての経験に「きっと意味がある」

 「人生っていつ終わるかわからない。明日が当たり前にくると思わないで、本気でやりたいことがあるならやったほうがいいし、後悔のない人生を生きてほしい」。そう語るのは、24歳で乳がんと告知された元日本テレビ記者の鈴木美穂さんだ。このほど自らのがん経験をつづった著書「もしすべてのことに意味があるなら がんがわたしに教えてくれたこと」(ダイヤモンド社)を発売した鈴木さんに話を聞いた。

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 ◇「当たり前にあると思っていた道が…」

 鈴木さんは、1983年、東京都生まれ。2006年、慶應義塾大学法学部卒業後、18年まで日本テレビに在籍。報道局社会部や政治部の記者、「スッキリ」「情報ライブ ミヤネ屋」のニュースコーナーのデスク兼キャスターなどを歴任した。「ミヤネ屋」のニュースコーナーを担当した当時は“午後2時50分の美女”と話題を集めた。

 同局で記者として活躍していた08年、進行した乳がんが発覚。鈴木さんは「お先真っ暗。自分事として捉えられない。生きている像も想像できない。当たり前にあると思っていた道が急にないみたいな……」と当時を振り返る。

 8カ月間休職して、右胸全摘出手術、抗がん剤治療、放射線治療など、「標準治療のフルコース」を経験した。復職後の09年、若年性がん患者団体「STAND UP!!」を発足。16年には、東京・豊洲にがん患者や家族が無料で訪れ相談できる「マギーズ東京」をオープンさせた。

 「治療中の落ち込みは、乗り越えられなかった。時間がたつのを待つしかない。暗黒状態」と表現した鈴木さんにとって、“ロールモデル”の存在が大きな支えとなった。著書の中では、ウエディングプロデュースの会社を起業し、フリーアナウンサーとしても働いていた、33歳で乳がんが発覚した曽我千春さんが「第一のロールモデル」として登場する。

 曽我さんは、離婚、再発を乗り越え、がん患者の生活をサポートするサロンをオープンしており、鈴木さんは「自分の経験を生かして、他の患者さんのためになっている活動をして、素晴らしいなと思って。そういう存在に自分もいつかなれたらいいなとすごく思いました」と力を込める。

 ◇山下弘子さんは「師匠」

 鈴木さんが「私の人生に大きな影響を与えてくれた」と話すのは、「アフラック」の保険のCMに、人気グループ「嵐」の櫻井翔さんとともに出演していたことでも知られる山下弘子さん(享年25)だ。19歳でがんを患い、余命宣告を受けながらも、精力的に活動した山下さんについて、鈴木さんは「私より先にがんになったわけではないけれども、別の意味でのロールモデル。妹みたいなんだけれど、ある意味、姉みたい。師匠みたいな感じだった。大きな存在だった」と話す。

 山下さんとは、14年7月に初めて出会い、その10日後に同局系のニュース番組「news zero」で、山下さんの特集を放送した。反響があり、何回か特集を放送した後、15年7月に同番組の特番として、山下さんと自身の闘病を描いたドキュメンタリー番組「Cancer Gift~がんって、不幸ですか?」を放送。番組は「日本医学ジャーナリスト協会賞 2017 映像部門優秀賞」を受賞した。

 著書の中では、山下さんの「悩んでいる暇があったら、今を楽しく生きたほうがいい」「人生はね、一度きりなんだよ。それはね、みんな平等なの。誰だって、この人生がいつまで続くかなんて、わからないの。今を生きて、今を楽しまないと」という言葉が紹介されている。鈴木さんは「彼女はずっと治療はしていたけれども、本当に好きなことをやっていて。そう“あれる”んだということをすごく身近で感じられた。生きていれば、いろいろなことにぶち当たると思うけれども、私自身の生き方もすごく影響を受けたと思う」と話す。

 ◇「振り返ったら、意味があったと思えるように」

 著書の発売以降、鈴木さんのもとには、さまざまな反響が届いている。「闘病記に終わらず、そこからのことが書かれていて学びになった。教育に使いたい」といった声もあり、がんになった人だけではなく、さまざまな課題に直面しながら生きる人を勇気づける内容になっている。

 鈴木さんによると、そのパワフルな行動力は、子供時代から変わっていないといい、「母に聞いたら、3歳のときに、砂場で寂しそうに遊んでいる子に、『私、鈴木美穂、3歳。あなたは?』って話しかけていたみたいなんです」と明かす。また、小学生時代には、「昼食の時間に公園でピクニックする」という企画を実現するため、自らプリントを作り、保護者に呼びかけ、実現したこともあったのだという。

 そんな鈴木さんは「『いま経験していることにも、きっと意味があると思えるときが来るから』というエールの意味も込めて、この(本の)タイトルにしました」と話す。「どんなに嫌だと思っても、自分の経験は消せないし、その経験をした自分も誰かに代わってもらえないし、結局死ぬまでこの自分で生きていかないといけない。今は、どんなことも『意味がある』と思えなくても、後から振り返ったら、意味があったと思えるようになりたい。私ががんになったことも、そのときは意味はなかったかもしれないけれど、『すべてのことに意味がある』と意味づけすることはできる。全部捉え方次第ですけど、いい意味につなげていけるように生きたい」と力強く語っていた。

 「もしすべてのことに意味があるなら がんがわたしに教えてくれたこと」は、四六判304ページ、1300円(税抜き)で発売中。

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