映画「キネマの神様」の公開記念舞台あいさつに登場した北川景子さん
女優の北川景子さんが8月5日、東京都内で行われた映画「キネマの神様」(山田洋次監督、6日公開)の公開記念舞台あいさつに登場した。昭和の銀幕スター・桂園子を演じ、劇中で、映画「東京物語」(1953年)を再現したシーンに挑戦した北川さんは、撮影の感想を聞かれると「冷や汗」と即答。「世界中にファンがいる有名な作品のオマージュをやる、ということで……。(同作に出演した故・)原節子さんを超えることは絶対できないけど、お芝居もなるべく近づけてやりたいと思いましたし、まねするだけでなく自分らしい部分をどこかに残せたらいいなと(考えた)。いろいろ考えるんですけど『じゃあ、どうしたらいいんだ』というのは分からなくて。パニックになりながら終わりました」と苦笑いで振り返った。
北川さんは、銀幕スター役の役作りについては「その時代を直接は知らないので、いろんな作品を拝見したり、その時代の女優さんのヘアメークが特集されている写真集を拝見したり……いろいろしたんですけど、でもなんだか雲をつかむようで、勉強しても近づけている感じがしなくて」と苦しんだことを吐露。一方で「監督が撮影所時代の話をしてくださったので、そういう話を聞きながら一つ一つピースを集めていった。それが一番役作りの助けになりました」と笑顔も見せていた。 舞台あいさつには菅田将暉さん、野田洋次郎さん、宮本信子さん、山田監督も出席した。菅田さんは、当初ダブル主演を務める予定だった志村けんさんの死去や、コロナ禍での撮影の長期中断など、さまざまな困難に見舞われた今作の公開を前に「本当にいろんなことがあったな」としみじみ。「映画は、公開するとお客様のもの、という感覚があるので、公開するまでどれだけその映画に携われるかが毎回楽しみだったりする。そういう意味では、今回の作品は、公開まで、今までで最長の長さ(時間)を一緒にいられた。十分愛でる時間をいただけたと解釈すれば、すごく感謝だなと思いました」と感慨深い表情で語った。
映画は、人気小説家の原田マハさんの同名小説が原作。1920年に松竹の前身となる松竹キネマ合名社が設立され、今年で100周年を迎えることを記念して製作された。ギャンブル漬けで借金まみれのゴウ(沢田研二さん)は、たった一つだけ愛してやまないものがあった。それは「映画」。若き日のゴウ(菅田さん)は助監督として、青春を謳歌(おうか)していた。しかし、初監督作品「キネマの神様」の撮影初日に転落事故で大けがをし、作品は幻となってしまう。半世紀後の2020年、あの日の「キネマの神様」の脚本が出てきたことで、ゴウの中で止まっていた夢が再び動き始める……というストーリー。