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安田美沙子:「しんどいときもあるけど、あとには楽しいことが待っている」 フルマラソン初完走から14年、走ることから学んだこと

 タレントの安田美沙子さんがライフスタイル本「安田美沙子のRunから始まる笑顔な暮らし」(小学館)を1月13日、発売した。フルマラソン初完走から14年、ランナーとしてのイメージも定着し、インスタグラムで見せるトレーニング姿も話題を呼んでいる。

 「走ることが人との出会いや仕事につながりました」と安田さん。2児の母でもあり、健康食コーディーネーターやランニングアドバイザーの資格を持つ安田さんに、走ることの楽しさや食の大切さ、仕事と子育てを両立するコツなどを聞いた。

 ◇フルマラソンに同じゴールは一つもない

 安田さんが走ることを始めたのは、25歳のとき。「走ったら、何かが見える」と言われたのがきっかけだった。翌年には初めてホノルルマラソンにエントリー。フルマラソンは4カ月で走れるようになると聞き、半年前から1時間のウオーキングを始めた。始めて4年後、4時間以内で走り切る“サブ4”を達成。これまでにフルマラソンは7回、ハーフマラソンには6回出場している。

 フルマラソンを走って感じたのは、42.195キロメートルという距離は「力を出し切らせてくれるよう計算されているのではないか」ということ。

 「おそらく、42キロくらいで自分の限界を感じて、限界に達してからの195メートルが本当の闘いというか、全てを出し切らなきゃゴールができないようになっているんだと思います。フォームはめちゃくちゃになるし、顔はボロボロで、全然美しくなくて(笑い)。

 でも、それくらい丸裸にされると邪念もなくなり研ぎ澄まされてくる感覚があって、出し切ったときの達成感みたいなものが、半端じゃない。体も心も限界でつらさしかないけれど、余力を残していたら味わえない楽しさがあるんです。

 フルマラソンを最初に勧められたとき、『何度走っても毎回違う世界が見える』と言われたことは、本当にそのとおりで、同じゴールは一つもないですね」

 ◇悩む時間があったら実行しよう

 走ることからたくさんのことを学び、「自分のことがよくわかるようになった」と安田さん。父親の仕事の関係で小学生時代に3回転校した経験から、「自分を押し殺すことに慣れてしまっていた」という性格にも変化があった。

 「走り始めはフォームを意識しているんですけど、だんだんフォームがハマってくると、そこからは自分との対話です。自分と向き合っているうちに、『私って、こういう人間だったんだ』と気づいたり、アイデアが思い浮かんだりして。できないと思っていたことでも、『フルマラソンを走ったんだからできるかもしれない』と挑戦しようと思えるようになるんです。

 始める前は、いわゆる“転校生気質”で、目立っていじめられたりしないよう、周りに気を遣ってばかりいました。心配性で、ネガティブなメンタルだったのが、今は、『悩む時間があったら実行しよう』と気持ちを切り替えられるようになりました」

 ◇みそ、しょうゆ麦こうじを手づくり

 プライベートでは、31歳のときにファッションデザイナーと結婚。35歳で長男を、2020年2月には次男を出産した。家族のため、結婚後まもなく食育インストラクターの資格を取得した。

 「家族を持ってから、特に力を入れているのが食事です。食育は、栄養バランスや安全な食材の選び方などを学ぶほか、子供のしつけにも役立つ食育の実践法を学びました。

 上の子のときは時間に余裕があったので、離乳食から食育を意識して育てました。食べることが大好きで、ごはんの時間はテレビを見ない習慣も身について。食後は自分の食器を流し台まで運んでくれるようになりました」

 さらに、健康食コーディネーターの資格も取得した。今回発売する本「安田美沙子のRunから始まる笑顔な暮らし」では、手づくりのみそやしょうゆ麦こうじなどの発酵調味料の作り方や、それを使った料理のレシピ、お手製のパンやスイーツなども紹介している。

 ◇モットーは「母は太陽でいよう」

 仕事と家事や育児との両立で忙しい日々を送るが、「母は太陽でいよう」をモットーにしている。

 「お母さんがいつもニコニコしていれば、家族みんな笑顔でいられると思うんです。だから、少しでも笑顔でいたいなあって思うし、どうすればいつも笑っていられるかな? と考えます。

 例えば、食事を作るのが大変だったら、無理して作らず、デリバリーを注文してもいいと思います。楽をすることで笑顔になれたらそれは最高ですし、時間ができたぶん子供と一緒にいてあげるほうが子供にとっては幸せなこと。

 こうしなきゃ!と決めつけず、子供が何を求めているのかをちゃんとわかってあげることが大事なんじゃないかなと思います」

 ◇不妊治療で授かった2人の息子

 今回の本では、不妊治療をしていたことも明かしている。

 「ふたりの息子は不妊治療の手術や体外受精で授かりました。最初は、卵管が詰まっているとわかり、卵管狭窄(きょうさく)を広げる内視鏡手術を受けたのですが、あまり変化がありませんでした。

 先生から、『体外受精をしたほうが早いかもしれない。どうしますか?』と聞かれたとき、悩む暇があったら行動しようと、『やります!』と即答しました。これも、走ることから学んだポジティブマインドのおかげですね。幸い、2回目の体外受精で妊娠しました。

 次男のときも同じように体外受精だったのですが、保管していた受精卵を子宮の中に戻したら、すぐに着床したんです。

 もちろん、いろいろなことがうまくいかず落ち込む時期もありました。でも、現実を受け入れて次に進むしかないと気持ちを切り替えることで乗り越えられたと思っています。これも走ることから学んだことです」

 そんな安田さんの座右の名は、「No rain, no rainbow(雨が降らなければ虹は出ない)」。

 「しんどいときもあるけど、そのあとには絶対楽しいことが待っていると考えるようにしています。まあ、いろいろありますけどね(笑い)」

 ◇走ることは生涯を通じてできるスポーツ

 昨年、ランニングアドバイザーの資格を取得。走ることは生涯のスポーツと捉えて今後も取り組んでいきたいという。

 「私、本当は飽き性なんです(笑い)。サーフィンやトレッキングもやっていたし、ヨガにハマっていた時期もありました。いろいろ手を出してきて、残ったのが走ることなんです。

 走ることは生涯を通じてできるスポーツです。自分が走りたいときに走ればいいし、休みたいと思えば休んでもいい。自分のペースで走ることが大切だと思います」

 最後に、本を通して伝えたいメッセージを聞いた。

 「コロナ禍ということも大きいのですが、幸せって、近くにいっぱいあるって思います。家でおいしいコーヒーを飲む瞬間でもいいんですよ。そういう小さな幸せに気づければ、みんな幸せになれると思います」

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