1月31日に公開される劇場アニメ「ベルサイユのばら」でナレーションを務め取材に応じた黒木瞳さん
1月31日に公開される劇場アニメ「ベルサイユのばら」(吉村愛監督)でナレーションを務める俳優の黒木瞳さん。「のちに入団した宝塚歌劇団を知ったのが『ベルサイユのばら』という作品でした。その衝撃は本当に大きくて。美しくてきらびやかで、切ない物語。大好きな作品です。今回はたとえ、ひと言のせりふでもいいので、ぜひ参加したいと立候補しました」と語る黒木さんに、「ベルサイユのばら」(ベルばら)との出会いや今回の劇場アニメについて聞いた。
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◇「ベルばら」は宝塚という夢の世界との出会い
「高校1年生のころ、福岡で初めて宝塚を見たとき、榛名由梨さんがアンドレ、安奈淳さんがオスカルを演じていました。私は物語をまったく知らなかったので、まず、オスカルが女性でありながら、男装をしていることへの驚きがありました。そして男性として生きて国のために民衆のために戦い、最後は愛のために生きていく。こんな世界があるんだ、こんな作品があるんだと感じたことを覚えています。
私も演じてみたいなんていうことは、そのときは思いもせず、ただ宝塚という夢の世界を見て、勇気をもらって家路につきました」
その後、黒木さんは宝塚に入団することになるが、1981年の宝塚歌劇団入団から85年の退団まで、「ベルサイユのばら」を演じる機会は訪れなかった。
「ちょうど私達の時期が、第1次『ベルばら』ブームと、第2次『ベルばら』ブームの間でした。ですから、一つも演目がなかったんです。演じてみたいと考える余裕もありませんでしたね」
◇「知っていても感動」 アンドレのオスカルへの思いに名場面あり
退団後にはスケジュールが合う限り、「ベルサイユのばら」の上演に足を運ぶ。昨年は初演から50周年を迎えた宝塚の公演のほか、韓国版ミュージカル「ベルサイユのばら」も韓国で鑑賞した。
そんな黒木さんは、劇場アニメが制作されると知ったとき、最初に感じたことは「本当かしら。それは大変な作業だろう」ということだったと振り返る。
「オスカル、アンドレ……それぞれにいろいろな物語があるので、どう集約するのかしらと思いました。もちろん喜びと好奇心もありましたから、ひと言で構わないから、民衆役の一人として、ぜひ参加したいと立候補しました。ナレーションをすることに決まったときは信じられなかったですね。失敗は許されないと、重責も感じました」
劇場アニメは、マリー・アントワネットがオーストリアからフランスへ嫁ぐところから始まる。
「ナレーションにあたっては、徐々にフランスが変わっていく案内を、初めて『ベルサイユのばら』に触れるお客様にもわかりやすくと気を配りました。
オスカルとアンドレにフォーカスした物語で、オスカルの自由と平等への志しの、ぶれなさや、信念の潔さもしっかり描かれています。登場人物が多くはいないんですけれども、その分、分かりやすいし感情移入しやすいと思いました」
お気に入りシーンを聞くと、笑顔を見せながら、こう答えた。
「アンドレの秘めた恋を、オスカルが知るあたりが好きな場面です。宝塚でも名場面ですし、この場面は必ず描かれると知っていても感動します」
写真撮影:川上博司
<プロフィール>
くろき・ひとみ 俳優。これまでの映画作品において、WEIBO ACCOUNT FESTIVAL2022 最優秀主演女優賞受賞。2023年6月公開映画「魔女の香水」では主演。2024年、14年ぶりディナーショー「for you」を演出・出演。2025年1月からはリーディングエンターテイメント「ルビンの壺が割れた」の演出・出演も手掛ける。近年は映画監督として4作品を手がけ、エンターテインメントの世界で幅広く活躍中。
*……劇場アニメ「ベルサイユのばら」は池田理代子さんが1972~73年に連載した同名マンガが原作。フランス革命の時代を舞台に、男装の麗人オスカル・フランソワ・ド・ジャルジェと、オーストリアから嫁いできた王妃マリー・アントワネットらの愛と人生を美しく描いた。オスカル・フランソワ・ド・ジャルジェの声を沢城みゆきさん、マリー・アントワネットを平野綾さん、アンドレ・グランディエを豊永利行さん、ハンス・アクセル・フォン・フェルゼンを加藤和樹さんが演じる。
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