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「あさイチ」に出演した東京都市大学人間科学部教授の早坂信哉さん
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「あさイチ」に出演した東京都市大学人間科学部教授の早坂信哉さん

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あさイチ:入浴・温泉研究の専門家で医師の早坂信哉さん 30~50代の女性にお勧めの入浴法は? 長期的な健康作りに役立つ入浴習慣も伝授

 NHKの朝の情報番組「あさイチ」(総合、月~金曜午前8時15分)の「お風呂タイムをワンランクアップ!快適&リラックスのワザSP」(2月25日放送)に入浴・温泉研究の専門家として出演した東京都市大学人間科学部教授で医学博士、温泉療法専門医の早坂信哉さん。これまで4万人以上の入浴を医学的に調査してきた早坂さんに、番組で紹介したおすすめの入浴方法のほかに、「将来健康になるための生活習慣」としての入浴について聞いた。

 ◇「40℃前後のお湯を湯船に張って10~15分全身浴」が理想的

 内科医の早坂さんは、25年ほど前、宮城県で地域医療に従事していた際に、高齢者の介護の現場で、入浴についての研究が必要だと実感したという。

 「高齢者が非常に多かったんですけれども、寝たきりに近いような方が結構いらっしゃって、介護サービスで入浴を提供するんですね。看護師さんがついて、体調を確認しながらお風呂に入れるんですけど、現場の看護師さんから例えば『血圧が高い人をお風呂に入れてもいいですか?』と医師に問い合わせが来るんです。案外そういうことって、身近すぎて教科書にも書いてない。聞かれた医師も勘で答えていたわけです。これはきちんと調べた方がいいと感じて、大学院に戻って研究を開始しました」

 当時は「ヒートショック」という言葉も今ほど広まっておらず、入浴時にどんなことが原因で事故が起こっているかもあまり知られていなかった。番組ではヒートショックなどの事故を起こさない方法、さらにリラックス効果を上げる方法が紹介された。

 事故を未然に防ぐ方法としては、寒い浴室に入ってすぐに熱いシャワーを肩からかけるのは危険だとして、「浴室に入る前に1分間、熱いシャワーを湯船に向けて出し続けて浴室を温める」方法や「シャワーでかけ湯する際に42℃程度のお湯で足湯も同時にする」方法が紹介された。

 なるべくシャワーだけでなく、湯船に入った方が良いとも紹介された。早坂さんは「お湯の温度は副交感神経を刺激してくれるとされる40℃前後で、湯船に入っている時間はトータルで10~15分間、額に汗がにじむくらい」が望ましいといい、「全身浴がおすすめです。肩までしっかりとつかると、浮力によって体重が10分の1程度となり、筋肉も楽ですし、リラックス効果や水圧によるマッサージ効果も期待できる」と話す。

 ◇週7回以上入浴すると「長期的な健康作りに役立つ」

 実験やアンケートなど4万人の日本人の入浴状況を調査してきたという早坂さん。一時点だけの調査ではなく、5年後、10年後にどうなっているか、長期的な視点での調査も実施しているという。その結果、日本人は週7日浴槽に入浴する人が多いということが分かっている。毎日浴槽入浴することは「将来の介護予防につながりますという研究結果が得られています」と語る。

 「1万4000人の方を3年間追跡した調査結果によると、週に0回から2回の方に比べて、週に7回以上浴槽入浴する方は、将来、要介護状態になってしまうリスクを29%減らすことができるという研究結果が出ています。また週に0回から6回の方に比べて週に7回以上、つまり毎日入る方はうつ病になってしまうリスクが24%減るという結果も出ています」

 これらの結果を踏まえて、早坂さんは、「お風呂に入ることは、実はただその瞬間だけ気持ちがいいとか体を洗ってすっきりしたという話ではなくて、長期的な健康作りに役立つ。運動週間とか睡眠とか栄養に気をつけるのと同じように、1日1回なら夜に毎日、入浴し湯船にしっかりつかってほしいなと思います」とメッセージを送る。

 ◇自身も温泉好き 「国民保養温泉地」で調べるのもお勧め

 入浴の研究をしているだけあって、温泉好きだという早坂さん。好きな温泉地を尋ねると、「特定の場所を挙げるのは……」と前置きしつつ、「以前、研究でよく行ってたのは、大分県竹田市の長湯温泉。そこは天然の炭酸温泉なんですね。炭酸ガスというのは皮膚から吸収されて血管を広げてくれるんですよね。なのでぬるくても血流改善効果があるためお勧めです。また、先日たまたま仕事で岐阜県高山市の平湯温泉に行ってきたんですけど、お湯が結構いいなと思いました。非常によく温まるんですけれどもマイルドで……」といくつかの温泉地を挙げる。

 自身の好みに合う温泉地を探すには「自然の中にある温泉地で癒やされに行くとか、リラックスしに行くっていうことであれば、『国民保養温泉地』という環境省が認めた保養に向く温泉地って79カ所(2022年10月現在)あるんです。ウェブで検索すると日本温泉協会のホームページに行き着くと思うんですけれど、環境省のホームページでも調べられます。そこから選んでもらうのも一つの手ですね」と勧める。

 世はサウナブームだが、水風呂は「血圧が急に上がったりして要注意です。水風呂は無理に入らないか、どうしても入りたかったらかけ湯ならぬかけ水をしっかり体に端からやっていただいて、体に水の温度に慣らしてから入ること」と注意を促す。

 ◇30~50代の女性に向けて「まずは湯船に入っていただきたい」

 30~50代の女性に向けては「もしサウナに入るなら、お勧めはミストサウナです。巷にあるサウナはドライサウナといって乾燥していて温度が高く、湿度が低いので、皮膚にダメージがあるかもしれない。比べると、ミストサウナは温度が低くて、湿気があるので、リラックスできますから特に女性の方にはお勧めです」と語る。

 普段の入浴も「女性の場合ですと、美容のためにいろいろやらないと、と考えてしまうかもしれませんが、まずは湯船に入っていただきたいですね。毎日シャワーだけという方もいらっしゃるかもしれないですが、せめて週末だけでも湯船に入ってほしいなと思います。30~50代の方はお仕事してる方、お子さんがいらっしゃる方など現状忙しい方が多いと思いますけれど、お風呂に入るときはお子さんを誰かに見ていてもらうなどして、ゆったりと湯船につかっていただけるといいかなと思います」とメッセージを送った。

 <プロフィル>

 はやさか・しんや 東京都市大学人間科学部教授、医学博士、温泉療法専門医。1968年生まれ、宮城県出身。1993年、自治医科大学医学部卒業後、地域医療に従事。1998年、自治医科大学大学院医学研究科にて入浴に関する調査研究を開始。2002年、自治医科大学大学院医学研究科修了。同大学医学部総合診療部。2005年 サウナに関する研究を開始。浜松医科大学医学部講師、同准教授、大東文化大学教授などを経て現在、東京都市大学人間科学部学教授。同大学院総合理工学研究科教授、同総合研究所子ども家庭福祉研究センター長、同図書館長。医師として25年以上入浴・温泉の医学研究、診療を続けている。

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