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中野信子:「自分を責めることは周りの人も傷つける。自分を大事にしながら良くなりましょう」 新刊発売を機に「悩み」テーマのトークイベント開催

 最新刊「悩脳(のうのう)と生きる 脳科学で答える人生相談」(文藝春秋)を発売した脳科学者の中野信子さんが7月3日、東京都内で、「悩み」をテーマにしたトークイベントを行った。イベント前に取材に応じた中野さんは「悩んで自分を責めることは、前向きに良くなっていきたいという美しい気持ちの表れ。しかし、自分を責めることは周りにいる大切な人も一緒に傷つけてしまうことになります。自分を大事にしながら良くなりましょう」と呼びかけた。

 「一緒の空間を過ごすことは、特別なこと。空間を共有するということに加えて、物質を共有するということでもあります」と説明した中野さん。細胞や分子、原子のミクロレベルでのつながりを踏まえて、こう話す。

 「同じ空間にいて私が呼吸した息を吸い、肺で交換し、酸素が血中に溶けて、その人の一部として生きる。それらを共有するかしないかは、意外なほど大きなことです。それに人間の“境目”は、あると思っているけど、本当は“ない”んです。だから、あの人は私の一部。みなさんも私の一部」と語り、続けて「自分を責めるということは、あなたとつながっている私のことを毀損(きそん)することにもなるかもしれない」と語った。

 この日のイベントでは、最新刊の裏話を明かしたほか、収録した人生相談の数々を振り返った。事前に寄せられた相談や、集まった65人の観客から募った相談にも回答した。

 「自己肯定感」ブームにも言及し、「自分はすごいんだと自信を持つことが、自己肯定感ではない。どんなに惨めな自分でも、不安でも、繊細でも、生きることを侵害する権利は誰にもないというのが自己肯定感」と強調。「自分の悩みを分析できて、(自ら悩みを)認められたことが、すでに自己を肯定していると思ってほしい」と語った。

 また、「なぜ悩むのか」という問いには「悩んでしまうのは仕方がないこと。生きることは悩むことでもある。悩みがなかったら成長も感じることができない。年齢を重ねて大人になると(悩みがあって)こんがらがっている方が楽しいような気もするし、悩みを持っているってことは輝かしいこと」とし、最新刊を「(悩みを)切ってほしい人には向かない。抱きしめてほしい人向けの本」と紹介した。

 最新刊「悩脳と生きる 脳科学で答える人生相談」は、5年超に及ぶ「週刊文春WOMAN」の名物連載「中野信子の人生相談」を書籍化。連載から43の問答を収録したほか、中野さんがコメンテーターを務める「大下容子ワイド!スクランブル」(テレビ朝日系)の大下アナウンサーら著名人の悩み相談も収録した。1650円。

 イベントは中野さんが雑誌「『CREA』夏号『1冊まるごと人生相談特集』」に登場したことから、「『CREA』夏号『1冊まるごと人生相談特集』発売記念 連続2daysトークイベント『今夜はとことん人生相談』」と題して開催された。

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