1989年と2003年に上演され、今年約10年ぶり再々演となる舞台「一郎ちゃんがいく。」(わかぎゑふさん作・演出)が、22日から「こどもの城 青山円形劇場」(東京都渋谷区)で上演される。金もうけが好きで知識を豊富に持つ熱血の日本男児・浅井一郎が、日本一の天才の座をかけて一世一代の勝負に挑む物語。「見た人が絶対に幸せな気持ちになれる。そして、家族っていいなと感じられると思います」と力強く語る座長の升毅さんと、初参加ながら「最初から団結力を感じました。プレッシャーより楽しもうという気持ちが強いです」と意気込む三浦理恵子さんに話を聞いた。
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◇力技のせりふバトルが見もの
物語の舞台となるのは、明治末期を思わせる日本。華族議員の大蔵男爵が英オックスフォード大学に留学団の派遣を計画し、そのリーダーを頭脳バトルで決定することに。集まった4人の候補は、伝説の天才・一郎ちゃんこと浅井一郎をはじめとするさまざまな有識者たち。勝負シーンにおける迫力のせりふバトルが見ものだ。
3度目の上演を迎えることについて、升さんは「約10年ぶりなので自分の中にどれだけ残っているのかと考える部分もありますが、新たな作品を作るという気持ちも大きいですね」と話す。また、長年支持される理由を主人公・浅井一郎の人物像に見いだし、「貧乏だったけれど努力して勉強して、金もうけをする。知識で金もうけをするという発想がまずすてきです。ただ、すべてが金もうけのためという面がある。一方で妻や息子をとても愛している面もある。人間の欲や業が凝縮したような人なんだけど、反面性を持っているからこそ愛すべき人。そして取り巻く人たちもみんな個性的で、そういうふうに成り立っている話だから、何回もやらせていただけているのだと思います」と語った。
◇けいこの度に進化を体感できる
一郎の妻で、お嬢様育ちの浅井華子を演じる三浦さんは「とにかく明るくて天真らんまん。金銭感覚がずれていて、稼いでもらったお金を自由に使ってしまうけれど、根っこには家族を支える思いが潜んでいる気がしています。縁の下の力持ちのような存在に感じますね」とその魅力を語る。
三浦さんの言葉にうなずきながら笑顔を見せる升さんも、華子は三浦さんにぴったりだと太鼓判を押す。
三浦さんはドラマなどに比べ舞台経験は少ないというが、今作はけいこの度に発見があるといい、「日々変化があります。役者同士変化し合い、進化していることを体感できて面白いです。勉強になることがたくさんあります」と目を輝かせる。座長という立場で出演している升さんも、けいこ場の雰囲気を「若い人のエネルギーがすごい。常に上を目指す感じをひしひしと感じる。また、現場にいる全員が常に何かを考えたり取り組んだりしていて、いい意味での緊張感とファミリー感が同居している」と期待感をにじませた。
◇娘・升ノゾミさんと初共演
そんな升さんは今回、娘・升ノゾミさんとの初共演も果たす。率直な胸の内を聞くと「不思議です。なんでこの子の顔を見てせりふをしゃべっているんだろうと(笑い)。ただ、家では芝居の話はしないですね。2人の共演シーンもありますが、家でけいこは一切やりません。けいこはあくまでけいこ場でとお互い考えています」と父の顔ものぞかせた。
<升毅さんのプロフィル>
ます・たけし。1955年12月9日生まれ、東京都出身。75年、俳優デビュー。91~2003年まで「劇団MOTHER」を主宰。現在は舞台、映画、テレビドラマなどで幅広く活躍。放送中のNHK大河ドラマ「軍師官兵衛」に石川源吾役で出演。
<三浦理恵子さんのプロフィル>
みうら・りえこ。1973年9月1日生まれ、東京都出身。89年、アイドルグループ「CoCo」のメンバーとしてデビュー。94年に解散後は、女優としてドラマ、映画、舞台、声優、バラエティー番組などで活躍。舞台出演は今作で7作目。プレミアムドラマ「花咲くあした」(NHK BSプレミアム)に出演中。
<公演情報>
東京公演は1月22~30日に青山円形劇場(東京都渋谷区)で、大阪公演は3月5~9日に近鉄アート館(大阪市阿倍野区)で上演される。チケットは両会場ともに全席指定6500円。ローソンチケット、イープラス、チケットぴあで発売中。
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