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「ナイト・ミュージアム」シリーズのベン・スティラーさんが監督・主演した映画「LIFE!」が公開中だ。雑誌「LIFE」の写真管理部で働く地味な中年男が、最終号に使うネガフィルムの作者である写真家を探して、冒険に飛び出す姿を描いた。男が空想するファンタスティックな映像と、アイスランドでロケをした大自然も見どころ。写真家役にショーン・ペンさんがふんし、大女優シャーリー・マクレーンさんが主人公の母親役で登場する。ジェームズ・サーバーさんが1939年に発表した短編小説「虹をつかむ男」が原作で、「幸せのちから」(2006年)のスティーブン・コンラッドさんが脚本を書いた。
ウォルター・ミティ(スティラーさん)は、ニューヨークの伝統的な雑誌「LIFE」誌の写真管理部門で働いている。不器用な彼は、経理の同僚シェリル(クリステン・ウィグさん)に思いを寄せているが、話しかけることもままならない。日々の退屈を、空想で埋める日々だった。しかし現実は厳しかった。デジタル化の波が押し寄せ、雑誌は経営の危機になり、新しいボスが配属される。ウォルターはリストラ対象となってしまう。写真家ショーン(ペンさん)から最終号の写真が送られてきたが、ネガが見当たらない。ウォルターは直接ショーンとやりとりするために、はるばるグリーンランドまで足を運ぶが……。
ウォルターは有名雑誌社に勤めながら、華々しい部署とは無縁の殺風景な部屋で、写真の管理に身をささげてきた男。見た目も地味で、どこの会社にも1人は必ずいるような目立たない男だ。独身で母の世話をしており、とにかく真面目だけがとりえのような人物。この設定がしっかりしているお陰で、ウォルターを自然と応援する気持ちが芽生える。写真家ショーンを追う旅路での冒険の数々は、空想好きのウォルターのフィルターを通し、奇想天外な出来事も楽しく見ることができる。大都会から辺境へ目まぐるしく舞台は変わるが、どんな場所にいても一つの目的を持って行動する者は強いもので、凡庸な男ウォルターがだんだんヒーローじみて見えてくる。ウォルターの視点でコロコロと変化していくネガの行方が、映画の面白さのカギになっている。19日からTOHOシネマズ日劇(東京都千代田区)ほか全国で公開中。(キョーコ/フリーライター)
<プロフィル>
キョーコ=出版社・新聞社勤務後、闘病をきっかけに、単館映画館通いの20代を思い出して、映画を見まくろうと決心。映画紹介や人物インタビューを中心にライターとして活動中。趣味は散歩と街猫をなでること。