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女優の吉高由里子さんが主演するNHKの連続テレビ小説「花子とアン」で、吉高さん演じるヒロイン・花子の妹、かよ役で出演中の黒木華さん。映画「小さいおうち」(2014年)でベルリン国際映画祭・最優秀女優賞(銀熊賞)を受賞するなど、若手実力派女優の1人だ。「花子とアン」では姉の花子を見守るしっかり者の妹・かよを演じる黒木さんだが、その素顔はおちゃめな一面も見せる24歳。黒木さんに話を聞いた。
◇かよの「内面の成長」を意識
「花子とアン」は、「赤毛のアン」などを翻訳した主人公・花子(はな)の明治・大正・昭和にわたる波瀾(はらん)万丈の半生を、「Doctor−X」(テレビ朝日系)などの中園ミホさんの脚本で描いている。原案は、花子の孫・村岡恵理さんの著書「アンのゆりかご」。花子は、山梨の貧しい家に生まれ、東京の女学校で英語を学び、故郷での教師生活を経て翻訳家の道へと進んだ人物で、吉高さんが10~50代を演じる。
黒木さんが演じるかよは、花子の2歳年下の妹で、女学校に進んだ花子に憧れの気持ちを抱きながらも、小学校を出ると製糸工場に住み込みで働きに出る。しかし工場でのつらい生活に耐えかね、花子を頼って上京。銀座のカフェーのウエートレスとして働き始める。花子の夫・英治の弟の郁弥(町田啓太さん)から求婚されるも、その日に関東大震災が起こり、郁弥に返事を伝えられないまま死別。その後、職業婦人としてたくましく生きていく。
黒木さんがNHK連続テレビ小説(朝ドラ)に出演するのは12~13年に放送された「純と愛」以来、2度目。「『純と愛』は撮影期間が短かったので、今回のようにずっと撮影をしていると、また違った見え方がする」という黒木さんは「話の展開が早く、その場その場でちゃんとその役を生きていないとゆがみが生じてしまいます。半年間、周りの方々と助け合いながら世界観を作っていくというのは、ほかの現場ではない経験だったので、自分の中で新しかったですし、面白いです」と話す。
かよを演じるにあたり、意識していることは「かよの内面の成長」といい、「見た目は髪形や着物で衣装さんやメークさんが助けてくださるけれど、所作だったり、かよちゃんの考えている時間だったり、(ドラマの世界を)生きていると見えるように頑張らないといけないと思います」と気を引き締める。また「24歳の私が30歳を演じる。30歳の人とは経験した時間も違う。24年間にプラスされた時間を生きている。想像して演じるのは難しい場面もあるけれど面白いです」と芝居の醍醐味(だいごみ)を感じている。
◇郁弥のストレートさが「響いた」
かよは、花子の夫・英治の弟で、英国帰りの郁弥から熱烈なプロポーズを受ける。郁弥がかよにプロポーズしたその日、関東大震災が発生し、郁弥は帰らぬ人となってしまう。
黒木さんは「郁弥さんはずっと真摯(しんし)にかよちゃんを追い掛けていて、そのストレートさが響いた。(相手を)好きなことを隠さずに、ずっと好きといってくれるというのはなかなかないと思うので、そこにやられてしまったのではないかな」とかよに気持ちを重ね、「郁弥さんの死を抱きながらも乗り越えて、自分の生活を生きていく。(かよには)そういう力があったんだなと思う」とかよの強さに共感を寄せる。
◇おじさん好き? お気に入りは石炭王
郁弥をはじめ同ドラマには、鈴木亮平さん演じる花子の夫・英治や、窪田正孝さん演じる花子の幼なじみ・木場朝市、石炭王と結婚した仲間由紀恵さん演じる蓮子と駆け落ちする、中島歩さん演じる宮本龍一など“イケメン”ぞろいだが、黒木さんもっぱらのお気に入りは吉田鋼太郎さん演じる石炭王の嘉納伝助という。
黒木さんは自身を「おじさん好き」と明かし、「伝助さんがいい男に見えてしょうがない」と声を弾ませる。「伝助さんには大人の男の色気がある。もう伝助さんなのか鋼太郎さんなのか分からないですけれど、カッコいいなあって思いますね。伝助さんは芸妓(げいこ)遊びとかしているけれど、大人の余裕があるいい男だなって思いますね」と憧れのまなざしを向ける。
◇かよのファッションにも注目
かよを演じるにあたり、「自分の道を切り開いていく女性」ということを意識しているという黒木さん。黒木さん自身もベルリン国際映画祭で最優秀女優賞(銀熊賞)を受賞するなど、今後の映画界を引っ張っていく女優として、確実に自身で道を切り開いているが、黒木さん自身は「周りの方たちに助けられている。かよちゃんみたいに切り開くというよりは周りの人たちが歩み寄ってくれたり、一緒にやろうと言ってくれる人たちに助けられている」と謙虚に語り、「頑張らなくてはいけないことがありすぎる。お芝居もそうだし、力足らずな部分があって現場に入るたびに反省します。少しずつ経験をして、成長していきたい」と力を込める。
かよの今後の展開について、「悲しいことがありながら乗り越えていく人間の強さから元気をもらえるのでは。そのために頑張らなくてはと思う」と前向きに語り、「これからかよちゃんは衣装や髪形が変わって(高梨臨さん演じる)醍醐さんの次にファッションが見どころ。そういうところも見てほしい」とアピールした。