検索
映画「64-ロクヨン-前編」に出演する榮倉奈々さん
1 / 6

映画「64-ロクヨン-前編」に出演する榮倉奈々さん

写真を見る全 6枚

榮倉奈々:物語の軸となる昭和を「好きで意識してしまう」 映画「64-ロクヨン-」に出演

 横山秀夫さんの小説を基に、佐藤浩市さん主演で実写化した映画「64-ロクヨン-」(瀬々敬久監督)の前編が7日に公開された。映画は、時効間近となった昭和64(1989)年に起きた通称“ロクヨン”と呼ばれる誘拐事件を模倣した事件が平成14(2002)年に発生し、県警警務部の広報官・三上(佐藤さん)らが事件解決に奔走する姿を描く。警察内部の対立や県警記者クラブとの衝突などを織り交ぜ、前後編で公開されるこの映画に、三上の部下で、警務部秘書課広報室の美雲を演じる榮倉奈々さんに、役どころや今作の魅力、共演した佐藤さんについて聞いた。

あなたにおすすめ

 ◇豪華共演者に「ありがたい責任を負わせてもらえた」

 今作の出演が決まり、「うれしかった」と喜ぶ榮倉さんは、「浩市さんとは3度目、瀬々監督とは2回目で、初めての方々とお仕事をするのももちろんうれしいですが、一度ご一緒した経験がある中で、またご一緒させていただけるのはさらにうれしい」と笑顔を見せる。オファーがあった当初は、佐藤さんの出演だけが決まっている状態だったというが、「数日後に他の出演者の方のお名前を伺って、大先輩の皆さまの中、私でいいのかなとも思いましたが、本当にありがたい責任を負わせてもらえました」と身が引き締まったという。

 榮倉さんが演じる美雲は、広報室の紅一点の存在で、職務に熱心で真っすぐな性格をした女性警察官。「現場で一緒になるのは広報室と記者クラブを演じるメンバーでしたが、記者役には女性の方がいらっしゃったので、現場自体は女性が一人という印象はありませんでした」と榮倉さんは振り返る。

 警察は男性社会というイメージが強いが、「男性も女性もお互いが補い合って、同じ社会、同じ組織で生きていけばいいと美雲はきっと思っているし、私もそう思います」と美雲と自身の考えを重ね合わせる。そして「どこかで男性社会であるということが、なんとなく共通意識になってしまっていて、そこに疑問を抱かなくなっている人たちがいるという状況を、美雲は悔しいと思っているのでは」と心情を想像する。

 ◇佐藤浩市は「カッコいい先輩」

 前編ではロクヨン事件のほか、ある交通事故の加害者を広報室が匿名発表したことがきかっけで、広報室と記者クラブの間に起こる対立も描かれている。榮倉さんは「組織の流れを変えるのは難しいことだなと、演じながら改めて実感しました」と話すも、「変えられると信じて突っ走っている美雲は強いと思いました」と自身の役に敬意を表す。

 その美雲の上司・三上を演じる佐藤さんとは久しぶりの共演となるが、「やっぱりカッコいい先輩で、本当についていきたいと思わせてくれる方の一人」と絶賛。「何か質問をすると難しい言葉ではなく、私に分かりやすく目線を下げて話をしてくれるので、相談したくなります」とその理由を説明する。

 そして、「(佐藤さんが)『64』を身を削ってやるというのが分かっていたから、少しでも力になりたいと思ったのは、美雲と三上の関係に似ているような気がします」と自身と佐藤さんの関係性を役柄に重ね合わせる。さらに、「主演の方が『自分が身を削った作品』と堂々と胸を張って言えるのは、本当にそれだけ向き合ってきた証しだし、自信がある証拠」と榮倉さんは続け、「それに負けないように、また、さまざまな個々の思いでついてきている(出演者の)皆さんが本当に熱い」と作品の熱量を表現する。

 広報室の同僚を演じる綾野剛さんと金井勇太さんに対しても、「2人ともすごく研究されていて、細かいディテールにこだわっていました」と印象を語り、「なかなか細かくは描かれない広報室なので、自分たちでこだわって追求されているのを見て、演技に対して真面目だなと感じました」と榮倉さんは話す。

 ◇熱い思いが込められた今作を「ぜひ見ていただきたい」

 撮影は前後編を通して行われたが、「ロクヨンに関わっている人たちは、過去と現在のシーンがあって大変なのでは」と共演者たちを気遣い、「浩市さんが本当に大変だったと思いますので、私はそんなことは言えないです」と榮倉さんは恐縮する。

 作品の完成度について、「男性が好きそうなお話ではありますが、人間ドラマも織り込まれているので女性も見られると思うし、お子さんがいる方には特に見てほしい」と榮倉さんはアピールする。続けて、「日本のトップの役者さんたちが集まって、皆さんが日本映画に懸ける熱い思いみたいなものをぶつけている作品なのでぜひ、見ていただきたいです」と力を込める。

 物語の軸となるロクヨン事件は昭和64年に起きた設定だが、「昭和はカッコいいと思っています」と榮倉さんは切り出し、「私は(昭和)63年(1988年生まれ)で、ほとんど昭和を見ていないので、見ていないものへの憧れなのかは分からないですけど、昭和が好きで意識してしまいます」と言ってほほ笑む。

 自身が演じている美雲の見どころを、「美雲には知らない者の強さのようなものを強く感じました」と榮倉さんは話し、「ロクヨンを渦中で知らないからこそ、現状を第三者的な立場から見て、『もっとこうなのでは』『こうしたらいいのでは』というのを真っすぐに届けていける人で、そういった強さを感じました」と語る。そして、「そういう人の言葉は、やっぱりちゃんと届くんだなというのを感じたので、そのあたりに注目して見てほしいです」とメッセージを送った。映画は前後編で、前編が7日に公開、後編は6月11日に公開予定。

 <プロフィル>

 1988年2月12日生まれ、鹿児島県出身。ファッション誌のモデルとして活躍し、2004年から女優として活動。最近の主な出演作としては、ドラマは「Nのために」(TBS系)、「遺産争族」(テレビ朝日系)など、映画は「余命1ケ月の花嫁」(09年)、「アントキノイノチ」(11年)、「図書館戦争」(13年)、「わたしのハワイの歩きかた」(14年)、「MIRACLE デビクロくんの恋と魔法」(14年)、「図書館戦争 THE LAST MISSION」(15年)、「娚の一生」(15年)などがある。16年4月から放送中のドラマ「99.9-刑事専門弁護士-」(TBS系)に出演。

 (インタビュー・文・撮影:遠藤政樹)

あなたにおすすめ

写真を見る全 6枚

キレイニュース 最新記事

Pick Up

アクセス上位記事