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ジョン・コンスタブル『The Cornfield(トウモロコシ畑)』の新たに発見された習作、数十年の時を経てテキサスの美術館から姿を現す

Heritage Auctions Japan株式会社
学術調査によって真筆と認定された大作、2026年6月5日に開催されるヘリテージ・オークションズの西洋美術部門シグネチャー・オークションへ出品




ロンドン・ナショナル・ギャラリー所蔵の名作『The Cornfield』(以下、『トウモロコシ畑』)のためにジョン・コンスタブルが制作した、これまで未確認であった実寸大の油彩習作が、ヘリテージ・オークションズ(本社:米国テキサス州)による6月5日開催シグネチャー・オークション「Important European Art Auction」に出品されます。本作は、大規模な学術調査および保存修復研究を経て、コンスタブル本人による真筆作品であると認定されました。

この習作は、長年にわたりテキサス州のジェファーソン歴史博物館に所蔵されていました。本作の発見によって、現在ロンドン・ナショナル・ギャラリーに所蔵されるコンスタブルの代表作『トウモロコシ畑』が、どのように成立したのかという理解が根本から塗り替えられることになります。

『The Hay Wain(乾草の車)』と並び、イギリス風景画を代表する傑作のひとつとされる本作は、英国美術史において特別な位置を占めています。1826年にロイヤル・アカデミーで展示された本作には、サフォーク州イースト・バーグホルト近郊のフェン・レーン沿いで、小川の水を飲む羊飼いの少年が描かれています。この土地は、コンスタブルが幼少期を過ごした場所でもありました。1837年に画家が亡くなった後、支援者たちが作品を購入し、ナショナル・ギャラリーへ寄贈したことで、同館が初めて収蔵したコンスタブル作品となりました。

ヘリテージ・オークションズの西洋美術部門長であるマリアンヌ・ベラルディは次のように語ります。
「これはここ数十年で最も重要なコンスタブル再発見のひとつです。未知の真筆作品であり、『トウモロコシ畑』と直接結びついているだけでなく、コンスタブルが英国美術を象徴するイメージをどのように作り上げたのかについて、理解を大きく深めるものだからです。」

この主題は、コンスタブルにとって極めて個人的なものでした。彼は学生時代、イースト・バーグホルトから近隣のデッドハムへ通う際、毎日のようにこの地を歩いていました。この風景は、画家としての自己認識と切り離せない存在だったのです。彼はかつて、「私にとって絵画とは感情の別名にすぎない」と記し、ストゥール川の岸辺や「無邪気だった少年時代」の記憶が、自身の芸術的視野の源泉であると語っています。

『トウモロコシ畑』は、その静かな田園風景と自伝的な情感によって長い間、高く評価されてきました。しかし、コンスタブルが最終構図へどのように到達したのか、その過程はこれまで十分に解明されていませんでした。今回再発見された習作は、その理解を一変させます。

最も重要な発見のひとつは、コンスタブルが小規模な下絵から直接完成作へ移行したわけではなかったという点です。これまでそのように考えられてきましたが、本作によって、彼が成熟期においても完成作と並行して実寸大の準備習作を制作していたことが明らかになりました。
コンスタブル研究の第一人者アンヌ・ライルズと、修復家でコンスタブル研究プロジェクト創設者のサラ・コーヴによる広範な研究によれば、この新たに真筆と特定された作品は、1826年冬のロンドンのアトリエにおいて、完成作と並べられながら制作されていたと考えられています。

技術に関する調査では、使用材料や制作技法がコンスタブルの特徴と完全に一致しただけでなく、画家が二つの異なる時期にわたり、このキャンバスに取り組んでいた痕跡も確認されました。この結果、『トウモロコシ畑』の構想は、従来考えられていたより数年前に始まっていた可能性が示唆されています。

赤外線反射法、顔料分析、洗浄試験により、絵画表面の下に複層的な制作工程が存在していたことも判明しました。絵具の塗布方法の違いや、先行する層が完全に乾燥した後に制作が再開されていた痕跡から、コンスタブルが長い中断期間を経て再び本作に戻ったことがうかがえます。

アンヌ・ライルズとサラ・コーヴは、本作の制作は1823年頃、未完に終わった別の作品として制作が始まり、その後1826年の『トウモロコシ畑』完成に向けた大規模な下絵へと発展した可能性があると推測しています。
マリアンヌ・ベラルディ(ヘリテージ・オークションズ)は次のように述べています。「技術的証拠によって、この作品への理解は完全に変わりました。赤外線調査、顔料分析、絵具層の構造、そのすべてが、これが単なる模写ではなく、コンスタブル自身が『トウモロコシ畑』を構築する過程で制作した習作であることを示しています。このレベルの発見は極めて稀です。」

本作がテキサスへ渡った経緯も、特筆すべきものです。
ジェファーソン歴史博物館は1970年、ヴィクトリア様式の歴史的な裁判所として建てられた同館のコレクションの拡充を目的として、ニューヨークのニューハウス・ギャラリーから本作の寄贈を受けました。当時、ニューハウス・ギャラリーは本作を「現在、ロンドン・ナショナル・ギャラリーにある作品の大型習作」と説明しており、コンスタブル研究者カルロス・ピーコックもその重要性を支持していたとされています。
しかし、その後数十年の間に本作の真正性をめぐる疑念が生じました。20世紀中頃のコンスタブル研究はまだ発展途上にあり、『トウモロコシ畑』には85点以上の模写作品が存在していたため、真贋の判断は極めて困難でした。ニューハウス・ギャラリー以前の確実な来歴も存在せず、本作は事実上、追跡不能な状態に置かれていたのです。

状況が変わったのは2017年でした。ジェファーソン歴史博物館が、展示再編計画の一環としてコレクションの査定をヘリテージ・オークションズへ依頼したことがきっかけです。問題のコンスタブル作品にもすぐに疑問が向けられました。古いニスと表面汚れの下に、従来考えられていた以上に重要な作品である可能性が見え始めたのです。
マリアンヌ・ベラルディ(ヘリテージ・オークションズ)の提案により、美術館は包括的な学術・修復調査を依頼しました。作品はイギリスへ送られ、大規模な技術調査を受けた後、サラ・コーヴによる慎重な修復が施されました。その結果は、単なる真正性の保証ではありませんでした。コンスタブル作品群の中で、重要な作品として位置づけられたことを意味していたのです。

この作品の出現には、さらなる歴史的な意味があります。本作がオークションへ登場するのは、『トウモロコシ畑』が1826年にロイヤル・アカデミーで初展示されてからちょうど200年後であり、さらにコンスタブル生誕250周年の年でもあります。
研究者にとって、本作はコンスタブル成熟期の制作過程に新たな知見をもたらすものです。コレクターや美術館にとっては、長らく研究史から失われていた作品が再び現れ、『トウモロコシ畑』という最も愛される風景画の作業習作を取得する機会を意味しています。

マリアンヌ・ベラルディは最後にこう語っています。
「驚くべきなのは、この絵画が何十年もの間、誰の目にも触れる場所にありながら、静かに眠っていたことです。そして今、それは単なる再発見作品としてではなく、『トウモロコシ畑』そのものの物語を書き換える作品として世界へ戻ってきました。」

『トウモロコシ畑』および本オークション全ロットの画像・情報はこちらより閲覧可能です。
https://fineart.ha.com/c/auction-home.zx?saleNo=8241




【ヘリテージ・オークションズ(Heritage Auctions)について】
ヘリテージ・オークションズは、米国で設立された最大の美術品・収集品オークションハウスであり、オンライントラフィックおよび取引額において世界最高水準を誇る、世界最大の収集品オークション会社です(SimilarWebおよびHiscox Reportより)。ニューヨーク、ダラス、ビバリーヒルズ、シカゴ、パームビーチ、ロンドン、パリ、ジュネーブ、アムステルダム、ミュンヘン、香港、東京にオフィスを展開しています。
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