元カリフォルニア州知事のアーノルド・シュワルツェネッガーさんが俳優復帰し、「ターミネーター3」以来10年ぶりに主演した「ラストスタンド」が27日より全国で公開された。
シュワちゃんことシュワルツェネッガーさんが演じるのは、元ロス市警の刑事で、今は辺境の町で引退同然の静かな暮らしを送る保安官レイ・オーウェンズ。ところが、その町に逃走中の凶悪犯がやって来たことから、レイは町と住民を守るために部下たちとともに立ち上がるというストーリー。
悪党たちとの銃撃戦には西部劇の雰囲気が漂い、音楽も勇ましい。レイの部下や町の人々、フォレスト・ウィテカーさん演じるFBI捜査官、さらに、エドワルド・ノリエガさんが演じる凶悪な麻薬王にいたるまで、みなキャラクターに味がある。さらに、今作におけるシュワちゃんは「ターミネーター」のような無表情ではなく、喜怒哀楽をきちんと表現する“普通の人”。今作が米国で公開されたのは、昨年暮れにコネチカット州の小学校で起きた銃乱射事件の直後。公開時期としてはかなり分が悪く、それが影響したのか米国での興行成績は伸び悩んだようだが、銃社会ではない日本で暮らす者にとっては、不謹慎ながら、正義が悪を討つ典型的な娯楽作として楽しめる作品になっている。監督は、「悪魔を見た」や「グッド・バッド・ウィアード」を手がけ、シュワちゃんをして「アジアのジェームズ・キャメロン」といわしめたキム・ジウン監督。27日から丸の内ピカデリー(東京都千代田区)ほか全国で公開中。(りんたいこ/毎日新聞デジタル)
<プロフィル>
りん・たいこ=教育雑誌の編集、編集プロダクションを経てフリーのライターに。映画にまつわる仕事を中心に活動中。最近、抜いた歯を、根元の治療をしたあと再び戻す“再植”というすごい体験をした。いま、その歯が“根付く”のを待っている。