ジュエリーや特別講座について語ったヴァン クリーフ&アーペルのマリー・ヴァラネ・デロム学長
仏の高級宝飾品ブランド「ヴァン クリーフ&アーペル」が7月から日本で2週間限定の特別講座「レコール ヴァン クリーフ&アーペル」を開講する。パリで12年2月にスタートした講座で、ジュエリーと腕時計の歴史や文化的意義を一般に伝えることを目的としている。仏以外で行われるのは今回が初めて。このほど来日した同講座のマリー・ヴァラネ・デロム学長に、講座や女性をキレイに見せるジュエリーについて話を聞いた。(毎日新聞デジタル)
ヴァラネ・デロム学長は「名品には、美しさやクリエーションを作り出す才能が光っている」という。それはジュエリーだけでなく「絵や彫刻など(の芸術品)にもあるもの」といい、一方でジュエリーだけが持つ魅力を「美しい作品を自分の身に着けて装うことができること」とほほ笑む。
日本人女性の肌や髪の色、体格に合うジュエリーは?と聞くと、少し驚いたように笑いながら「どんなジュエリーも大丈夫よ」ときっぱり。「私らしいと思えること」が大切だと語り、さらに「『これを着けたい』『これを着けると私は本当にうれしい』というものを身に着けるのが一番。どんなデザイン、スタイル、様式でもいいし、小さなものでも大きなものでもいい。そのジュエリーが本当に自分をハッピーにしてくれるなら、あなたを絶対にキレイにしてくれています」とアドバイスした。
とはいえ、「ヴァン クリーフ&アーペル」のジュエリーや時計はかなり高価。ブランドの商品と縁が薄くても、今回の講座を受講してもいいのだろうか? そう問いかけると「もちろん!」と即答。「ジュエリーを持っていなくても、すてきだと思うことはできます。例えばピカソの作品を見て、絵の美しさで気持ちがいっぱいになって幸せになるでしょう。でもピカソは買わないですよね? 私も買えないわ。それと同じこと」と笑顔を見せた。
続けて、「ジュエリーはたくさんの人の手があってこそ出来上がる作品。そのことをみんなが考えて理解できるよう、講師がみなさんにお伝えしていく」と今回の講座について説明する。
日本で講座を開講する理由の一つとして「日本人は学ぶことにとても関心がある」と挙げ、さらに「日本には文化や伝承の技という意味で千年の歴史があり、人間国宝(重要無形文化財保持者)がいる。だからこそ(ジュエリーや腕時計という)工芸品を作り上げる才能とその重要性を理解していただけると思った」と期待する。
またもう一つの理由として、13年が同ブランドが日本に店を構えて40周年に当たることを挙げ、「日本の方々とヴァン クリーフ&アーペルの長いラブストーリーのお祝いをしたいと思った。大きな節目をすてきな形で祝うために、この講座を開講します」とアピールした。
「レコール ヴァン クリーフ&アーペル」の日本特別講座は、7月17~31日に東京ステーションホテル(東京都千代田区)で開講。ジュエリーを身に着けてコーディネートを学ぶ講座、原石を手にその選定の仕方を学ぶ講座、ジュエリーのデザイン画や実物大模型を作る講座、時計を分解し組み立てる講座など全9種・計56回。パリの同講座で活躍する美術史家、宝石鑑定家、同ブランドの職人などが講師を務める。講義は仏語で行われ、日本語の通訳が付く。1講座は約4時間。受講者は各講座12人限定で、価格は6万円または8万円。同講座の公式サイトから申し込みを受け付けている。
◇プロフィル
マリー・ヴァラネ・デロム。文学博士号を取得後、教師となる。86年からカルティエ、ヴァン クリーフ&アーペルに携わり、ヨーロッパ・中東のCEOを経て、11年に「レコール ヴァン クリーフ&アーペル」の初代学長に就任した。