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人気グループ「嵐」の松本潤さんと女優の上野樹里さんが初共演した恋愛映画「陽だまりの彼女」が12日から全国で公開される。原作は、「女子が男子に読んでほしい恋愛小説ナンバーワン」といわれ、累計発行部数100万部を超える越谷オサムさんの同名のベストセラー小説。ロマンスはもとより、青春ドラマあり、ファンタジーありの物語が展開する中、予想外の驚きを与えてくれる。上野さん演じるヒロインの中学時代を演じる葵わかなさんの、上野さんとのうり二つぶりにも驚かされる。
広告代理店に勤める奥田浩介(松本さん)は、内気で不器用な性格が災いし、仕事でも恋愛でもサエない日々を送っていた。当然、彼女もいない。そんな彼が、仕事でクライアントのところに赴いた際、中学時代のクラスメートで初恋の人、渡来真緒(わたらい・まお)(上野さん)と10年ぶりに再会する。かつてはいじめられっ子だった真緒は今では魅力的な女性になっており、そんな真緒に浩介は再び恋をする。しかし真緒には誰にも知られてはいけない秘密があった……という展開。
小説だからこそ描けたストーリーだ。それを実写化したのだから相当チャレンジした作品といっていい。ここで起こることは切ない恋物語でありファンタジーだが、真緒の秘密には心底驚かされた。あんまり驚き過ぎて、それまでの感傷的な気分が吹き飛んだほどだ。その真緒を上野さんが違和感なくチャーミングに演じており、一方の松本さんも、いつものモテ男ぶりを封印し、恋に奥手な青年を好演している。浩介はファッションセンスもイマイチで、あるときはギンガムチェックのシェツにボーダー柄のセーター、それにデイパックを背負った姿は素朴過ぎて印象にも残らない。その分、人柄のよさはにじみ出ているが……。
それはさておき、「ソラニン」(2010年)や「僕等がいた(前編・後編)」(12年)の三木孝浩監督がメガホンをとった。浩介と真緒の思い出のジャングルジム、コップの中の2本の歯ブラシなど、なんてことない風景を、光を巧みに取り入れながら、きらめきを放ち、郷愁を誘う画に作り上げている。浩介が真緒をお姫様抱っこするシーンや、浩介がビーチボーイズの曲を聴きながら涙する場面は、女子たちの心をキュンとさせることだろう。12日からTOHOシネマズ日劇(東京都千代田区)ほかで公開。(りんたいこ/毎日新聞デジタル)
<プロフィル>
りん・たいこ=教育雑誌の制作会社、編集プロダクションをへてフリーのライターに。映画にまつわる仕事を中心に活動中。大好きな映画はいまだに「ビッグ・ウェンズデー」(1978年)と「恋におちて」(84年)。