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北野武監督の名作「キッズ・リターン」の落ちこぼれ同級生シンジとマサルのその後の物語「キッズ・リターン 再会の時」が12日、公開された。当時、助監督を務めた清水浩監督が手がけた。ボクシングの道に進んだシンジに平岡祐太、ヤクザの道に進んだマサルに三浦貴大がふんして、男同士の友情を熱く演じる。
高校時代から10年。シンジ(平岡さん)はボクシングを続けていたが、ジムの方針で格上の相手との試合ばかりで戦う意欲がうせ、とうとうボクシングをやめてしまう。一方、マサル(三浦さん)は刑期を終えてオヤジ分のヤクザの室沢(杉本哲太さん)の元を訪ねたが、組はすっかり衰退していた。シンジは工事現場で警備員のアルバイトをなんとなく続ける日々。ある日、現場で先輩の警備員(市川しんぺーさん)がチンピラにからまれ、そのチンピラを殴り倒したのはマサルだった。こうしてシンジとマサルは偶然再会し、マサルの言葉を胸にシンジは再びリングに上がる決意をする……という展開。
反抗期だった10代から、2人は今や20代。閉塞(へいそく)感ある社会でもがいている。ヤクザに戻ったマサル。再びリングに上がる決意をしたシンジ。自転車に乗るシーンに、2人の友情を思い出す。それぞれの道でもがきながらも進んでいこうとしている2人。多くを語り合わないからこその男の友情に胸が熱くなる。どん底から人生をやり直す挑戦をマサルがシンジに託す気持ちが、本物さながらのボクシングシーンによって説得力を持って迫ってくる。監督のこだわりだというケルト風の音楽は2人への応援テーマのイメージなのだろうか。それにしても、平岡さんはよほど過酷なトレーニングを積んだのだろう、肉体も改造しボクサーになり切っている。脇役が秀逸で、ヤクザ役・池内博之さんのギョロ目と太い首回りが怖さを強調していた。12日からテアトル新宿(東京都新宿区)、ヒューマントラストシネマ渋谷(東京都渋谷区)ほかで公開中。(キョーコ/毎日新聞デジタル)
<プロフィル>
キョーコ=出版社・新聞社勤務後、闘病をきっかけに、単館映画館通いの20代を思い出して趣味の映画を見まくろうと決心。映画紹介や人物インタビューを中心にライターとして活動中。趣味は散歩と街猫をなでること。