「マダム・マーマレードの異常な謎~出題編~」の一場面 (C)ナゾトキネマ「マダム・マーマレードの異常な謎」製作委員会
ヒントを頼りに制限時間内に謎を解き部屋から脱出するという「リアル脱出ゲーム」を映画化した「マダム・マーマレードの異常な謎~出題編~」が25日に公開された。今作はリアル脱出ゲームを運営する「SCRAP企画」による観客参加型映画で、観客は「出題編」を観賞後、制限時間内に劇中で提示された謎を解明し解答用紙を提出。正解すれば謎が明らかにされる「解答編」(11月22日公開予定)のエンドロールに先着順で名前がクレジットされる。主役のマダム・マーマレードを川口春奈さんが、相棒のマダム・バルサミコを高畑淳子さんが演じている。
劇中に登場する映画界の巨匠・藤堂俊之介監督(若松武史さん)が生前残したという設定の「つむじ風」「鏡」「やまわろわ」の3本の短編をそれぞれ上田大樹監督、鶴田法男監督、中村義洋監督が手掛けた。「この世で唯一、解けない謎がない女」マダム・マーマレードの元に、死期が迫った藤堂の妻から依頼が舞い込む。30年前に亡くなった藤堂が死の間際に家族に残した「短編映画3本に秘密がある。ナゾを解く鍵は最初の言葉」という言葉の意味を解明してほしいという内容だった。短編映画にはそれぞれ暗号が仕込まれており、次第に謎が明らかになっていき……というストーリー。
見ている自分が映画のストーリーに参加できたら……という想像は、映画好きなら一度ならずともしたことがあるだろう。それがミステリーとなればなおのこと。主人公よりも先に謎を解きたいという欲求を満たしてくれるのが今作だ。劇中ではさまざまな形でヒントが提示されるが、「出題編」については主人公はほとんどヒントらしきことを与えてはくれない。それどころか、謎解きの鍵となる3本の短編映画が終わるごとに、3分間の“シンキングタイム”があり、場内の明かりが一度点灯しメモを取る時間まであるのだ。つまり、主人公を含め、観客も横一線で謎にチャレンジできてしまう、まさにインタラクティブな作品だ。短編映画もそれぞれ良作となっているので、物語に没頭しすぎてヒントを見逃さないように。TOHOシネマズ六本木ヒルズ(東京都港区)ほか全国で公開中。(遠藤政樹/毎日新聞デジタル)
<プロフィル>
えんどう・まさき=アニメやマンガ、音楽にゲームなど、ジャンルを問わず活動するフリーの編集者・ライター。イラストレーターやフォトショップはもちろん、インタビュー、撮影もオーケーと、どこへでも行き、なんでもこなす、吉川晃司さんをこよなく愛する自称“業界の便利屋”。