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「ある愛へと続く旅」の一場面 (C)Alien Produzioni/Picomedia/Telecinco Cinema/Mod Producciones 2012
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「ある愛へと続く旅」の一場面 (C)Alien Produzioni/Picomedia/Telecinco Cinema/Mod Producciones 2012

注目映画紹介:「ある愛へと続く旅」 ボスニア紛争をはさんだ時代の一人の女性の心の旅路

 ペネロペ・クルスさんが大学生から中年までを熱演した話題作「ある愛へと続く旅」が全国で公開中だ。ボスニア紛争をはさんだ時代を背景に、一人の女性の心の旅路をたどっていく。クルスさん主演の「赤いアモーレ」(2004年)に続きセルジオ・カステリット監督がメガホンをとり、妻のマルガレート・マッツァンティーニさんが原作を手がけた。リアル感たっぷりの内戦の描写、最後の最後で全貌が見えてくるドラマチックな展開に胸がえぐられるようだ。

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 ジェンマ(クルスさん)は16歳の息子と夫とローマで暮らしている。ある日、旧友ゴイコ(アドナン・ハスコビッチさん)に誘われて、息子と一緒に再びサラエボの地を訪れた。1980年代。ジェンマはサラエボに留学中、米国人のディエゴ(エミール・ハーシュさん)と出会い、恋におちた。やがて結婚したものの、子宝に恵まれず、代理母を探すことになった。サラエボの地で当時の記憶をたどるジェンマだったが、反抗期の息子はローマに帰りたくて仕方ない。そんな親子を見守るゴイコ。やがて、衝撃の事実がジェンマの前で明らかになる……という展開。

 クルス演じるジェンマとハーシュ演じるディエゴとの愛の物語は、ローマの平和とサラエボの戦火の中にあった。無残に変貌していくサラエボの街並み。そして、愛するディエゴがなぜ変わってしまったのか。ミステリーにも似た描き方で、グイグイと引き寄せられる。子どもを授からないジェンマが一つの命を欲している一方で、紛争で落とされる多くの命がある。つらい真実と内戦の悲惨さを描き出す一方で、恋愛やボスニア人が集まるシーンは生き生きと楽しく、人々への希望もたっぷりと盛り込まれている。そのあたりにカステリット監督の今作への思いが感じとれる。女優クルスさんの魅力を存分に楽しめるだけでなく、ハーシュさんやボスニア人俳優のハスコビッチさんの演技も素晴らしく、見応えたっぷりだ。1日からTOHOシネマズ シャンテ(東京都千代田区)ほか全国で公開中。(キョーコ/毎日新聞デジタル)

 <プロフィル>

 キョーコ=出版社・新聞社勤務後、闘病をきっかけに、単館映画館通いの20代を思い出して、映画を見まくろうと決心。映画紹介や人物インタビューを中心にライターとして活動中。趣味は散歩と街猫をなでること。

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