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女優の仲間由紀恵さんと俳優の阿部寛さんが共演しているシリーズ「TRICK」の完結編となる「トリック劇場版 ラストステージ」(堤幸彦監督)が11日に公開された。「トリック」は、2000年にテレビ朝日系で放送された連続ドラマからスタートした人気シリーズで、自称・超売れっ子天才美人マジシャンの山田奈緒子(仲間さん)と、だまされやすい天才物理学者・上田次郎(阿部さん)の2人が超常現象の裏に潜む“トリック”を暴いていく姿を描く。今回の劇場版では初の海外ロケとなったマレーシアを舞台に、不思議な力を持つ呪術師との対決に2人がまたもや巻き込まれる。生瀬勝久さんや野際陽子さんらレギュラー陣に加え、東山紀之さん、北村一輝さん、水原希子さんといったラストを飾るにふさわしい豪華キャストが実現した。
ある日、上田次郎(阿部さん)のもとを貿易会社社員の加賀美慎一(東山さん)が訪れる。海外の秘境でレアアースの採掘権を獲得したが、不思議な力を持つ呪術師(水原さん)を信奉する部族が立ち退きに応じず困っているという。呪術師のトリックを見破ってほしいと依頼された上田は、今回も山田奈緒子(仲間さん)の力を借りることに。現地では医師の谷岡将史(北村さん)、なぜか矢部刑事(生瀬さん)も合流し、ジャングル奥地にある閉ざされた集落を目指すが……というストーリー。
冒頭からのいつもと変わらぬ展開で、一瞬にして“トリックワールド”へと引き込み、堤監督ならではの小ネタや仕掛けの数々がせりふから小物にいたるまでこれでもかというほど詰め込まれていて存分に楽しませてくれる。シリーズファンなら気になるタイトルバックの卵から出てくる“あるもの”も、ラストを飾るにふさわしいものだった。初の海外ロケでの壮大さや派手さがある中、伏線を美しく回収していく構成が見事。中盤以降、シリーズを総括しつつ“お別れ感”満載の演出には、切なさも漂い、胸をギュッと締め付けられる。
クライマックスでは「トリック」の最初のエンディングテーマで今作の主題歌である、鬼束ちひろさんが歌う「月光」が最終作に花を添え涙を誘う。結末については賛否が分かれそうだが、らしさ全開のノリとしんみりとした空気感が「ラストステージ」ということを強く感じさせる。最後ということで寂しい気もするが、もしかしたら……と新作を期待してしまう。ちなみに、上田教授の“教授らしい”シーンには驚かされながらも新鮮だった。11日からTOHOシネマズスカラ座(東京都千代田区)ほか全国で公開中。(遠藤政樹/フリーライター)
<プロフィル>
えんどう・まさき=アニメやマンガ、音楽にゲームなど、ジャンルを問わず活動するフリーの編集者・ライター。イラストレーターやフォトショップはもちろん、インタビュー、撮影もオーケーと、どこへでも行き、なんでもこなす、吉川晃司さんをこよなく愛する自称“業界の便利屋”。