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女優の北川景子さんと人気グループ「関ジャニ∞」の錦戸亮さんが初共演した、実話を基に描かれた「抱きしめたい −真実の物語−」(塩田明彦監督)が1日に公開された。北海道網走市で暮らす実在の男女に起きた実話を基にしたラブストーリーで、ドキュメンタリー「記憶障害の花嫁−最期のほほえみ−」が原案となっている。北川さんは交通事故に遭い、後遺症で記憶障害と車いす生活になりながらも、人生をエネルギッシュに楽しむ女性、つかさを力強く演じ、つかさと恋に落ちるタクシードライバー・雅己を錦戸さんが優しい雰囲気で熱演。斎藤工さん、國村隼さん、風吹ジュンさんらが脇を固め、純愛ストーリーを盛り上げている。
交通事故に遭い、奇跡的に助かったが、左半身と記憶に後遺症が残ったつかさ(北川さん)は、過酷な状況でも明るく前向きに生活を送っていた。ある日、市民体育館でタクシードライバーの雅己(錦戸さん)と出会う。コートの予約のダブルブッキングをめぐり食ってかかる車いすのつかさの一歩も引かない気の強さ、障害をものともしない美しさに雅己は急速に引かれていく。2人はやがて数多くの障壁を乗り越えて結ばれ、小さな命も授かるが、幸せの絶頂で非情な運命が待ち受けていた……というストーリー。
実話を基に描かれたということで、つかささんと雅己さんの実際の生き方には本当に驚かされる。つかささんの障害と向き合い恋にスポーツにと今を前向きに生きていく姿や、つかささんを純粋に愛する雅己さんの姿などは、自分に置き換えると、とても同じことはできないだろうと感じる。展開や結末に多少の重苦しさや悲しさがただようものの、全体を通して人と人のぬくもりや希望を持って生きる2人の姿が中心に描かれ、懸命にそして真摯(しんし)に向き合って生きる姿に感銘を覚える。難しい役を体当たりで演じた北川さんに、温かくて優しげな笑顔が印象的な錦戸さんと2人の演技力が光り、まるでドキュメンタリーを見ているかのような自然に見える会話や行動などが、見る人の心をわしづかみにする。今作をイメージして書き下ろされた安室奈美恵さんが歌う主題歌「TSUKI」が心を締め付けるような純愛を彩り、じんわりと心にしみ込んでくる。新宿バルト9(東京都新宿区)ほか全国で公開中。(遠藤政樹/フリーライター)
<プロフィル>
えんどう・まさき=アニメやマンガ、音楽にゲームなど、ジャンルを問わず活動するフリーの編集者・ライター。イラストレーターやフォトショップはもちろん、インタビュー、撮影もオーケーと、どこへでも行き、なんでもこなす、吉川晃司さんをこよなく愛する自称“業界の便利屋”。