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女優の北川景子さん主演の人気ドラマ「悪夢ちゃん」(日本テレビ系)の劇場版「悪夢ちゃん The 夢ovie」(佐久間紀佳監督)が公開中だ。「悪夢ちゃん」は、恩田陸さんの小説「夢違」を原案に、NHK大河ドラマ「風林火山」などの大森寿美男さんが脚本を手がけた学園ファンタジー作品で、2012年10月期にテレビドラマ版を放送。小学5年生のクラスを舞台に、他人に降りかかる未来の災難を予知夢として見てしまう能力を持つ少女“悪夢ちゃん”である結衣子(木村真那月さん)と、彼女の見た悪夢を読み解ける担任教師・彩未(北川さん)が事件を解決していく姿を描いた。映画では、人気アイドルグループ「Sexy Zone」のマリウス葉さんが謎の転校生・渋井完司と結衣子の夢に現れる“少年夢王子”の2役に挑み、佐藤隆太さんが彩未の過去を知る重要人物を演じるなど、ドラマから続投するキャストとともにストーリーを盛り上げる。
明るくて優しい理想的な表の顔と自己中心的で腹黒い裏の顔を使い分ける教師・彩未(北川さん)が担任する明恵小学校6年2組に、渋井完司(マリウスさん)という少年が転校してくる。結衣子(木村さん)は夢の中で恋に落ちた“少年夢王子”とそっくりな完司に胸をときめかす。不思議な魅力を持つ完司はクラスのリーダー的な存在となり、完司の言葉に触発された子どもたちの行動が大事件を巻き起こす……という展開。
恩田さんの心理サスペンス小説を原案にしているだけに、コメディータッチで進行しながらも、徐々に運命は自分で切り開くものか他人に影響されるものかという深遠なテーマへとシフトしていく。小中学生を中心に人気を集めたドラマの映画版だが、大人の鑑賞にも堪えうる感慨深い作品に仕上がった。少々残念なのは物語終盤での事件が重大すぎて中盤までの展開がうやむやになったり、重要人物である完司の過去があいまいだったりと、展開がやや強引な印象を受けてしまうこと。またさまざまなショッキングなシーンは子供が見るには刺激が強すぎるかもしれない。それらを差し引いても北川さんのツンデレぶりや思春期を迎えた結衣子の可愛らしさ、根底に流れるテーマの深さなど見応えは十分。ドラマ版から漂う、いい意味での“B級感”な空気がうまく継承されている。アイドルグループ「ももいろクローバーZ」が歌う中島みゆきさん作詞・作曲の主題歌「泣いてもいいんだよ」が映画を彩っている。TOHOシネマズ日本橋(東京都中央区)ほか全国で公開中。(遠藤政樹/フリーライター)
<プロフィル>
えんどう・まさき=アニメやマンガ、音楽、ゲームなど、ジャンルを問わず活動するフリーの編集者・ライター。イラストレーターやフォトショップはもちろん、インタビュー、撮影もオーケーと、どこへでも行き、なんでもこなす、吉川晃司さんをこよなく愛する自称“業界の便利屋”。