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スタジオジブリ最新作「思い出のマーニー」(米林宏昌監督)は、英国の児童文学作「思い出のマーニー」(ジョーン・G・ロビンソン)を基に、舞台を北海道に置き換え、2人の少女の出会いを通し、ちょっぴりミステリアスに、かけがえのない愛を描いている。「借りぐらしのアリエッティ」(2010年)の米林監督が手掛け、高畑勲監督、宮崎駿監督が関わらない初めてのジブリ長編作となった。ジブリ初のダブルヒロインの声は、高月彩良さんと有村架純さん。
杏奈(高月さん)は絵を描くことが好きな12歳。幼いころ両親を亡くして、養父母の元で暮らしている。養母・頼子(松嶋菜々子さん)のことを「おばさん」と呼び、心を開くことができないでいた。ある夏、ぜんそくの療養のために杏奈は、頼子の親戚である大岩清正(寺島進さん)とセツ(根岸季衣さん)夫妻が暮らす家に身を寄せ、海辺の村で過ごすことになった。村には、「湿っ地屋敷」と呼ばれる、入り江に面した古い洋館があり、その場所に心引かれた杏奈は、その場所に行って以来、お屋敷の青い窓に金髪の少女が閉じ込められている夢を繰り返し見るようになる。七夕祭りの晩、地元の中学生とトラブルを起こした杏奈は、自分に嫌気がさして屋敷を訪れた。すると、夢の中に出てきた、美しい金髪の少女マーニー(有村さん)が目の前に現れる。やがて秘密の仲間となって、打ち解け合う2人だったのだが……。
舞台を日本に置き換えたことで、ヒロインが原寸大で身近なものとなり、より杏奈の内面が多くの世代に伝わるのではないだろうか。自分を好きになれない。自分を不幸だと思う。仲が良い相手がいる人がうらやましい。思春期なら誰もが一度は持ったことのある気持ちが繊細に描かれている。日常から離れた場所で、杏奈は不思議な少女マーニーと出会うが、このマーニーの登場シーンには、杏奈とともにハッとさせられる。月明かりの下でフワフワと金髪が揺れ、ネグリジェ姿もかれんなマーニー。この少女はいったい何者なのかという、ミステリアスな雰囲気も手伝って、その後もワクワク感が続いていく。時間と場所を夢うつつに飛び越えながら、杏奈とマーニーの「蜜月」のような時間が月明かりの下で繰り広げられる。友達に心を開いたとき、友達が自分を映し出す鏡となって、自分を見つけるきっかけも与えてくれる。循環する「縁」という名の「輪」の一員にいたことに杏奈が気付くとき、大きな腕にくるまれたような温かさに立ち会える。19日から全国で公開中。(キョーコ/フリーライター)
<プロフィル>
キョーコ=出版社・新聞社勤務後、闘病をきっかけに、単館映画館通いの20代を思い出して、映画を見まくろうと決心。映画紹介や人物インタビューを中心にライターとして活動中。趣味は散歩と街猫をなでること。