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注目映画紹介:「フランシス・ハ」 NYで住む場所を失ったダンサーの卵から元気をもらえる

 米国で当初わずか4館からスタートした上映が口コミで評判が広がり、233館まで拡大したという映画「フランシス・ハ」が13日から全国で順次公開される。ルームシェアする親友からいきなり同居を解消されてしまったヒロイン、フランシスの根無し草のような生活を、軽快かつ爽やかにつづったヒューマンストーリーだ。「イカとクジラ」(2005年)のノア・バームバック監督がメガホンをとった。

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 米ニューヨークのブルックリンで、親友ソフィー(ミッキー・サムナーさん)とルームシェアしているフランシス(グレタ・ガーウィグさん)は27歳。バレエカンパニーの研究生だ。ある日、フランシスはソフィーから、憧れのトライベッカ(ニューヨーク市マンハッタン南西地区)に友達と部屋を借りることになったからと一方的に同居を解消されてしまう。恋人とも別れたばかりで行き場所を失ったフランシスは、自分の居場所を探してニューヨーク中を転々とするはめになる……というストーリー。

 フランシスは、ダンサーとしては芽が出ず無職状態。当然お金もなく、住む家もない。にもかかわらず、突然パリ旅行に出かけてしまうような奔放な性格の持ち主だ。見ていて、危なっかしいったらありゃしない。そんな彼女が、親友とけんかしたり、友達に助けられたり、両親に励まされたり……そんなことをしながら“何か”を吸収し、蓄積していく。不器用でがさつで、その言動にイラッとさせられたりもするけれど、壁にぶつかりながら自分の足で前に進もうとするフランシスの姿勢には共感でき、大いに触発された。モノクロの映像がまた手作り感をかもし出しており、フランシスという女性に親近感を抱かせる。不可解なタイトル(「Frances Ha」)にもきちんとした理由があり、それが明かされたとき、フランシスの成長のあとがうかがえ、なんだかとてもうれしい気持ちになり、元気をもらえた。

 フランシスを演じるガーウィグさんは、都会的な顔立ちをした美人で、自身でも監督や脚本家として活躍している。バームバック監督とは私生活のパートナーで、今回の脚本も2人で担当した。ちなみに今作で実家に帰省するエピソードに出てくるフランシスの両親は、ガーウィグさんの実の両親だそうだ。ユーロスペース(東京都渋谷区)ほかで13日から順次公開。(りんたいこ/フリーライター)

 <プロフィル>

 りん・たいこ=教育雑誌、編集プロダクションをへてフリーのライターに。映画にまつわる仕事を中心に活動中。大好きな映画はいまだに「ビッグ・ウェンズデー」(78年)と「恋におちて」(84年)。

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