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現代社会で共同生活を送るバンパイアの日常を描いた「シェアハウス・ウィズ・ヴァンパイア」(タイカ・ワイティティ監督、ジェマイン・クレメント監督)が24日に公開される。架空の出来事をドキュメンタリー風に表現する「モキュメンタリー」タッチで、個性豊かなバンパイアらの暮らしぶりをユーモラスに描いている。バンパイア映画としては斬新で異色の設定が好評を博し、トロント国際映画祭、メルボルン国際映画祭など各国の映画祭で観客賞を受賞。奇妙で陽気なバンパイアらの共同生活から巻き起こる騒動の数々には笑いと“ゆるさ”が詰まっている。
379歳のヴィアゴ(タイカ・ワイティティさん)、183歳のディーコン(ジョナサン・ブローさん)、862歳のヴラド(ジェマイン・クレメントさん)、8000歳のピーター(ベン・フランシャムさん)の4人のバンパイアは、ニュージーランドの首都ウェリントンで共同生活を送っている。演奏会やダンスをしたり、郊外に飛んでいってはパブで遊び倒すなど、自由気ままに楽しい日々を過ごすバンパイアたち。ある日、ピーターが大学生のニック(コリ・ゴンザレス・マクエルさん)をうっかりかんでしまい、バンパイアに変えてしまう。さらにニックが人間の親友であるスチュー(スチュー・ラザフォードさん)をシェアハウスに連れてきたことで騒動が起き……という展開。
ジャンルとしてはホラーコメディーにあたるのだろうが、まったくもってホラーの要素はないに等しい。たまにグロテスクな描写もあるにはあるが、それを上回るほどのゆるい笑いの応酬に、息つく暇もないほど笑わされてしまう。物語の設定からして、シェアハウスで共同生活を送るバンパイアらをテレビクルーが取材するというもので、まるでバンパイアたちの密着ドキュメンタリーを見ているような気分にさせられる。随所にはさみ込まれるバンパイアへのインタビューも笑える小ネタが満載。逆に笑いが満載過ぎて、もはや笑い切れないという不思議な感覚に陥ってしまった。これまでのバンパイア映画のパロディーもふんだんにはさみ込まれているので、バンパイアファンにはそのことでも満喫できる。バンパイア映画の名作は数多くあれど、現代っぽさとバンパイアがうまく融合し、いい意味でB級感が漂う、ゆるい作風が心地いい。24日から新宿ピカデリー(東京都新宿区)ほか全国で公開。(遠藤政樹/フリーライター)
<プロフィル>
えんどう・まさき=アニメやマンガ、音楽にゲームなど、ジャンルを問わず活動するフリーの編集者・ライター。イラストレーターやフォトショップはもちろん、インタビュー、撮影もオーケーと、どこへでも行き、なんでもこなす、吉川晃司さんをこよなく愛する自称“業界の便利屋”。