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女優の関めぐみさんが主演を務める映画「迷宮カフェ」(帆根川廣監督)が7日に公開される。今作は、骨髄移植をテーマに、人里離れたカフェを訪れる人々と女性店主によるミステリアスながらユーモアも交えた人間ドラマが展開する。謎めいた店主を関さんが、女優の市川由衣さんや元格闘家の角田信朗さん、俳優の藤原薫さんらがカフェの常連客を演じる。骨髄移植を通して人と人の絆がじっくりと丁寧に描かれている。
落ちぶれた週刊誌の記者・榎木田(大迫一平さん)は、訪れた客が次々に失踪(しっそう)するといううわさがある人里離れた山奥の古びたカフェを訪れる。カフェの主人・マリコ(関さん)は明るく活発な印象だが過去は謎で、榎木田は客を装って調査を始める。おもな常連客は、気弱なボディビルダーの松浦(角田さん)、婚約者に逃げられたアスカ(市川さん)、頭脳明晰(めいせき)で無差別殺人を計画していたというスグル(藤原さん)の3人。調査を進めるうちに次第にカフェとマリコの秘密が明らかになっていき……というストーリー。
山奥にある古びたカフェの客が次々と失踪するという怪しげなうわさを探偵役さながらに登場人物が調査を進めていくなど、とっかかりはシンプルなミステリー調だ。タイトルから連想するに、さまざまな事件が展開してくのかと思いきや、そこに描かれているのは人と人との絆の物語だった。マリコが営むカフェは自殺志願者を募っているという設定で、秘密を抱えた常連客らが骨髄移植を通して人や命のつながりを実感していく姿には不覚にも涙してしまった。今作は実際に娘を急性骨髄白血病で亡くした母親が骨髄バンクの少なさや骨髄移植に関する誤解や偏見を経験したことがきっかけで作られたという。骨髄移植について啓蒙(けいもう)したいという思いが込められているのはもちろんだが、説教じみておらず、角田さんのユーモラスな演技など、軽やかさと爽やかさを漂わせた雰囲気が心地いい。サスペンスフルなスパイスを利かせながらも最後は感動に包まれる。タイトルにいい意味でだまされた。7日から新宿バルト9(東京都新宿区)ほか全国で公開。(遠藤政樹/フリーライター)
<プロフィル>
えんどう・まさき=アニメやマンガ、音楽にゲームなど、ジャンルを問わず活動するフリーの編集者・ライター。イラストレーターやフォトショップはもちろん、インタビュー、撮影もオーケーと、どこへでも行き、なんでもこなす、吉川晃司さんをこよなく愛する自称“業界の便利屋”。