「風に立つライオン」のワンシーン (C)2015「風に立つライオン」製作委員会
シンガー・ソングライターで作家としても活動するさだまさしさんが1987年に発表した楽曲を基に映画化した「風に立つライオン」(三池崇史監督)が14日から全国で公開される。ケニアで国際医療活動に従事した実在の日本人医師、柴田絋一郎さんをモデルに作られたという楽曲に感銘を受けた大沢たかおさんが、さださんに小説化と映画化を働きかけ、自ら主演した感動作だ。
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長崎の大学病院からケニアにある熱帯医学研究所に派遣された医師、島田航一郎(大沢さん)は、周辺で戦闘が続く土地で、戦争に巻き込まれ傷を負った人々や負傷した兵士らの治療に尽力する。そんな中、航一郎の下に、心に傷を負った元少年兵が運び込まれ……という展開。
さださんが大沢さんをイメージして作り上げたという航一郎が実に魅力的で、彼が登場するやいなや、その人間性に引き込まれる。航一郎は、自らの医者としての生き方を模索しながら、周囲の人々には生きる希望を与えていく。元少年兵は、航一郎が医療に打ち込む姿を見て、考え方を変えていく。語らずとも医療に打ち込む後ろ姿で他人に影響を与えていく航一郎とは、なんてすごい人なんだろうと純粋に感動する。バイオレンスやアクション映画を手掛けることが多かった三池監督が、こんなヒューマンな作品を作ったのは意外だった。しかし、主人公の“熱い魂”を描くという点では、三池監督の姿勢にブレはない。むしろ映画にみなぎる力強さや航一郎という人間のおおらかさは、三池監督だからこそ表現できたのだろう。大沢さんのほかに、石原さとみさん、真木よう子さん、萩原聖人さん、鈴木亮平さん、石橋蓮司さんらが出演。14日からTOHOシネマズスカラ座(東京都千代田区)ほか全国で公開。(りんたいこ/フリーライター)
<プロフィル>
りん・たいこ=教育雑誌、編集プロダクションをへてフリーのライターに。映画にまつわる仕事を中心に活動中。大好きな映画はいまだに「ビッグ・ウェンズデー」(78年)と「恋におちて」(84年)。
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