ドラマ「婚活刑事」第6話で小池徹平さん演じるエリート刑事(左)と“結婚式”を挙げる花田米子役の伊藤歩さん。女性の共感でブレークするか?
7月からスタートした伊藤歩さん主演の連続ドラマ「婚活刑事」(読売テレビ・日本テレビ系)が、木曜午後11時59分からという放送時間にかかわらず、7月30日の放送分で5.7%(関東・関西地区ともに)という同時間帯としては高視聴率を記録した。岩井俊二監督の映画「スワロウテイル」(1996年)で注目を浴び、演技派女優として評価が高い伊藤さんが、犯罪者に恋してしまう婚活中の刑事という、ぶっ飛んだ主人公を真面目に演じるところが、20~40代の婚活世代の女性の共感を呼んだようだ。ブレークの予感がするドラマの人気の理由を探った。
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ドラマは、安道やすみちさんの小説「婚活刑事」シリーズが原作。民放連ドラ初主演の伊藤さん扮(ふん)する、好きになる男性は必ず犯罪者という婚活中の女性刑事・花田米子が、恋と正義の間で葛藤しながら事件を解決する姿を描く。警視庁捜査1課から異動してきたエリート警部・藤岡躑躅(つつじ)役で小池徹平さん、米子の上司・塚本樹役で鈴木砂羽さんも出演する。
主演の伊藤さんは、13歳の時に大林宣彦監督の「水の旅人 侍KIDS」(93年)でデビュー。「スワロウテイル」の演技で日本アカデミー賞の新人俳優賞と優秀助演女優賞を受賞。その後、英語を学ぶため米ニューヨークに留学。岩井監督の「リリイ・シュシュのすべて」(2001年)では丸刈りになるシーンに挑戦するなど体当たりの演技で注目を集めた。その演技力で、今村昌平、新藤兼人、井筒和幸、園子温ら名だたる監督の作品に出演し、海外の作品にも参加するなどの活躍を見せている。14年のドラマ「昼顔」(フジテレビ)では、斎藤工さん演じる夫が、上戸彩さん演じる友人と不倫していることを見抜き、逆襲する妻役で鬼気迫る演技を見せ、話題となった。
同時間帯のドラマを制作している読売テレビの分析によると、この時間帯の視聴者は「バラエティーはバラエティー、ドラマはドラマ」とすみ分けていたが、今作ではバラエティーを見ていた層が流入し、特にF1、F2といわれる20~40代の女性層が支持。番組には「主人公を応援して見られる」「笑ってストレス解消できる」など伊藤さん演じる米子に共感する女性の意見が寄せられているという。
そんな伊藤さんを、好きになった人はいつも犯罪者というあり得ない主人公にした読売テレビの福田浩之プロデューサーは「あり得ない主人公を伊藤歩という超演技派女優が真面目に演じていることで、コメディーともラブストーリーともミステリーとも一言で言い切れない、ジャンルを超えたドラマになりました。そのある意味見慣れていない不親切なテイストが、逆にありきたりなストーリーに見飽きた視聴者に心地よいギャップと新鮮味を感じてもらえれば」と話す。伊藤さんは「米子は、いっぱい笑っていっぱい泣いて恋に仕事にとにかく一生懸命。米子には、最後には本当に幸せになってほしいなと願いながら演じています。婚活刑事の米子を見て、明日も頑張ろうと元気になっていただけたらうれしいです」とコメントしている。同世代の共感を浴びる伊藤さんとドラマの今後に注目だ。
8月6日放送の第6話では、突然、婚活をやめると宣言した米子が、偽ダイヤモンドを販売する結婚式場の捜査のため、躑躅とカップルとなって潜入。結婚式当日を迎え、誓いのキスをすることになる……という内容。放送は午後11時59分から。
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