映画「探検隊の栄光」のワンシーン (C)2015 「探検隊の栄光」製作委員会(C)荒木源/小学館
藤原竜也さん主演のコメディー映画「探検隊の栄光」(山本透監督)が16日から公開される。藤原さん演じる落ち目の俳優が心機一転、新たな仕事に挑む中で、やる気と自信を取り戻していく姿が描かれていく。ユースケ・サンタマリアさん、小澤征悦さんとの掛け合いも絶妙で、ジーンとさせられる場面があるなど、笑いと予想外の感動が味わえる作品に仕上がっている。
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熱血キャラのイメージが定着し、すっかり仕事が来なくなった俳優・杉崎(藤原さん)。そんな彼の元に舞い込んだ新たな仕事。それは、未確認生物(UMA)“三つ首の巨獣ヤーガ”を求め、秘境の地を探検するテレビ番組の隊長役。これを機に挽回を図ろうと撮影場所のベラン共和国に向かった杉崎だったが、そこで待ち受けていたのは薄っぺらな台本と、調子のいいプロデューサー(サンタマリアさん)、大ざっぱなディレクター(小澤さん)など、およそ杉崎がイメージしていた現場とはかけ離れたものだった……という展開。
荒木源さんの小説が原作の今作は、1970年代後半から80年代にかけて放送され人気を博したテレビ番組で、川口浩さん率いる「探検隊」シリーズを彷彿(ほうふつ)とさせる。仰々しいタイトルにものものしいテロップ、さらに大げさなナレーションが流れていたその番組そのままの光景が広がっていくのだ。言ってもいない言葉に字幕がすり代わっていたり、人骨と称して鳥の骨を仕込んだりと、今なら捏造(ねつぞう)だ、やらせだと大騒ぎになることを、今作でスタッフが平気でやっているのを見て、ふと「川口浩探検隊」シリーズではどうだったんだろう、それをやっていてもおかしくないし、またそれが許された時代だったのだろうなどと妙に感慨深かった。
ともあれ、やりたい放題のスタッフに振り回されながら、いつしか隊長の自覚が芽生え、頼もしくなっていく杉崎。藤原さんの熱演もさることながら、適当に見えて実は緻密なユースケさんの演技、コメディアンぶりが思いのほか板についていた小澤さん、さらに寡黙なカメラマン役がはまっていた田中要次さんとのバランスが絶妙で、最後には、番組作りに懸けるスタッフの熱い血潮が伝わり、予想外の感動を味わうことができた。ほかに川村陽介さん、佐野ひなこさん、お笑いトリオ「ななめ45°」の岡安章介さんが出演。16日からTOHOシネマズ新宿(東京都新宿区)ほか全国で公開。(りんたいこ/フリーライター)
<プロフィル>
りん・たいこ=教育雑誌、編集プロダクションを経てフリーのライターに。映画にまつわる仕事を中心に活動中。大好きな映画はいまだに「ビッグ・ウェンズデー」(78年)と「恋におちて」(84年)。
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