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音声合成ソフト「初音ミク」で作られた中高生の定番卒業ソングとして人気のボーカロイド曲「桜ノ雨」をモチーフに実写映画化した「桜ノ雨」(ウエダアツシ監督)が5日に公開される。「桜ノ雨」は、2008年にボカロPのhalyosyさんが「初音ミク」を使ってニコニコ動画で発表した曲で、09年から中学や高校の卒業式で歌われるようになり、若い世代の間では定番の卒業ソングとして知られている。映画は halyosy さんが自ら原作・原案を手掛け、「三井リハウス」の14代目リハウスガールでJR東日本のスキー旅行のキャンペーン「JR SKISKI」でも知られる女優の山本舞香さんが主役の未来(ミク)を演じ、映画初主演を果たした。
音浜高校に通う2年生の遠野未来(山本さん)は、内気で取りえはないが、歌うことが好きで合唱部に所属。3年生で部長の桜音ハル(浅香航大さん)に淡い思いを寄せている。ある日、合唱部の顧問・高田芽依子(田畑智子さん)が退職することになり、最後となる合唱コンクールで金賞を狙うため、ハルが作った合唱曲「桜ノ雨」を歌いたい部員たちの気持ちとは裏腹に、高田は難度の高い歌唱曲を用意する。厳しい練習を前に部員たちの気持ちがばらばらになってしまい、未来は親友の鹿島友梨(三浦透子さん)からハルに対する思いを打ち明けられ……というストーリー。
主演の山本さんは、映画「劇場版 仮面ティーチャー」や「暗殺教室」などにも出演しており、作品によっては華麗なアクションで楽しませてくれるが、今作では新たな一面を見せている。友情や進路、恋に揺れ動くティーンエイジャーならではの刹那(せつな)的な心情を見事に表現しており、まぶしさを感じつつ自然と微笑ましい気分に満たされる。脇を固める浅香さんや蓮(レン)役の広田亮平さん、瑠華(ルカ)役の久松郁実さんらもすがすがしい演技で物語に清涼感を与えている。基となったボカロ曲も素晴らしく、シンプルなストーリー展開で感情移入もしやすい。合唱部なのに運動部のような特訓が面白く、また透明感あふれる歌声は聴いていて心地よく、爽やかな青春グラフティーが楽しめる。5日からシネマート新宿(東京都新宿区)ほか全国で公開。(遠藤政樹/フリーライター)
<プロフィル>
えんどう・まさき=アニメやマンガ、音楽にゲームなど、ジャンルを問わず活動するフリーの編集者・ライター。イラストレーターやフォトショップはもちろん、インタビュー、撮影もオーケーと、どこへでも行き、なんでもこなす、吉川晃司さんをこよなく愛する自称“業界の便利屋”。