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北川景子:静の芝居に「難しさ感じた」 松本清張ドラマ初挑戦

 女優の北川景子さんが主演するスペシャルドラマ「黒い樹海」(テレビ朝日系)が、13日に放送される。1960年代に刊行され、「旅情ミステリーの傑作」と評される松本清張の小説が原作で、これまでに5回、映像化されている。今回は、設定を現代に置き換え、よりスリリングに脚色されており、「松本清張作品へのイメージがいい意味で壊れました」と語る北川さんに、ドラマの魅力や撮影の舞台裏を聞いた。

 「黒い樹海」は、唯一の身内である姉・信子を不慮の事故で亡くした笠原祥子(北川さん)が、姉が勤めていた新聞社で契約社員となって真相を探ろうとするが、事件の鍵を握る人物が次々と不審な死を遂げていく……という展開。姉・信子を小池栄子さん、祥子の調査に協力する新聞記者・吉井を向井理さん、信子の死に関与した可能性がある“容疑者”の一人で著名な小児科医・西脇を沢村一樹さんが演じている。

 北川さんが、清張作品に出演するのは今回が初めて。「私が生まれる前の作品なんですが、トリックもうまく現代に合わせて書き換えられています。物語に引き込まれて、台本をあっという間に読みました」と語り、「役者も全体的に若いですし、『こういう松本清張もいいね』と、若い世代にも受け入れていただける作品になると思います」とアピールする。

 一方で、清張作品ならではの「主人公の心情、深層心理などを丁寧に描いている脚本」だといい、ロケ地となった長野県の「真っ白な白銀の世界もその世界観を盛り上げてくれている」と、旅情ミステリーの魅力も失っていない。さらに「撮影方法もクレーンやレールを使ったり、情景で魅(み)せる演出をしています。ナイトシーンも多いので、そこも謎めいて見えるのでは」という。

 見どころの一つが、北川さんが自ら「静の芝居」という新たな一面。「これまで派手な役が多くて、怒鳴ったりにらんだり大きな演技をすればよかったんですけど、今回はそんなにキャラクターの濃い役でもないので、細かいお芝居が必要でした。大きなリアクションをしなくても、悲しんでいるのか、考え込んでいるのか……どうしてこの表情をしているのかということを伝えなければいけないので、そういう難しさを感じました」と苦労を明かす。

 さらに、「台本では(北川さん演じる)祥子の性格のヒントが少なかった」といい、「クランクインのシーンは、お姉ちゃんが亡くなった後からでした。身内が亡くなったら、どんなに明るい人でも暗くなってしまうと思うんですが、全体的に沈んだ感じのト書きが多くて。衣装も地味なわけでも派手なわけでもなく、ごく普通。どういうふうに役を作っていけばいいのかと悩みました」と語る。

 そこでヒントにしたというのが、姉の信子を演じた小池さんの演技。「小池さんが、しっかり者の頼れるお姉ちゃんという感じで演じていらしたので、私は対照的に甘えん坊な妹を意識しました」と語り、その上で「お姉ちゃんのことが大好きで、亡くなったことで打ちひしがれているコントラストに重きを置いて演じられたらと思いました」と試行錯誤の役作りを振り返った。

 今回、「演じながら役を作っていった」という北川さん。同時に「最初は、お姉ちゃんの知らなくてもいい面も事件の真相と共に探っていく祥子の姿に共感できなかったんですが、最後は消化できました」と役に思いを寄せる。「脚本を読んだだけでは分からなかったけれど、演じてみて、みんな生きる場所に応じて、さまざまな顔があるのは当然だって(感じました)。それを悲しいと思わなくていいんだなって、最後のシーンを撮って思いました」と“意味深”に物語のラストを語っていた。

 「黒い樹海」は、「松本清張二夜連続ドラマスペシャル」の第2夜として13日午後9時に放送。第1夜は田村正和さん主演の「地方紙を買う女」で、同12日午後9時から放送される。

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