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川井郁子:「女性はもっと欲張っていい」 人気バイオリニストのデビュー15周年ツアースタート

 バイオリニストで作曲家の川井郁子さんのデビュー15周年を記念したコンサートツアーが15日、スタートする。9歳の娘の母親でもある川井さんに仕事と子育てや、美しさの秘訣(ひけつ)、2月に発売した15周年を記念したアルバム「LINK~Best of Ikuko Kawai~」などについて話を聞いた。

 ◇出産で音楽に変化 「自分を分かって」から「感謝の気持ち」へ

 2000年5月にアルバム「The Red Violin」でデビューした川井さん。「人生で一番大きな出来事」として「出産」を挙げる。

 「すべてが生まれ変わるような……。出産を機に(自分の音楽を)こう変えていこうという思いは一切なかったんですけど、自然に、周りの方に音がまったく変わったと言われたし、バイオリンを弾いているときの思いが変わりました。それまでは『自分を分かって!』という思いがほとんどだったんですけど、感謝の気持ちとか、誰かに届けるとか、別の意識が目覚めました。女性は“生まれ変わる”ときがあるんだなと思いましたね」

 仕事と子育ての両立は「物理的には確かに大変ですけど、それ以上に毎日が初めての幸せという感じ」と目を輝かせる。

 今は子供と一緒に自身のアルバムを聴くことがあるといい、「最近は友達みたいになってきて、アルバムを聴いて『この曲もママが作ったの?』と聞かれたり、『私はこの曲が好き』と言ったりする」と成長を喜び、「周りの方の手助けがあるからこそ」と感謝しながら、「子供に愛情を注げるし、仕事にも意欲的になれる。女性はもっと欲張りになっていいと思います」と力強く語った。

 ◇ときめきで美しく 姿勢も見直す

 変わらぬ美しさを保つ秘訣は「よく寝ることと、ときめくものを求めること」。「エネルギーをもらえるものがあると(自分自身に)手をかけようと思うし、肌の感じも違う」といい、ときめきには「本当は恋愛が一番いいんでしょうけど……」とおどけながら、「娘でときめきが満たされていますね。ほかに美しいものや、感動するものを見るとか、映画を見るとか、友達の話を聞くとか、それだけで違います」と語った。

 また「バイオリンは、とても左右非対称で不健康な姿勢になるので……」と姿勢を正すためにパーソナルトレーニングに通っていると明かし、「姿勢はいろんなことのもとになっていて、(姿勢を正すと)思わぬいいことがいっぱいありました。一度姿勢を見直してみるのもいい」という。

 ◇15周年記念アルバムに自信 和を取り入れた演奏を「ライフワークに」

 アルバム「LINK~Best of Ikuko Kawai~」には、フィギュアスケート男子ソチ五輪金メダリストの羽生結弦選手が、ソチ五輪のエキシビションで使用した曲「ホワイト・レジェンド~『白鳥の湖』より~」や、2012年に公開された映画「北のカナリアたち」のメインテーマ曲「追憶の海」など、川井さんが、テレビや映画、展覧会などとコラボした楽曲16曲が収録されている。

 川井さんは「なにかに使っていただいたり、なにかのために書いた曲なので、イメージがはっきりしたり、キャッチーだったりして、いい意味で分かりやすい曲が多い」といい、「自分の目だけで選んだベストだと、もっと偏った選曲になるけれど、今回はある意味、他薦なので、改めてとてもいいラインアップだと思います」と自信を見せる。

 今後は「和楽器の若手奏者といっしょに、東洋と西洋が融合した音楽を使って、社寺や自然を感じる音楽を発信したいというのが一番大きな夢」だ。

 昨年、パリのオペラ座で「和と洋の音の融合」をテーマに行った公演が、「予想以上に反響があった」といい、その後、全日本社寺観光連盟親善大使に任命されたことから、「今年は、全国の社寺で演奏させていただくことが増えると思う」とにっこり。「(これまで通り)タンゴや、クラシックもやっていくんですけど、ライフワークとして和の世界観(の演奏)もやっていけたら」と展望を語った。

 また最近、一番関心のあることを聞くと「もちろん娘のこと」と即答。さらに「自分のことで言うと、(ダンスの)タンゴを習っているんです。舞台でできたらいいなというのがひそかな夢」と笑顔を見せた。

 *……15周年コンサートツアーは、15日にサンケイホールブリーゼ(大阪市北区)でスタートし、22日に名古屋市中区の日本特殊陶業市民会館ビレッジホール、30日に東京都渋谷区のBunkamuraオーチャードホールで開催される。いずれもチケット代は1人6000円。また17日に香川県丸亀市の丸亀市民会館で追加公演が行われる。チケット代は1人3000円。

 <プロフィル>

 かわい・いくこ。香川県出身。東京芸術大学卒業。大阪芸術大学芸術学部教授。2000年5月にアルバム「The Red Violin」でデビュー。08年にニューヨークのカーネギーホールで公演し、10年に映画「トロッコ」で初めて映画音楽を担当した。12年公開の映画「北のカナリアたち」で音楽を担当し、第36回日本アカデミー賞で最優秀音楽賞を受賞。国内外の主要オーケストラと共演しているほか、ジプシー・キングスなどのポップス系アーティストやバレエダンサーの熊川哲也さんらとも共演している。

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