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高畑充希さん主演のNHK連続テレビ小説「とと姉ちゃん」で、ヒロイン小橋常子の親友・中田綾を演じる阿部純子さん。上品で知的なお嬢様の綾演じる阿部さんは、大阪の名門・北野高校出身で、現役の慶応大生だ。カンヌ国際映画祭出品作品にも主演、国際的な賞も受賞。昨年まで単身で米ニューヨークに留学し、演劇を学んできたという実力派女優でもある。「まれ」の清水富美加さんらヒロインの友人役から人気に火が付き、トップ女優の階段を駆け上がるケースが続く朝ドラが復帰第1作で、“ブレーク必至”との呼び声の高い阿部さんの素顔に迫った。
阿部さんは1993年生まれ、大阪育ちで、モデルとして活動する中、2010年に吉永淳の名前で映画「リアル鬼ごっこ2」のヒロインに抜てきされ女優デビューを果たした。ドラマなどで活躍し、2014年には河瀬直美監督の「2つ目の窓」に主演、同作はカンヌ国際映画祭コンペティション部門に出品され、サハリン国際映画祭では主演女優賞を受賞し、大注目の若手女優となった。しかし、休業し、単身ニューヨーク大演劇学科に留学。阿部さんはその理由を「カンヌに行かせていただき、憧れていたグザヴィエ・ドラン監督にも会えて、まるで映画の中の世界だと思った。でも英語の壁にぶつかって、ステップアップしたくて」と語る。
大学のスタジオではたった一人の留学生として、さまざまな人種のクラスメートに混じって演劇を学んだ。「ストリートを歩くだけでいろいろな人種が歩いている。その事実に感激して、その部分が(留学では)大きかった。そのときは実感として分からなかったけれど、リアクションの違いだったり、バックグラウンドが違う分、意思の疎通が難しかったり、演劇以上に、コミュニケーションの重要性を学びました」と振り返る。
「吉永淳」から本名の「阿部純子」に改名し、最初の仕事が今回の朝ドラとなった。「過去に何回もオーディションを受けていました。朝ドラ出演は念願でした。留学させてもらって、家族にどう恩返しができるかというのもあって。家族に喜んでもらえるような作品で復帰したいと思っていた。朝を元気にする朝ドラに出演が決まったときは、本当にうれしかった。祖父母に一番見てもらいたいと思いました」と笑顔を見せる。
演じる中田綾については、「人間らしい不器用さがある。それでもいつでも凜(りん)とできるようにしていると思う。とと姉ちゃんはみんなのために何とかしようとおてんばなところがある。綾がフォローしたり、逆に元気をもらっていたり、お互いを補い合う役だと思います」と分析。綾は女学校でクラス一の優等生だが、阿部さんも大阪の進学校を経て、慶応義塾大に進学した才女だ。「自分は劣等感がありますが、優等生だったと思います。自分の頭で考えて行動しようとするところは共感できます」と綾との共通点を語った。
現在は、撮影の合間に大学に通っている。兄と二人暮らしで、料理が得意という。「なんでも作れるように頑張っています。最近は和食で、サバのみそ煮とか魚料理を頑張っています」。オフは「大学の仲良し5人組がいて女子会でご飯を食べに行ったり、家に来てもらったり、おしゃれなカフェに行ったり……。(朝ドラに出ても)まったく変わらないですね、ずっと仲良しです」と女子大生の素顔も見せた。
目標とする女優は竹内結子さん。「(竹内さん主演のフジテレビの月9ドラマ)『ランチの女王』とか見て、本当に大好きです」と目を輝かせ、「共演したいか」と聞くと、「夢のまた夢ですね……」とはにかむ。ヒロインを演じる高畑さんについては、「とても魅力的だと思います。とと姉そのもののように、皆さんのことを考えていて、ピリっとした雰囲気というより癒やされて、和むような空気感をお持ちの方で、隣にいて落ち着きます」と絶賛した。
今後の見どころは「時代が移り変わっていくごとに、私(綾)の人生も変わっていきます。時代に振り回され、表情や家庭の状況も変わっていくので、そういうところを追っていただければと思います。個人的には、高畑さんの表情も魅力で、表情豊かなとと姉ちゃんに注目してもらえたら」と語る。
そして自身の今後は「大きな目標はあるのですが、一つ一ついただいた作品を大切に。いろいろな国に友達ができたので、その友達たちに見てもらえるような、そんな女優さんになれれば本望です」と、目標とする竹内さんを思わせる透明感のある笑顔を見せる。朝ドラから世界へ羽ばたく女優になるか、目が離せない。
「とと姉ちゃん」はNHK総合で月~土曜午前8時ほかで放送。全156回を予定。(文=総編集長・猪狩淳一)